死んでいないかもしれないという可能性が浮かび上がってきたこの事実が嬉しくて、小躍りしそうになった。
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「分かったよ、やればいいんでしょ、やれば!」
「そうだ。やればいいんだよピースウォーカー。そうじゃなければ、今は一刻を争うんだ。このまま瓦礫の山に押し潰されてしまうかもしれない。見殺してもいいのか?」
「そんなわけないじゃない。見殺にしていいなんて思うはずがないでしょうが。だって学校のみんなにはお世話になっているんだから!」
「そうか、それだったらやるんだ。ほら早く!」
まず、いなさそうな場所に向かってやってみることにした。
いきなり、いそうな場所で試すよりも、なんとなくいなさそうな場所で試した方がいいと思ったからだ。
「そんなところにいるわけがないだろう!」とピアスピアを構えた時に文句を言われたけれど、自分のペースでやらせて欲しい。
「ピースハーモニーッッッ!!!!」
ドゥルルルルルルルルルルルルルッッッ!!!!!!!!
キャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!
パラパラパラパラパラ......。
一部瓦礫の山は一気に消し飛んだ。
しかし威光がパワーアップしていたのもあって、何もかも消し去ってしまった。
その下に誰が押しつぶされそうになっていたかなんて当然わかるはずもなく、嬉しさとは真逆でハラハラした。
なぜパワーアップしたかというと、これはやはりゴスペルとの鍛錬のおかげだろう。
あの時間があったからここまで強くなれたのだけど、今この状況では素直に喜べない。
「どうしよう、もう打てないかもしれない」
「なぜだ?」
「だってこんな力強いピースハーモニーで瓦礫の山を吹き飛ばせば...」
「分かった分かった。言いたいことはわかった。でもやらなければいけないだろう?」
「もし瀕死の状態に陥っている天志がそこにいたら、うかがこの手で殺しちゃうことになるのよ?そんなこと耐えられないよ!ゴスペルみたいにまた殺しちゃったらと思うと...」
「あれは事故だしいつまでもうじうじと考えていない方がいいぞ。あれは事故だし、僕にだって責任があるんだ。だから一人で抱える必要はない」
「そんな言い方ないじゃない!ゴスペルってあなたの仲間だったんでしょ?ゴスペルが死んで悲しいと思わないの?」
「そうだな。悲しいんじゃないか?」
「何で疑問形なのよ?ありえないんだけど!まさか興味ないとでも言うわけじゃないでしょうね?」
「興味ないことはないが、今はそんなことをしている場合ではないだろう?理屈で考えば」
「そうね。その通りね」
感情では納得できなかったけれど、ルルの言っていることは間違いないんだろう。
「それよりも早く撃つんだ」
「そんなに撃ってほしい?というかそんなに瓦礫の山を吹き飛ばしたいんだったら、あんたがやればいいじゃない。ゼロジックにもそういう能力はあるでしょう?」
「あるけどピースウォーカーほどの威力はない。だから本当に効率的にやろうと思えば、ピースウォーカーがやった方がいいんだ。さぁ、やるんだ」
「自分でできると思うんだけどな」
「いいか?今は一刻を争うんだ。父上が瓦礫の下に埋まっていて、今もどこかで助けを求めているかもしれない。そう思ったらいても立ってもいられなくなる」
「分かったわよ、そこまで言うんだったらやるわよ」
そしてもう一度ピースハーモニーを放った。
パラパラパラパラ...。
2度目に放った時も、やはりそれらしい残骸は見つからなかったので、立て続けにピースハーモニーを放っていった。
本当はやりたくなかったけど、ルルがそばで無言の圧力を加えてくるのだから、そうする他ないじゃない。
そんな感じで淡々とピースハーモニーを放っていった。
無言で、無心で、無頓着に。
自分がピースハーモニーを放つだけの機械になったかのような気分になった。
「どこにもいないな」
「そうみたいね」
最後までやった。
瓦礫の山が目の前から消え去るまで、やり続けたのだけど、そこに天志だと思われるような死体はどこにもなくて、2人とも頭の中にはてなマークが浮かんだ。
「ここまでやって見つからないなんていうことがあるかしら?ありえないと思うんだけど」
「そうだな。考えられるとしたら...」
腕組みをしながらルルは偉そうな態度で物思いに耽っていた。
「そうだな、やはりそうだ」
「何よ?早く言ってよ!」
「ここまで死体が見つからないということは、どう考えてもおかしいだろう。という事はここにはもともといなかったということだ」
「どういうこと?救世軍OLIVの逆鱗に触れて救世執行妨害の被害にあったけれど、おそらく殺されて木っ端微塵にされたわけではないんだ。そこまでやる理由がないし、非効率的だ」
「ということはどういうこと?」
「捕まったということ以外にはありえない。そして連れ去られたんだろう。OLIVの本拠地に連れて行かれたということだ。ヴィクトル様のもとに連れ去られたということだ」
「なんでそんなことをするのよ?」
「分からない。もしかしたら父上がいるから殺戮の限りを尽くすわけにはいかないということになり、本拠地に連れ帰った方がいいという判断になったのかもしれない。
「なるほどね。それだったらやるべきことは一つね」
「そうだ、OLIVの本拠地に戻って父上達を救ってやるんだ」
このルルの一言によってどれだけ元気が湧いてきたことか!
死んでいないかもしれないという可能性が浮かび上がってきたこの事実が嬉しくて、小躍りしそうになった。
「それじゃあどうするの?」
「もちろん助けに行くしかないが、本拠地まで歩くしかないだろうな。僕たちは今、羽根がないのだから」
「かなり遠いわよね?」
「そうだな。でも威光を使って走れば、まあなんとかなるだろう」
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