もっと早く突き刺してあげていれば、生き残っていたのかな?
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「ちょっと嘘でしょ!?そういう冗談は面白くないから早く立ち上がってよ!」
どれだけ言っても立ち上がらない。
立ち上がってくれない。
「そんなまさか!!こんなことありえないでしょ!!ねえ、ねえ!!なんで!?起き上がりなさいよ!!」
それでもやはり起き上がってくれない。
体を揺さぶってみたり、うつ伏せだったのを仰向けにしてあげたり、顔に水をかけてあげたりしたのだけど、全く反応がない。
ジェスを何とか倒すことができたから油断していた。
もっとうかがしっかりしていればこんなことにはならなかったんじゃないだろうか?
そんなことを頭の中でぐるぐると考えていた。
なんでこんなことになっちゃったんだろう?
確かにこの人たちは十字架の牧場で十字架にかけて、うか達のことを家畜のように扱ってきたけれど、でもあの時ジェスに対して勇気を振り絞ってタックルをしてくれなかったら、もしかしたら倒せなかったかもしれない。
だから悪いところばかりじゃなくて、いいところもあるんだ。
いいところを見てしまった以上、やはり情が移ってしまう。
そんな気持ちになりながら悔しさを感じていたら、ルルが静かに近づいてきて、自業自得だとつぶやいた。
そんな冷たい言い方があるだろうか?
この人たちのおかげもあってジェスを倒すことができたのに、どうしてそんな言い方ができるのだろう?
天志というのは差別主義者が多くて天志の中にもカーストのようなものがあるから、自分よりも格下の存在を家畜か何かだと思っているのだろうか?
もし家畜だと思っていれば、そりゃ死んでも何とも思わないだろうな。
ルルのそういったところは共感できないし、納得もできない。
「なんでそういう言い方しかできないのよ?この人たちのおかげもあって勝てたのに、なんでそんな言い方をするの?悲しくないの?」
「ピースウォーカー、今はそんなことを考えている場合じゃないだろう」
「何ですって!?どういうことよ!」
「今は一刻も早く救世軍OLIVの本拠地に戻って、父上が捕まっているかどうか確認しなければいけない。そしてもし捕まっていることが確認できたら、助けなければいけない。あの忌々しいハイパーマンのせいでこうなってしまった...あのハイパーマンに対しても報復しなければいけないかもしれないな」
そうだ、そういえばそうだった。
目的を見失っていた。
今は一刻を争うんだ。
いろいろありすぎて忘れていたけれど、確かにルルの言う通りだと思った。
だけど理屈では理解できるんだけれど、感情が追いついてこない。
「いいからこいつらのことをほっといて本拠地に戻るぞ。幸いなことに楽園の光で羽根を回復させることができたのだから、さっさとここから動くんだ」
そんな風に言われて納得したのだけど、でも村人が老化してその場に倒れているのを見ると、どうしてもほっとけない気持ちになってきた。
こんなところで野放しにしたら村人が浮かばれないじゃない。
この村人たちはこの村を守るために一生懸命、力を尽くして戦って、ジェスが倒れていれば体力を回復させるために威光を吸い取っておこうと考えるのは自然なことだ。
だからこのままこの村人を放っておいて本拠地に戻ろうとするのは、ピースウォーカーの名がすたるのではないだろうか?という考えが頭にちらついていた。
「どうしよう...ね、僕ちゃん。どうすればいいと思う?この村人のことを放っておけないんだけど」
「うーかーに任せるぜ。まあピースウォーカーだったら助けて当然の場面じゃねえか?」
「そうだよね。そういう風に考えるのがピースウォーカーだよね」
そばにいるルルは早く本拠地に戻ろうと急かしてきたのだけど、それを拒否した。
「何だと?」
「ここの村人全員のお墓を作るまでここから離れたくない」
「何!?そんなわがままを聞いている場合ではないんだよ!」
「でもここの村人たちがあの時勇気を振り絞ってタックルしてくれなかったら、倒せなかったかもしれないんだよ?だからせめてお墓くらい作ってあげるのが礼儀だし、当然の発想だと思うんだけど!そうやって理屈で行動していたら、いつか痛い目に遭うかもしれないし、損するかもしれないよ?」
「だけどな...時間がないんだよ、時間が」
「急ぐから!!」
そう言って早速取り掛かった。
威光を使えばすぐに済むだろう。
お墓を作ると言っても墓標を作るわけではなくて、ただ穴を掘ってその中に埋めて、お花でも添えてあげるくらいのことしかできないけれど、でも墓を作らないということよりはマシだろう。
ザクザクザク!!!!
早速地面を掘っていたら、ルルも手伝ってくれた。
「しょうがないな、ピースウォーカー」
「ありがとう」
そんな時だった。
ヨロヨロヨロ..........
こっちにおぼつかない足取りで近づいてくる村人が現れた。
もちろん老化していて、ふらふらとこっちに近づいてくるのだけど、飛び跳ねるほど嬉しい気持ちになった。
「助けて、助けて...」
声を振り絞るように助けを求めてくる。
それはかろうじて聞こえるくらいだった。
そして手に持っていた十字架型の銃弾を差し出してきて、これで自分を突き刺してほしいと頼み込んだ。
「分かったよ、分かったから、何も言わないで!大丈夫だからね」
そう言って村人の背中をさすってやった。
そして差し出された十字架の銃弾を、どこにさせば痛くないかなと、体の隅々まで探っていた。
太ももだったら痛くないかな?
「よし、刺すわよ!チクッとするかもしれないけど我慢してね!」
...........バタリ。
そうやって声をかけた瞬間、その村人はその場で倒れ込んだ。
命が尽きたのだ。
「嘘でしょ!?」
ザクッッッ!!
十字架型の銃弾をすぐさま突き刺して、ジェスの威光によって過剰になった威光を吸い取ろうとしたのだけど、無駄だった。
その村人からは反応がなかった。
まさかこれって、うかが悪いの!?
もっと早く突き刺してあげていれば、生き残っていたのかな?
そして、急に頭の中にゴスペルのことが思い浮かんだ。
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