350 深層のせめぎ合いと救済の術式
エヴリーヌの柔らかな素肌の胸に抱かれ、カリナは静かな寝息を立て始めた。カグラはその安らかな横顔を見つめ、カリナの頬を優しく撫でた。
「やっぱり、疲れが出やすくなってるみたいね」
「はい……。祝宴の途中で回復の術はかけましたけど……肉体的なものというより、精神的な疲労もあるんでしょうね」
サティアも心配そうに眉を下げる。
「ん、もしかしたら……」
エヴリーヌが腕の中のカリナの細い背中をさすりながら呟いた。
「女神アリアの魔法で、侵食自体はある程度ゆるやかになってはいても……精神の底、深層心理の奥深くで、カリナ自身の自我と、このアバターの少女の精神が激しくせめぎ合っているのかも。だから、こんなにも疲れやすいのかな? かな?」
その言葉に、カグラはハッとしたように目を丸くした。
「そうかもしれないわね……。見えないところで互いの自我が絶えず衝突しているから、何もしていなくても激しく体力を消耗し、疲れやすいのかも」
「なるほど……。可能性は高いですね」
サティアも深く頷き、エヴリーヌを見る。
「体力的には私達よりも遥かに強靭なはずなのに、なぜそこまで疲れるのかずっと謎に思っていたんですよね。エヴリーヌさん、カリナさんの本質的なところを見抜いたのかもしれませんよ」
エヴリーヌはカリナの赤い髪を撫でながら、少しだけ誇らしげに胸を張った。
「ん、私はやればできる子。……さっき祝宴でサティアが回復させたのに、何でこんなにもすぐ疲れて眠くなるのか、色々と考えてた」
「うん、ナイスよエヴリーヌ。体力の維持はもちろんだけど、今は精神に作用する術の方が効果が高いのかもね。まあ私は『相生』の術で、今まで通り症状が出なくても予防としてかけるようにするわ」
「私も、いつもの症状が出た時に鎮めるための術『セイントレス・エンブレイス』を、予防でかけるようにします」
カグラとサティアが方針を固めると、エヴリーヌは「ん、対策は決まった」と頷いた。
「じゃあ、カリナがのぼせないようにもう上がった方がいい。寝室で昼寝する前に、二人は術をかけてあげて。私はいつも通り、母乳係を遂行する」
エヴリーヌは「よっと」と小さく声を掛けながら、カリナの身体の向きを変え、そのまま軽々とお姫様抱っこで抱き上げた。カグラ達も一緒に湯船から立ち上がり、一行は脱衣所へと向かう。
彼女達の白い素肌は湯船の熱で上気し、淡い桜色に染まっていた。スレンダーなエヴリーヌ、そして豊満なカグラとサティア。それぞれの美しく肉感的な肢体が午後の陽光に照らされ、滴る水滴と共に非常に美しく、そして煽情的な光景を作り出している。
脱衣所のベンチにカリナをそっと寝かせると、エヴリーヌはふかふかのバスタオルを手に取った。カリナの特徴的な赤い髪を拭き、幼さが残りながらもしっかりとした柔らかさを持つ身体、そこそこの大きさの形の良いバスト、細く引き締まったウエスト、そして女性らしい曲線美を描く腰回りからつま先までを、慈しむように丁寧に拭き上げていく。
「ん……? 寝てたのか……。すまない、運ばせてしまったな……」
水滴を拭き取られた心地良さに、カリナがふと目を覚まして起き上がった。
「ん、大丈夫。カリナは軽い」
エヴリーヌは自身のグリーンの髪や、上気したスレンダーな肢体を拭きながら淡々と答える。その横では、カグラとサティアもうっすらと上気した豊満で柔らかな肢体を、髪の毛から順に丁寧に拭いていた。
「ありがとう、エヴリーヌ」
カリナは礼を言い、ルナフレアが準備しておいた清楚な白のレースのショーツを穿く。そして、以前セラフィナから貰った、ピンクのフリルがふんだんにあしらわれた愛らしいワンピースを身に着けた。
エヴリーヌはセクシーな黄色のショーツを穿き、透け感のあるグリーンの薄手のナイトドレスを着る。カグラはレースの黒いショーツの上に水色の浴衣を羽織って帯を締め、サティアは純白のセクシーな紐パンの紐をきゅっと締め、ブラウンの薄手のナイトドレスを纏った。仮眠を取るため、四人とも胸を締め付けるブラジャーは着けていない。
エヴリーヌは魔導ドライヤーの温風でカリナの髪をふんわりと乾かし、続けて自分の髪も乾かす。カグラも同じように魔導ドライヤーでサティアの長い黒髪を乾かし、自身の明るい茶色のミディアムヘアを整えた。
「ふぁ……さて、夜の部までは少し寝るか」
カリナは小さくあくびをしながら伸びをし、寝室のキングサイズのベッドへと向かった。エヴリーヌ達もその後を追う。
カリナがベッドの真ん中に横になり、すぐに目を閉じようとした時。
「カリナちゃん、寝る前に私達が予防で術をかけるわ」
カグラはベッドの端に腰掛けながら声をかけた。
「え? でも、今は症状は出てないぞ」
不思議そうに瞬きをするカリナに、サティアが優しく説明する。
「先程の祝宴の場で、私はカリナさんに疲労回復の術をかけました。それなのに、カリナさんはすぐに眠くなりましたよね。……さっきエヴリーヌさんが言っていたんですが、恐らく女神アリアの魔法で侵食自体はゆるやかでほぼ停まっていても、深層心理の奥深くで、カリナさんの自我とアバターの少女の精神が常にせめぎ合っているのだと思うんです」
「……」
「だから、体力的には問題なくても、精神的な疲労が蓄積して症状が酷く出る。……なので、症状が出ていなくても、就寝前や寝起きなどに私達が予防のために精神に効くいつもの術をかけますね」
「そうか……。なるほどな」
カリナは自身の両手を見つめ、静かに納得した。
「体力はあるのに疲れるのは、精神の奥底で自我とアバターがぶつかり合っているからか……。……だから精神的なものが疲労として出るのか」
「ええ、これはエヴリーヌがよく気付いたわ。お手柄よ」
カグラが褒めると、エヴリーヌは「ん、ぶいぶい」と真顔で両手のピースサインを作った。
「そうか、気付いてくれて……いや、そこまで私のことを考えてくれて、ありがとうな、エヴリーヌ」
「ん、大丈夫。カリナの苦しみに比べれば、この程度の推論は大したことじゃない。……私は今後も、母乳係を完璧に遂行する」
「はは……そうか。まあ、あの症状が出た時は頼むよ」
カリナが苦笑して了承すると、カグラが手招きをした。
「じゃあ、まずは私からいくわ。おいで、カリナちゃん」
カリナはベッドの上を移動し、側に座り直したカグラの元へと寄り添った。カグラはカリナを自身の膝の上に座らせ、左腕でその柔らかな身体を胸元へと抱き寄せる。
右手で流麗な印を結び、カグラは深い集中と共に祝詞を詠唱し始めた。
「――荒ぶるは陰、
昂ぶるは陽。
乱れは相克にあらず、
均衡の忘却なり。
我が掌にて調えよ。
我が息にて還せ。
相生帰魂――天静輪」
それは、相克ではなく『相生』を極限まで高めた、カグラの精神安定系奥義。陰(不安・恐怖・暴走)と、陽(衝動・怒気・過剰覚醒)を衝突させず、完全調律させて円環に戻し、対象の魂の振動数を強制的に整える『救うための奥義』である。
カグラとカリナが座るベッドのシーツの上に、白銀の陰陽円陣が浮かび上がる。背後に静かな満月の幻影が重なり、鈴の音のような清らかな霊響が室内に響き渡った。カリナの周囲に淡い光の輪が生まれ、呼吸が自然と穏やかなものへと整っていく。
カリナの精神が完全に安定し、その表情から僅かな険しさも消え去ったのを確認すると、カグラは安堵の息を吐いた。
「じゃあ、次はサティアよ」
カグラは側に座っていたサティアへとカリナを渡す。
サティアは受け取ったカリナの身体を、ピンクの蕾が透けて見えそうなほど薄手のナイトドレスの胸元にしっかりと抱き寄せた。
「『セイントレス・エンブレイス』」
サティアが上位聖女神聖術を詠唱する。
それは彼女の聖女としての力を最大限に発動し、対象の魂を優しく包み込む神聖術。精神崩壊や侵食、洗脳、さらには悪魔の精神干渉をも完全に浄化する、仲間の精神を守るための聖女専用の極位術式である。温かな光がカリナの全身を包み込み、深層心理の底で激しくせめぎ合っていた二つの自我の衝突が、完全にストップした。
カリナの顔に、これまでにないほど安らぎに満ちた表情が浮かぶ。
二つの強大な術による反動と、精神的重圧から解放された安心感から、カリナはサティアの豊かな胸に抱かれたまま、こてんと首を傾げて静かな寝息を立て始めた。
「……寝ちゃったってことは、きっと成功よね」
カグラが「ふー」と深く息を吐き、額の汗を拭う。
「はい、効果があったからこそ、深層心理内のせめぎ合いが停まったことによる反動で、すぐに寝てしまったんでしょうね」
サティアも安堵の笑みを浮かべ、深く息を吐き出した。
「ん、成功したなら良かった。じゃあ、寝ている間は母乳係の私がカリナの側にいる」
エヴリーヌはサティアの胸に抱かれて眠るカリナをそっと抱き上げ、ベッドの中央に寝かせた。自身はその右隣に横になり、カリナの安らかな寝顔を、自身のナイトドレス越しの柔らかな胸元へと抱き寄せる。
安心しきったように、エヴリーヌもすぐに静かな寝息を立て始めた。
「あらら……あっと言う間に寝たわよ」
カグラが呆れ顔でその光景を見下ろす。
「ふふ、エヴリーヌさんなりに、カリナさんにできることがないか、きっと必死で考えていたんでしょうね。……私達も寝ましょうか」
「そうね。大きな術を使ったから、魔力の消費も激しいわ。寝ましょう」
カグラはカリナの左側に潜り込み、その細い腰に腕を回して抱き着いた。サティアも同じく左側から、カリナの隣に横になる。
カグラとサティアも目を閉じ、四人の乙女達は祝宴の合間の、束の間の休息へと落ちていった。
◆◆◆
数時間後。
窓の外の空が夕刻の茜色から深い夜の闇へと変わり始めた頃、カリナはこれまでにないほどスッキリとした爽快な気分で目を覚ました。
視界が少しずつ鮮明になる。
顔のすぐ右側には、寝ている間にナイトドレスがずり落ち、形の良い美乳を惜しげもなく露わにしたエヴリーヌが、カリナの顔をその素肌の胸に抱き締めて眠っている。左側からは、これまた寝返りの拍子にナイトドレスの胸元がはだけ、規格外の巨乳を零れさせたサティアが、カリナの背中を胸元に抱き締めている。そして腰から下には、カグラがカリナの細い腰にしっかりと腕を回し、抱き枕のようにしてしがみついていた。
カリナはエヴリーヌの素肌の胸に頬を摺り寄せた。柔らかなすべすべとした肌の感触、温もり、鼻腔をくすぐる甘い香り、そして耳に心地良く響く、規則正しく刻まれる心音。その全てが、カリナの心に絶対的な安心感をもたらしていた。
進んでしまった分のアバターの侵食は、二度と元には戻らない。
そのため、目覚めたカリナは本能的に湧き上がる「甘えたい欲求」に抗うことができなかった。カリナは身じろぎし、エヴリーヌのそれなりの大きさを持つ美乳の柔らかな谷間へと、自ら顔を深く埋めた。そしてエヴリーヌのスレンダーな身体に右手を回し、ぎゅっと抱き締め返した。
「ん……? カリナ……」
自身の身体が抱き締められ、はだけた素肌の胸の谷間にカリナが顔を摺り寄せた感触に、エヴリーヌが目を覚ました。カリナの腕に込められた力強さに、エヴリーヌは「また症状が出てしまったのではないか」と一瞬身構える。
しかし、腕の中のカリナの身体は震えておらず、自分の素肌の胸が涙で濡れていくような悲痛な感触もない。カリナが、ただ純粋に自分に甘えてくれているのだ。それを理解した瞬間、エヴリーヌの胸の奥から途轍もない多幸感と、狂おしいほどの愛おしさが込み上げてきた。
「カリナ……好き……っ」
感情の爆発を抑えきれず、エヴリーヌはカリナの華奢な身体を、自身の素肌の胸へとぎゅっと強く抱き締めてしまった。
「むぐっ……! く、苦しい、エヴリーヌ……っ」
カリナが息を詰まらせ、エヴリーヌの背中をタップする。
「ん、はっ、危ない。カリナが可愛過ぎて、逆に締めてしまった」
慌てて力を緩めたエヴリーヌは、至近距離で見上げてくるカリナの美しい碧眼を見つめ、そのまま吸い込まれるようにカリナの唇に口づけをした。カリナは、もうこういうのが彼女達なりのスキンシップの一種なのだと完全に理解し、諦めているため、抵抗せずに大人しく受け入れた。
しかし、カリナの無抵抗さにエヴリーヌの理性が暴走した。彼女はそのままカリナの口内へと、熱い舌を這わせてきたのだ。
「んむっ!?」
さすがに驚いたカリナは顔を背けて唇を離した。
「こら、そこまではしたらダメだろう」
「ん……。カリナが可愛過ぎて、止められなくなった」
エヴリーヌは口元を拭いながら、全く悪びれずに真顔で答える。
「はあ……。お前達はすぐそうやって調子に乗るなあ」
カリナは呆れたように溜息を吐いたが、術の御陰で心が嘘のように軽くなっているため、その顔には自然と柔らかな笑顔が浮かんでいた。
「ん、カリナが笑った。……嬉しい」
エヴリーヌは嬉しそうに目を細め、再びカリナを抱き締めた。
カリナはしばらくそのままエヴリーヌの素肌の胸に抱かれていたが、カーテンの隙間から差し込む光が完全に夜の闇へと変わっていることに気づいた。
「エヴリーヌ、そろそろ起きるぞ。祝宴の夜の部が始まるからな。深夜までやるだろうけど、ここで二度寝したら魔法花火が見られなくなる」
「ん、わかった。もう少しこうしてたいけど、起きる。……魔法花火は特別。それに、肉肉コンビを起こさないといけない」
エヴリーヌがカリナを抱いたまま身体を起こすと、その拍子にサティアとカグラも目を覚ました。
「んん……、おはようございます、カリナさん。調子はどうですか?」
サティアが、ナイトドレスから丸出しになった巨乳をぷるんと揺らしながら身体を起こす。
「お前達の御陰で、凄く調子がいいよ。ありがとう」
「ふふっ、それは良かったです」
サティアが嬉しそうに笑うと、それに連動して巨乳がぷるんぷるんと豊満な揺れを描く。
「ん……堕肉が揺れている……。おのれ……」
エヴリーヌはその光景を見て、ギリッと歯噛みした。
「ふぁあ……」
カグラもいつの間にか帯に浴衣が引っ掛かっただけのような、ほぼ全裸に近い姿で起き上がった。巨乳をぶるんと揺らしながら、あくびをして両手を伸ばして伸びをする。そしてショーツも丸出しの無防備な状態のまま、カグラはカリナに抱き着いた。
「カリナちゃん、調子はどう?」
「ああ、今は凄くスッキリして爽快な気分だよ。お前達の御陰だ、ありがとう」
カリナは抱き着いてきたカグラの明るい茶色の頭を、愛おしそうに撫でてやる。
「ふふふっ、それは良かったわ。カリナちゃんが元気なのが一番よ」
カグラが嬉しそうに笑い声を上げた。しかし、その平和な空気をエヴリーヌが切り裂いた。
「ん、おのれ肉肉コンビめ。……堕肉でカリナを誘惑している」
エヴリーヌは零れ落ちそうな二人の巨乳を睨みつけると、そのままカグラとサティアに飛び掛かった。
「けしからん堕肉をしおって!」
エヴリーヌの両手が二人の巨乳を容赦なく揉みしだく。
「ああっ……! エヴリーヌさんっ……!」
サティアが敏感に感じ、甘い声を上げる。
すぱーんっ!!
カグラが枕元に置いていた扇子を掴み、見事なスナップでエヴリーヌの頭をひっぱたいた。
「起き抜けに何をしてんのよ、アンタは!!」
「ん、痛い。……でも、石鹸よりはマシ」
エヴリーヌが頭をさすりながら弁明する。
「堕肉が目の前でぶらぶらぷるぷるしてたから、つい……」
「はははっ、お前達は相変わらずだな」
カリナは三人のドタバタ劇を見て、心から楽しそうに笑い声を上げた。精神状態が完全に安定し、余裕を取り戻している証拠だった。それを見た三人も自然と笑顔になる。
「さて、そろそろ着替えないとな」
カリナはベッドから降り、準備されていたセットの白いレースのブラジャーを手に取った。
「ん、私がする」
エヴリーヌが素早くそれを奪い取り、カリナの背後に回る。カリナのそこそこの大きさの胸肉を丁寧にブラに詰め込み、美しい形に整えてカップにおさめると、後ろでホックをパチンと留めてやった。
カリナは、午前中に『モード・ド・エデン・セレスト』でエクリアに強引に買わされた、夜の部・お色直し用のドレスを手に取った。ナイトドレスを脱いでショーツ一枚になったエヴリーヌが、手際良く着付けを手伝う。
それは、大人びた艶やかさを引き出す、黒を基調としたシックなマーメイドラインのドレスだ。胸元とウエスト部分には、深紅の薔薇を模した豪奢なレースがあしらわれており、カリナの白い肌と見事なコントラストを描いている。右脚の太腿の付け根まで大胆に入ったスリットからは、歩くたびに彼女の滑らかで美しい脚線美が覗く。足元には、黒いエナメルのピンヒール。普段の装いとは全く異なる、洗練された大人の色香が漂っていた。
「うん、まあ……綺麗目で悪くないな」
姿見で自身の装いを確認し、カリナが少し照れくさそうに呟く。
「ん、カリナは何を着ても似合う。やはり、女神」
エヴリーヌがうっとりと溜息を吐いた。カグラとサティアも浴衣とナイトドレスを脱ぎ捨て、ショーツ一枚の姿になると、カリナの背後からその巨乳を押し付けるようにして抱き締めた。
「うんうん、凄く似合ってるわ。大人の魅力ってやつね」
「はい、とっても大人っぽくて素敵です」
「ありがとう。……お前達も、早く着替えないとダメだぞ」
カリナに急かされ、三人は昼間まで着ていたそれぞれのドレスを手に取り、身に纏っていく。カリナがエヴリーヌの背中のファスナーを上げてやり、カグラはサティアの編み上げを手伝い、サティアもカグラのドレスの形を整える。手分けして準備を進め、全員の着替えが完了した。
丁度その時、カリナ達が会場に戻って来ないことを心配したルナフレアが、様子を見に部屋へとやってきた。
「皆様、ここにいらっしゃいましたか。……カリナ様、お加減はどうですか?」
「すまない、心配かけたな。少し疲れが出てたけど、カグラとサティアの術で安定したし、エヴリーヌがずっと面倒を見てくれたから、体調は万全だ」
カリナが晴れやかな笑顔で応えると、ルナフレアはホッと胸を撫で下ろした。
「それは良かったです。……まあ、それが先程のドレスですね。カリナ様に本当によく似合っています」
「ありがとう。じゃあ、そろそろ戻ろうか」
カリナが歩き出すと、三人の乙女達とルナフレアがその後へ続く。
一行は、夜の帳が下り、ますますの熱気と盛り上がりを見せるであろう五大国連合の祝宴の会場、『玉座の間』へと向かって、再び歩みを進めるのであった。




