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鑑定スキルで全てを最適化したら、最弱の村が国家になりました  作者: 慈架太子


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47話:処刑

朝の冷気が、広場を白く包み込んでいた。

かつて平和な市場が開かれ、子供たちの笑い声が響いていたその場所は、今、冷酷なまでに静まり返っている。

石畳の上には、昨晩の雨の名残が薄く膜を張り、昇り始めた太陽の光を鈍く反射していた。


そこに、捕らえられた者たちが並べられていた。

かつての華麗な装飾が施された法衣や軍服は泥にまみれ、引き裂かれている。その姿に、かつての威厳や権力の欠片も残っていない。彼らはただの、命を長らえようと震える弱々しい塊に過ぎなかった。


広場を埋め尽くした民衆のざわめきは、予想に反して小さかった。

怒号を浴びせる者も、石を投げる者もいない。

彼らはただ、じっと見つめていた。自分たちの生活を壊し、家族を奪い、街を焼き払おうとした者たちの最期を、その目に焼き付けようとするかのように。

その沈黙は、激しい罵声よりも重く、処刑を待つ者たちの精神を容赦なく削り取っていく。


中央に、一人の男が引きずり出された。

ヴァルディン領の利権に深く関わり、この地に死をもたらした中心人物の一人だ。

かつては傲岸不遜な態度で他者を踏みつけにしてきたその男も、今は自らの足で立つことさえままならない。顔は土気色を通り越して青ざめ、歯の根が合わないほどにガタガタと震えていた。


オルシェが、ゆっくりと前に出た。

彼の歩調には迷いもなく、憎悪に駆られた急ぎ足でもない。ただ、果たすべき義務を遂行する者の、静かな足取りだった。

リーヴも、セレスも、そして集まった兵士たちも、誰も言葉を挟まない。

この場において、オルシェは個人の復讐者ではなく、この街の意志を体現する存在だった。


静寂が極まり、耳鳴りがするほどの沈黙の中で、オルシェの問いが低く落とされた。


「……言い残すことは?」


男の喉が、引きつったような音を立てて鳴った。

彼は必死に視線を泳がせ、救いを求めるように口を開く。


「わ、私は……っ」


声が掠れ、言葉にならない。彼は必死に肺に空気を送り込み、自分を正当化するための理屈をかき集めた。


「命令だったんだ……。上の指示には逆らえない……私だって、仕方なかったんだ……!」


言葉が、崩れながら溢れ出す。それは、責任という重荷から逃げ出そうとする者の、醜悪な叫びだった。

自分はシステムの歯車に過ぎない。自分に罪はない。悪いのは時代であり、上層部である――。


だが、その言い訳を、オルシェは一言で断ち切った。


「関係ない」


一切の感情を乗せない、氷のような声だった。

オルシェは男を睨みつけることさえせず、ただ事実を突きつける。


「何を選び、何を行ったか。その結果に対する責任は、誰の命令であろうと消えはしない」


それだけだった。

慈悲を乞う余地も、議論の余地もない。

男の言葉は、オルシェの冷徹な正論の前に、無意味なノイズとして霧散した。


沈黙が再び広場を支配する。

誰も、何も言わなかった。

民衆の中には、家族を奪われた者も多いはずだ。しかし、彼らもまた、この厳粛な処刑をただ見守っている。ここで感情に任せて叫ぶことは、かえってこの「清算」の重みを損なうと理解しているかのようだった。


男は絶望に膝をつき、そのまま崩れ落ちそうになる。

だが、傍らに立つ兵士たちに無慈悲に支えられ、無理やり立たされた。

逃げ場はない。

この場所で、彼がこれまで行ってきたすべての罪と、向き合うしかないのだ。


オルシェの手によって、剣が静かに持ち上げられた。

その動作には、露悪的な残酷さも、過剰な演出もない。

ただ、過去を断ち切るための、正確で迅速な一撃が予感されるだけだった。


オルシェの瞳に、ためらいの影はなかった。

彼は、これから自分が背負うものの重さを理解している。人を殺めるという行為が、どれほど魂を削るものかも知っている。

それでも、彼は目を逸らさない。

ここで甘えを許せば、死んでいった者たちの無念は行き場を失い、新しい未来の土台が腐ってしまうからだ。


剣が、振り下ろされた。


空気を切り裂く音は、驚くほど小さかった。

肉を断ち、骨を砕く衝撃さえも、広場の静寂に飲み込まれていく。


そして――すべてが、止まった。


風が、処刑台を通り抜け、広場を横切っていく。

騒ぎ立てる者は誰もいない。

狂喜の歓声も、憎悪に満ちた罵声もない。

ただ、一つの因縁が終わりを迎えたという事実だけが、そこに横たわっていた。


「……終わった」


背後のどこかで、誰かが小さく呟いた。

それは勝利の宣言ではなく、一つの確認だった。

長く、暗い夜がようやく明け、自分たちを縛り付けていた鎖が一つ、消え去ったことへの。


この瞬間、過去は切り離された。

街を焼いた者、友を殺した者、それを命じた者。

彼らの死によって、憎しみの連鎖が完全に止まるわけではない。

しかし、少なくともこの街において、彼らが再び影を落とすことはもうない。


オルシェは剣に付いたものを拭い、静かに鞘に収めた。

彼の背中に、朝の光が差し始める。


もう、後ろを振り返る必要はない。

山積した課題、迫りくる次なる脅威、壊れた街の再建。

やるべきことは山ほどある。


だが、彼らの足取りに、もう迷いはない。

過去を葬り、責任を引き受け、彼らはただ、前に進むだけになる。

広場を埋め尽くした民衆もまた、一人、また一人と静かに立ち去り、それぞれの「今日」を始めるために動き出していた。





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