まあでも、仲間が殺されたとなったら怒りとともにここまでやってもおかしくないか。
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だめだ、何もかも吹き飛ばされていて生き残っている天志がいるとは思えない。
「どこまであいつらは蹂躙して行ったのよ!ちょっとピースウォーカーをかくまったからって、ここまでやるかな、普通!?」
まあでも、仲間が殺されたとなったら怒りとともにここまでやってもおかしくないか。
そう考えると罪悪感が込み上げてきたけれど、今はそれを抑え込んでおくことにした。
「あれは何だ、ピースウォーカー?」
「何よ?何か見つけた?えっと、あれは井戸じゃないかな?」
そうするとルルは何の期待も持っていなかったようだけれど、一応確認しておくかと言ったようなそぶりでそこに近づいて行ったのだった。
「ちょっと待ってよ!うかも一緒に行くから、そんな早く飛ばないで!!」
そして追いついた。
「何かあった?」
先に井戸の中を覗いているルルの背中に尋ねてみた。
「何かがいる」
まさか...?
「もしかしてこの井戸の中に身を投げて誰かが助かったっていうの!?でもなかなか深いわよ。生きているかしら?」
「ピースウォーカー、あのうつ伏せになって井戸の底で倒れている天志を拾い上げてくるんだ」
「全く。相変わらず人の扱いが雑ね。ゴスペルの気持ちがわかるわ」
「何だ?」
「何でもありません」
ちょっと苦労したけど、なんとか引き上げた。
「よいしょ...。これでいいですか?」
「ご苦労」
そう言って、うつ伏せだった子の顔を確認したら、仰天した。
なんと、この教義学校に救世軍OLIVを連れてきたミサじゃないか。
まさか救世執行妨害に巻き込まれたのだろうか?
もし巻き込まれたのだとしたらこんなひどいことがあるだろうか?
密告をしたのはこの子だというのに、そんな子まで巻き込むというのか?
「大丈夫か?」
ルルは体を揺さぶったけれど、ちょっと心配になったから止めておいた。
「大丈夫だ。これくらいでどうにかなるわけじゃない。それに何かあれば楽園の光を使えばいいんだ」
「それはそうだけどさ」
そんな感じでルルと小さな一悶着があったら、幸いなことにミサが目を覚ました。
「ゴホッゴホッ...」
「大丈夫?」
そうだ、この子はピースウォーカーであるうかに対する偏見が強いわけだから、多分声をかけて心配しない方がいい。
そういう風に一瞬躊躇したのだけど、それでもやはり心配する気持ちは抑えられなくて、もう一度大丈夫だった?と背中をさすってあげながら、尋ねてみた。
そうするとミサはなんて返事をしてきたと思う?
なんと無視をしてきた。
こんな事ってある?
だけどめげなかった。
「ねえねえ、ピースウォーカーに対して何でそんなに偏見を持っているの?あなた何があったのよ?なんでそんなに差別してくるのよ?」
そうやってしつこく聞いていた。
そうするとようやくミサは口を開いてこう言ったのだった。
「ママとパパから聞いたの」
「何を?」
「終焉の惡魔に恋をしている不届き者というのがいて、それはピースウォーカーって言うんだよって言われたのよ。そういうことを子供の頃から散々聞かされてきた。だからあなたたちピースウォーカーに全くいいイメージがないの」
「何それ?そんなことしたことはないけど...」
いや、思い当たる節がある。
「なるほど、そういうことだったのか。そのピースウォーカーの名前ってもしかして安楽静という名前だったりしない?」
率直に聞いてみた。
そういう風に質問をするとミサはまっすぐこっちを見てきて、そうだよと言ってきたのだった。
「ねえ僕ちゃん。ピースウォーカーがそういう風に噂をされていた事って知ってた?」
「いや知らないな」
「まああんたは楽観主義だからそういったものを耳にしたとしても、もしかしたら忘れているのかもしれないね」
「なんだ、馬鹿にすんなよ」
「まあいいわ。あのね、うかを静さんと一緒にしないで。自分の娘よりも恋愛を優先したあんな人と何で一緒にするのよ?」
そういう風に吐き捨てたのだけど、自分に対して一生懸命物を教えてくれた人をそんな風に言うと、胸の奥がチクッとして、ちょっとだけ後悔した。
「そのピースウォーカーってあなたのことじゃないの?」
「違うわよ。だって、うかがピースウォーカーになったのって最近だもん。それは先代のピースウォーカーの話だよ。まあその先代と関係なくはないけどね。だけど終焉の惡魔と繋がりを持つなんていう、そんなことは絶対にない。だから安心して?」
しかしこう発言したのをすぐさま後悔することになったのだった。
「待つんだ、ピースウォーカー。ゴスペルとの鍛錬の前に言ったじゃないか。友達が終焉の惡魔に捕まったから助けてあげたいと。捕まったというのはどういうことだ?普通だったら即座に終焉の惡魔はその友達を殺すはずだ。捕まったということは人間が終焉の惡魔に協力したということではないのか?だったら繋がりを持つなんてそんなことは絶対にないということは矛盾する!一体どういうことだ?」
そう言うとルルよりも恐ろしい顔をしていたのがミサだった。
「まさかお姉ちゃん、嘘ついたんじゃないよね?やっぱりお姉ちゃんはピースウォーカーなんだ!ピースウォーカーっていうのは終焉の惡魔と同等の卑しい存在なんだ!」
騙されたと言ったような表情と同時に、憎しみみたいなものが目の中に宿って、これはとんでもないことになったと思ったのだけど、時すでに遅しで、どれだけ言い訳をしてももうそういった言い訳は通用しないだろうといったことをその表情が物語っていた。
「これには事情があるのよ!」
「事情なんてないよ!言い訳なんていらない!どれだけ喋っても全部言い訳だよ!だってピースウォーカーってそういう存在だもん!!」
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