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ブレイブ&ルシファー  作者: イーグル
48/78

46、ロウガの騎士王

ロウガ王国


ヴァント、アムレートに次ぐ大国と言われ少数精鋭ではあるものの騎士団の強さはギーガ大陸1、2を争うと言われ一番の大国であるヴァント王国が近いのもあって武具に食、更に衣服等も品揃えが充実している。


世界最強の大国が近く、それに匹敵する強さを誇る騎士団が付いてくれている。魔王軍の侵攻を食い止められる大きな希望の一つとして期待される声は多い。


「あー、あそこの酒場プージ産11年ワイン置いてあるので有名な所じゃねーか」

ヴァント王国に雇われの身である傭兵団、彼らは一足先にロウガ王国へと来ていた。その途中にある酒場にザックは目が止まり良いワインが置いてあると前から注目してる酒場を見つける。

「今は酒はやめておけ、飲みたい気持ちは分かるが」

「……戦で勝利した後の酒が……1番美味い」

「わーってるよ、魔王ぶっ潰したら浴びる程飲んでやらぁ」


酒場に入るのではないかとローレがザックの肩に手を置いて止め、モーザも言葉少なめに止めておりザックは軽く息を吐いてから酒場から視線を外し一行と共に前を向いて歩き出す。



活気ある街中を抜けると、ロウガ王国の王城。その入口が見えて来た、流石大国だけあって立派な大きさを誇る。王城の隣にある兵舎まで立派な作りで普段傭兵団が寝泊りして過ごしている狭い兵舎とは違う。

「兵舎にも此処結構金かけてんなぁ…これ、ヴァントの国王さんも真似してくんねぇか?」

「それは…本人に今度そう言ってみるといい」

「言いづれぇわ」

立派な兵舎を見てカーロンはウィザへとこっそり耳打ち、ヴァントの騎士アーガス辺りに聞かれたら面倒だと感じて彼に聞こえないよう兵舎について話していた。



「お前ら内緒話は程々にな、向こうのお偉いさんのおでましだ」

ヒソヒソと話す二人の声が僅かに聞こえたのかドルムは二人の方を見ないまま前を見て注意した、ドルムの視線の先には王城の入口に立つ門番の騎士二人が槍を縦に片手で持っている姿があり先程まで微動だにしていなかったが一人の男が王城から出てくると門番の二人は左右へとそれぞれ移動し敬礼する。

「よくぞ来たヴァント王国が誇る戦士達よ」

傭兵団の前に現れた男、黒い口髭を蓄えドルムに負けず劣らずの大柄な体格でオールバックの白髪、厚い鎧の肩口に剣の刃が鋭く煌き、右目に眼帯を付けており左目だけ見えている状態でその目は居抜き殺す程に鋭い。

見るからに強者の雰囲気が漂いドルムと同じかそれ以上に修羅場を渡って来たのが感じられる。

「お会い出来て光栄です、ライザン国王」

アードは進み出てその人物へと頭を下げて挨拶をする、雰囲気に圧倒されず一切乱れぬ動作だ。



一国の王であると同時に国の騎士団長を務める各国の中で自ら戦場へと赴き戦う王で知られ騎士王と呼ばれる男がロウガ王国に居る。

それがライザンという男、彼は50を超えるが今でも鍛錬を欠かさず己を高めており民を思い守る。


「聞けばお前達は先日に砦での戦闘で数多くの魔物達を退けたと、その武勲は我がロウガにも届いておる。そのような強者達と共に戦える事を心強く思うぞ」

「ハッ」

ベーザとは違う紛れもない王の雰囲気、それに傭兵団達は一斉に頭を下げた。

「国王陛下殿、失礼ですが戦場の時は陛下も自らお出になられるおつもりで?」

「無論、我が国の危機の時に王たるもの城に篭ってなどいられるか、己の国は己で守るものだ。それが出来なければ王たる資格など無し」

ガンスターの問いにライザンは当然だと言わんばかりの答えで戦場に王自ら出て戦うつもりだ。


ライザンの武勲は有名であり少数の騎士達で大軍の魔物を討ち滅ぼし、一人で多くの賊を倒したと言われている。

今でこそベーザが大陸1の強国の国王で実権を握っているが世界を纏める王はライザンこそが向いているのではないかという声も少なくない。実際各国の集う会議においてライザンは出ようとはせず代理の者に任せて他の王とは顔を合わせずだ。

各国の腑抜けた王と話しても実りある話にはならないと拒んでおり、他の国からはあまり良くは思われていない。にも関わらず今回はベーザの方からロウガに協力を頼みたいと言ってきたのだ。

状況が状況というのもあり、魔王軍が各国を制圧し国を滅ぼしているのは事実。なので共に戦い魔王軍打倒の為にライザンもこうして協力する事となった。






「魔王軍の次の狙いは此処、ロウガの制圧。それを防ぐにはその前に魔王軍を迎え撃つ、此処ロウガ王国から南下しマードン王国と挟んだ場にキリアム大草原があり、そこを決戦の場とする…騎馬部隊の騎士が多く、我々にとって有利な戦となるはずだ」


兵舎の前で自軍の騎士団と傭兵団、その者達の前で国王ライザン自らが今回の戦に関しての最終確認という意味も込めて説明をする。

「更にヴァント王国からは後に騎士団の大部隊が援軍に駆けつける事となっている。この戦で勝たねば我々ロウガの明日は無い!全員の力を結集させ魔王軍を倒し、世を清めるのだ!」

ライザンの掛け声に騎士団達の士気は一気に高まる、他の騎士団より少数だが気迫はそれを凌駕する物がある。




「お父様!」

そこにライザンへと向けて叫ぶ声が聞こえた、若い女性の声だ。声のする方へとライザン含め皆がそちらへと向くと10代後半か20代になったばかりか、長い金髪を一つに纏めポニーテールにしており幼さは残りつつも美しい顔立ちで女性にしては背は高い方。軽装の鎧を女性向きに動きやすいようにカスタマイズされ、鞘に収まった剣を腰に差している。

「私も戦いにお供させてください、私も戦えますわ!」

父と呼ぶ女性はライザンの娘、つまりロウガ王国の王女。その人物が此処に来て自ら戦いに出ると言い出し、兵の間ではどよめきが起こっていた。



「ミーヤ、確かにお前はその年で剣の腕が立ち優秀な騎士と言えるだろう。だが…それは出来ん」

「何故ですの!?」

「お前の身が心配だ、というのもあるが敵は飛行部隊を持っている。我々が手薄の時にこの王城を狙って来る可能性は充分にある。だからお前は此処に残って城を守るのだ」

自分の娘であるミーヤ、彼女が心配である。腕が立つ騎士とはいえそれが魔王軍に通じるとは限らない、むしろ半端な腕が死を招くかもしれない。

そして魔王軍は飛行部隊が居る、ライザン達が出撃すれば城は手薄となる。そこを敵が狙う可能性は充分考えられる、なので戦力としてミーヤを残すのだとライザンはミーヤの肩に手をそっと置いてそう伝える。

「お前が民と、母さんを守ってやれ。私は必ず戻る」

「………」




「…なんとも立派なものだ、王も、王女も。彼らをこの戦で死なせたくはないな」

「………同感」

ライザンとミーヤの親子二人を見てローレ、モーザはこの戦で二人を失うような事は決して無いようにしようと静かに闘志を燃やす。

「だよな、ミーヤ王女さんすっげぇ美人だし」

「聞こえても知らんぞ」

カーロンはミーヤの容姿に見蕩れているようでアーガスはそれに呆れ気味にため息をついた。












「………クククッ」

誰も気付いていなかった、一連のやり取りをずっと見ていたその人物を。


闇の中に潜み隠れ聞いていた吸血鬼の頂点に立つ男


アスは不気味に笑ったのだった……。

まずは此処まで見ていただきありがとうございます、ナイスミドルな名武将のようなキャラも良い、出してみたいと思い作りました。そして娘も美少女寄りの美女という。


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