そうだ、ルルも冷静で合理的な風に見えるけれど、実は全く余裕がないんだ。
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「そんな大声で言わなくてもいいじゃない!わざわざ大声で言わなくても分かるよ」
はっきり言ってショックだった。
ルルにそんな大声で言われると思っていなかったので、その衝撃が大きくて自分が冷静な判断をしているのかも分からないくらいだった。
ただただ、あのルルから怒鳴られたという事実だけが残って、はっきり言って何が何やらよく分からない。
そんな言い方しなくてもいいんじゃないかな?
そういった感情がぐるぐると頭の中で渦巻いていたのだった。
周りには天志がたくさんいるというのにも関わらず、こんな感情になるのは命取りだと分かっているのだけど、どうしてもそう思っちゃう。
「しょうがないじゃないか。こっちだって余裕がないんだよ。言い方は次から気をつけるとして、もうちょっと考えてか行動してくれなければ困るぞ」
「そうかもしれないけれどさ...分かったわよ。ヴィクトル様の要求を飲むわ。救世軍の仲間になればいいんでしょ、仲間に」
「そんな投げやりな言い方があるか!何か疑われたりしたらどうするつもりだ!もっと快活に、嬉しそうに返事をしないか。やつらに挨拶の一つでもすればいいんだよ」
「そんな急に感情を変えられるもんじゃないでしょう。今までどれだけのことをされてきたと思っているのよ!救世軍だけじゃなくて、天志というものにあんまりいいイメージがないのよ!そこら辺を汲み取ってくれなければ困るわよ。この前も言ったと思うけど、理屈ばかりで行動していたら良くないわよ、あなた」
「今は説教じみたことをするんじゃない!今はそういう時ではないだろう」
「はいはい、分かりましたよ。救世軍の仲間にさせてもらいます!今日からよろしくお願いします!」
こういったことを救世軍に言ったのだけど、一生懸命、声を振り絞って喋った。
感情が追いついて来なかったから、喉が締まってしょうがない。
本音とは違うことを言うというのがこんなに大変なことだとは思ってもみなかった。
世の中のサラリーマンとかはこういったことを常日頃からやっているのだろうか?
まあそんなことはどうでもいいか。
そうするとハイパーマンとその部下はこくりと頷いて、手招きをしたのだった。
「ピースウォーカー、こっちに来るんだ。仲間だからな」
なんだかそういった発言が気持ち悪かったのだけど、ルルがまず救世軍のもとに向かって行って、うかはその後をついて行った。
「これでようやく父上が解放されると思うと肩の荷が下りるよ。そして緊張感からも解放されて清々しい気分だ」
ルルがハイパーマンの元に近づいて行って、ありがとうと呟いた。
不本意だったけれど、ルルの父上が助かったと思えば何もかもまあいいやという気分になれたのだった。
しかしそれは甘かった。
ハイパーマンは教義学校をめちゃくちゃにしたということをもっと念頭に入れておくべきだった。
一度は見逃したように見せかけたけれど、後から教義学校をめちゃくちゃにした腹黒い天志だということを忘れるべきではなかったんだ。
なんて甘い考えをしていたんだろう?
ジャキ!!
ジャキ!!
ジャキ!!
ジャキ!!
ジャキ!!
ジャキ!!
ジャキ!!
「どういうことよ!?」
周りにいたハイパーマンの部下たちが一斉にピアスピアを向けてきた。
「「エンゼリア!!」」
その部下の天志のピアスピアから一斉に音が鳴った。
その瞬間、トランペット型のピアスピアの口から光が放出されたのだった。
ピカァァァァァァァァァァァァ!!!!!
「「ピースエンゼリア!!」」
そうやって天志達が一斉に叫んだ。
それは悪意がこもっていて、表情を見てみたら何か虫でも潰す時のように見下した表情をしていたのだった。
うかが持っているハルモニアがピースハーモニーを放出する時とそっくりな音を鳴り響かせながら、攻撃してきた。
全部ハイパーマンの罠だったということか。
ヴィクトル様と話をつけたというのも嘘だったのか。
ハイパーマンはさっぱりしているのか腹黒いのかよく分からない。
大声でいかにも軍人風の見た目をしてるから、体育会系のカラッとした性格のように見えるのだけど、この男は計算高くて人をあざ笑うような性格をしている。
こんなやつのことを信じてはいけなかったんだ!
天志というのは、ウォーカーだと言って人間を見下してくるのだから、まともに取り合ってはいけなかったし、もうちょっと疑うような気持ちを持つべきだった。
ルルは合理的で理屈っぽいので、天志からすれば多分変わり者なんだろう。
それでもまだピースウォーカーだと言って差別してくるけれど。
とにかくハイパーマンなんか信じてはいけなかったんだ。
そういった考えが頭の中で巡っていた。
たった一瞬の出来事なのに、後悔が押し寄せてきたのだった。
「ピースウォーカー!!」
うかが考え事をしていたら、その意識の中にものすごい大きな声が割って入ってきた。
それは焦りや怒りや後悔といったような感情が渦巻いていて、痛々しい調子だった。
その瞬間、さっき怒鳴られた時に受けたショックは全て吹き飛んだ。
そうだ、ルルも冷静で合理的な風に見えるけれど、実は全く余裕がないんだ。
これだけ天志に囲まれていて、自分の父上が捕まっているのだもの。
誰だってこんな風になるでしょう。
そういう気持ちを考えてあげるべきだった。
「危ない、ピースウォーカー!!」
そう言って全力でルルがうかに向かってタックルをしてきた。
十字架の牧場がある、あの村の人たちのタックルを見ていたので、コツを掴んでいたのだろう。
全力でタックルをされたので、うかは咄嗟に威光で体をガードしていた。
バンッ!!!!!!!!
その瞬間、盛大に吹っ飛んだのだった。
そしてルルは、うかが受けるはずだった天志たちのピースエンゼリアを全身で受けたのだった。
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