プロローグ
〈本当に去ってしまうの、秀明?〉
〈ごめん、みんな。仕方ないんだ。父さんの仕事の都合で、家族で引っ越さなきゃいけなくなった。僕と妹も一緒に行かなきゃならないんだ。〉
〈でも、そんなのずるいよ、秀明。〉
〈そうだよ。お父さんたちに何とかしてもらえないの?〉
〈悪いけど、今日がみんなで一緒に遊べる最後の日なんだ。〉
〈彼女たちは誰だ?〉
そこには、何人かの女の子と話している男の子がいる。その子は私のように見える。
いや、待て…間違いなく私だ。
〈なぜ子供の頃の自分を三人称で見ているんだ?〉
でも、あの女の子たちは誰だ?
顔が見えない。
何人いるのかもわからない。
でも、悲しそうだ。私は彼女たちに別れを告げている。
ああ、そうか。今思い出した。引っ越す直前のことだったはずだ…でも、彼女たちのことも、あそこに住んでいた頃のことも、まったく覚えていない。
私は、あの匿名の影たちと遊んでいる自分の姿を見続けている。小さな公園で、日が暮れるまで一日中遊んだ。頭のてっぺんから足の先まで、土と泥で汚れている。
彼女たちの姿は見えないが、きっと同じくらい汚れているのだろう。
〈やばい、お母さんに怒られるよ。〉
一人の女の子が愚痴をこぼす。
〈そんな状態なら…君のお母さんはしっかり叱るだろうね。〉
子供の頃の私だけが、はっきりと見える存在だった。
服…髪…顔…もう全身が泥だらけで、まるで土の王様だ。
〈約束してくれる?〉
一人の女の子が子供の頃の私に近づいた。最初に「本当に行っちゃうの?」と尋ねたあの子だ。
〈もちろん!〉
私は確信を持って答えた。
〈安心しろ、子供の頃の私よ。どんな約束だってしてやればいい。どうせいつか彼女たちに再会することなんてないだろうからな。〉
〈私たちのことを絶対に忘れないって約束してくれる?〉
〈もちろん!〉
またしても確信に満ちた返事。
〈ああ、子供の頃の私よ…もし知っていたらな。〉
私は彼に真実を伝えようと近づきたい気持ちと、もう一方ではその場に釘付けにさせる気持ちがある…子供に悲しい思いをさせるつもりはない。たとえその子供が私自身だとしても。
―キーン―
〈何の音だ?〉
甲高く耳をつんざくような音が、公園中に響き渡る。子供たちには聞こえていないようだ。
―キーン―
―キーン―
―キーン―




