道端に落ちていた石(後編)
「流石に疲れた……」
最近はずっと研究所に籠りっぱなしで、自宅にも殆ど帰っていなく、家が心配でこうして帰っている途中、石を踏んだ。
「わっ」
よろけて、すぐ近くにあった壁に寄りかかって転ぶのを回避した。
「ふぅ~、石なんて危ないな。」
そう思い、男は石を端に置いておこうと手にとった。
その瞬間、映像がよぎった。
海の中、魚がいっぱいいて、その中にはサメもいた。
流石に驚いて、尻餅をついてしまった。
「なんだ、これ」
恐る恐る、触れてみると何も起こらなかった。
自分は疲れているのだ、そのせいだろうと考え、自宅に帰った。
昨日は1日中寝たおかげか、頭もスッキリしているし幻覚も見ないだろう。
そう思って、昨日触った石の前まで来た。
固唾を飲んで、触る。
蟻が蝶々の死体を運んでいる。
1枚の羽を何匹かで持って、運んでいる。
それで映像は終わる。
今日は映像が終わるまで持っていたが、自動的に終わった。
研究所に持っていこう、男はそう思って石を持っていった。
「そんな事あるわけないじゃないですか」
部下の1人がそう言って触る。
「何も見えないですよ」
「いや、見えるはずなんだ。
今日はこれを研究しようと思ってね。」
「まぁ、長年研究したのは終わりましたからね。
まぁ、いいですよ。少しぐらい手伝ってあげましょう。ただの疲れだと思いますけど。」
そう言いながら、研究を手伝ってくれた。
先ずは、石が何で出来ているかだ。
此方の研究はあまりしたことはないが、やり方ぐらいは2人共わかる。
それから1カ月、みっちり研究した。
その間に、部下も映像を見た。
すると部下は自分の頬をつねって驚いていた。
そして、そんな面白い事よりももっと面白い事が分かった。
「電気が流れているな」
石とか宝石とかに詳しい、男の同僚に手伝って貰い、此処まで来た。
「トルマリンは摩擦させると微弱な電気を放つが、元から持っている石は初めて見た。」
同僚が興味深そうにしている。
「それに、これは熱から電気も生み出せるらしい。
もう少し調べてさせてくれ。」
同僚が頭を下げながら、頼んでくる。
同僚は気が強く、滅多に頭なんて下げない。
「分かった。じゃあどれぐらい?」
「後半月くれ、この石と共にこの石の資料を渡そう。」
「分かった。じゃあな。」
そう言って男は立ち去った。
あっという間に半月が経ち、ではなくその前日……。
同僚からメールと画像が送られてきた。
『これが、研究した石の資料だ。
明日の13時に来てくれ。』
資料は、簡潔にすればこうだ。
石は電気を放っており、その電気で生き物の脳に干渉して記憶を見せるという物らしい。
ちゃんとは分からなかったが、此処まで分かったのは良い方だろう。
何故なら、よく分からないモノで出来ているからだ。
この地球上初発見した物質かも知れないモノで出来ている。
熱を与えれば電気を作り、熱がなければ少しずつだが自分で電気を作る。そういう仕組みらしい。
そして、この石は壊れない。
鉄の武器を使っても、ダイヤで作られた武器を使っても、壊れない。
この中に、全ての謎が隠されているのだろう。
そしてこの石が何故、見てきたモノを記憶し、生き物にその記憶を見せる事が出来る電気を持っているのかも……。
その深夜、男は好奇心でバーナーを持った。
それを、石に当てた。火力最大で。
石が部屋中に光った。
男の頭の中に流れ込んでくる。
石の記憶、恐竜にメガロドンに………そんなモノが一気に眼に映った。
そして、それを見ながら男の眼は真っ黒になり意識を失った……。
『昨日未明、研究所から死体が発見されました。
死因は不明です。
ですが、その部屋から凄く眩しい光が放っていて、駆け付けた時に息をしていなかったと第1発見者が供述していたとの事です。
では次のニュースです。』
『研究所から死体が発見された人の身元が判明しました。
亡くなられたのは野良日誠司さん。
死因は脳が焼き切れていたと。
大量の情報に処理が追いつかなかったと、解剖では分かったそうです。
では、次のニュースです。』
その石はあの事件以来消え去り、何処に行ったのかも分からない。
あの石がどうなっているのかも、どうなったのかも…全部が分からないのだ。謎だらけだ。
その石はまた誰かの前に現れるのだろうか。
その石の謎を解ける者はいつか現れるのだろうか。




