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聖衣の召喚魔法剣士  作者: KAZUDONA


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344  祝宴前の着替えと大惨事

 モード・ド・エデン・セレストでの華やかな買い物を終えた一行は、沸き立つ城下町の熱狂を背に、滑り込むように王城へと帰還した。カリナ、カグラ、サティア、エヴリーヌの四人はもう当たり前のように行動を共にしている。


 特記戦力の居住区のカリナの自室に到着し、カリナが専用のカードキーを機械にかざすと、電子音が鳴り響き、重厚な自室の扉が横にスライドした。


「お帰りなさいませ、カリナ様!」


 入室するやいなや、出迎えたのは側付きの妖精族、ルナフレア。彼女はいつものように、弾かれたような勢いで駆け寄ってくると、カリナの小柄で愛らしい身体をぎゅっと抱き締める。メイド服越しに伝わってくる、ルナフレアの豊満な胸の柔らかさと、花のように甘い香り。


「大袈裟だな、すぐに帰るって言っただろ」


 カリナは苦笑しながらも、ルナフレアの背中に手を回して抱き締め返した。カリナにとって、ルナフレアとのこうした触れ合いは、もはや日常のいつものことであった。カリナはその心地良さに、自然と身を委ねる。


「皆様もお帰りなさいませ。祝宴の準備、お急ぎしましょう」


 ルナフレアが微笑みながら、後ろに続く三人に一礼する。


「あはは、もうここが自室みたいな感じね」


 カグラが快活に笑いながら言う。


「正午までまだ時間はありますけれど、今のうちに最高の姿に着替えてしまいましょう。その後で、ゆっくりとお茶を頂くのがよろしいかと」


 サティアが穏やかに提案し、カリナも「そうだな」と頷く。一行は大きなクローゼットがある広大な寝室へと移動した。


 そこからは、まさに「楽園」と呼ぶに相応しい光景が展開された。


 まずカリナ達は履物を脱ぎ捨て、街を歩いていた私服を滑り落としていく。白磁のように滑らかなカリナの肌が露わになり、薄い黄緑色の清楚なブラジャーとショーツ姿になる。自分のドレスを着るのために、エヴリーヌのみノーブラになった。他の者達はショーツとブラの下着姿となった。


 ルナフレアもまた、自身の祝宴用の衣装に着替えるべく、手際良くメイド服を脱ぎ捨てた。彼女が身に着けていたのは、白を基調とした、レースがふんだんにあしらわれたセクシーなブラジャーとショーツのセット。妖精族特有の透き通るような白い素肌が、朝の光を浴びて艶やかに輝いている。


 ルナフレアは自身の着替えを後回しにし、まずは主であるカリナの着付けに取り掛かった。カリナが纏うのは、セラフィナから贈られた真紅の豪華なドレスである。


「カリナ様、失礼致しますね」


 ルナフレアの細い指先が、カリナの背中に回る。着けたままの黄緑色の清楚なブラジャーのカップに、カリナのそこそこの大きさの形の良い乳肉を丁寧に詰め込み、美しく形を整え直した。続いて、重厚な光沢を放つ紅色のドレスが、カリナの身体を包み込んでいく。


「うん……まあ、やっぱりピンクよりは赤の方がいいな。甘過ぎないし、引き締まって見える」


 カリナが姿見の前で自身の姿を確認する。そのドレスは、上身頃が深い赤のサテン生地で、胸元には白いレースとピンクのリボンがあしらわれている。パフスリーブから続く袖は、手首に向かって幾重にも重なる白いフリルが広がり、高貴な騎士の血筋を感じさせる意匠。


 スカート部分は、前面が純白の生地に紅色の刺繍が施された二重構造になっており、裾を飾るピンクのフリルが、カリナの歩みに合わせて波打つ。足元には、ドレスの華やかさを引き立てるゴールドのストラップパンプス。


「はい、とてもよくお似合いです。あのお転婆な王女様が着るよりも、カリナ様の方がお似合いですよ」


 ルナフレアの、セラフィナに対する辛辣な評価に、カリナは苦笑いを禁じ得ない。そんなカリナの着替えを、既に下着姿になっていたカグラ達が、うっとりとした表情で見守っていた。


「うん……まるでお姫様みたいよ、カリナちゃん!」


 カグラが我慢できなくなったように、下着姿のままカリナに飛びついた。黒い紐パンとブラジャーという、あまりに煽情的な姿のカグラの豊かな胸が、カリナのドレスに押し当てられ、弾力のある感触が伝わる。


「はい……さすがカリナさん。何を着ても、似合いますね」


 サティアも紺色のレースが映える肉感的な下着姿で、カグラと反対側からカリナを抱き締める。二人の圧倒的な巨乳に挟まれ、カリナの身体が埋もれていく。


「ん、カリナはさすがの可愛さ。まさに至高の存在。……それにしても、肉共がカリナを独占しようとするのは許せん。私が真ん中に入る」


 エヴリーヌまでもが、純白の下着姿でスレンダーな四肢を伸ばし、カリナに抱きついた。


「おい、お前ら……。さっさと着替えないと祝宴に遅れるぞ。手伝ってやるから、ほら、離れろ」


 自分に群がる美女達に呆れながらも、カリナは優しく彼女達を促した。エヴリーヌが「ん、そうだった。カリナの可愛さに我を忘れた」と離れると、他の二人も名残惜しそうに腕を解く。


「ふふ、カリナさんの可愛さは磁石のように私達を惹きつけてしまいます。罪な方ですよね」


 サティアが微笑みながら、アイテムボックスから先程購入したドレスを取り出した。各々がドレスを身体に合わせて着る準備を始める。


 まずはルナフレアの着替えをカリナが手伝い始める。ルナフレアが選んだのは、赤系統の落ち着いたベロアドレス。カリナのドレスと色味を合わせているあたり、彼女の忠誠心が伺える。


 肩を大胆に露出したオフショルダーのデザインで、胸元には黒いリボンがアクセントとして添えられている。ベロア特有の滑らかな光沢が、ルナフレアの銀髪によく映えていた。足元は、ドレスと同じ色のシックなヒール。


「赤系統で同じだな。お前の銀髪によく似合ってるよ、ルナフレア」


「ありがとうございます、カリナ様……!」


 歓喜に震えるルナフレアを一度抱き締め返すと、カリナはエクリアに半ば強制的に買わされたドレスを取り出した。


「ルナフレア、これをハンガーに掛けておいてくれ。エクリアにお色直しのためだと言って買わされたんだ」


「さすがエクリア様ですね、先を見越していらっしゃいます。カリナ様に絶対にお似合いですから、こちらに掛けておきますね」


 ルナフレアは恭しくドレスを受け取ると、寝室の目立つ場所にそれを吊るした。次にカリナは、エヴリーヌの着付けを手伝った。


 ノーブラになったエヴリーヌは、深紅のベロアドレスを纏う。先程試着した時の感動が、プライベートな空間で再び蘇る。胸元に施された金色の豪華な刺繍が、彼女のスレンダーな体躯に高貴な輝きを添えている。サイドに入った大胆なスリットからは、エヴリーヌの真っ白で細い脚が眩しく覗いていた。足元には黒のポインテッドトゥヒールを合わせる。


「ん、カリナが手伝ってくれた。……これは至福」


 エヴリーヌがほくほく顔で鏡を見つめる隣で、カグラの着付けはルナフレアが担当した。カグラのドレスは、鮮やかなグリーンの総レースで、袖や首元には透け感のあるメッシュが使われており、そこから覗く明るい茶髪のミディアムヘアと、健康的な肌がえも言われぬ色気を放っている。履物は足首を細く見せるレースアップのサンダルだ。


「さすがカグラ様ですね。お似合いですし、この色は中々着れないですよ」


「ふふ、ありがとう、ルナフレア」


 カグラが優雅に扇子を扇いで微笑む。


 最後は、もたついていたサティアだ。彼女はものぐさな性格が災いし、複雑なドレスの構造に苦戦していた。それを見かねたエヴリーヌが、助けに入る。


「ん、肉が邪魔して着替えさせにくい。不合理なまでの質量」


「ふふ、肉が多いので時間が掛かるんですよ。すみませんね」


 そんなコミカルなやり取りを経て、サティアの衣装も完成した。それはベージュのレースが全面に施されたロングドレスだった。インナーの黒い生地がレースから透けて見え、サティアの清楚なイメージと、隠しきれない肉体的なセクシーさが絶妙なハーモニーを奏でている。足元には黒のストラップサンダルを合わせる。


 四人の乙女達が、祝宴に向けて最高の美しさを完成させた。


 ルナフレアが「では、まだ時間もありますしお茶を淹れてきますね」とキッチンへ向かうと、部屋に残された三人の間に、緊張感が走った。


「いい、二人共。……気をしっかり持つのよ」


 カグラが真剣な面持ちで仲間を制す。


「ん、私はもう既に、パンツの中にティッシュを大量に詰めた。……準備は完璧。濡れても、漏れ出さない」


 真顔でとんでもないことを言い放つエヴリーヌ。


 すぱーんっ!!


 カグラの扇子が、エヴリーヌの頭部を正確に捉える。


「アンタは何の準備をしてんのよ!!」


「ん、痛い。……だが、二人も準備はしておいた方がいい。カリナの褒め言葉は、私達の心の最も柔らかいところに、容赦なく突き刺さる。防御を固めなければ……死ぬ」


 エヴリーヌの真剣過ぎる眼差しに、カグラとサティアは顔を見合わせた。数秒の沈黙の後、二人は無言でスカートを捲り上げると、備え付けのティッシュボックスから束を抜き取り、それぞれ下着の中へと詰め込んだ。


「……さあ、いくわよ。カリナちゃん。私達のドレス姿……どうかしら?」


 生唾を飲み込み、審判を待つ三人の乙女。カリナは、そんな彼女達の異様な気迫に困惑しながらも、率直な感想を口にした。


「エヴリーヌは、さっきも言ったけど……胸元の金色の刺繍が凄くセクシーだ。そのミステリアスでスレンダーな雰囲気に、ドレスが本当によく似合っていて素敵だと思うぞ」


 エヴリーヌの瞳が、一気に熱を帯びる。


「カグラも、そんな鮮やかなグリーンのドレスを、当たり前のように着こなせるなんて凄いな。華やかで、本当に綺麗だよ」


 カグラの頬が、リンゴのように真っ赤に染まる。


「サティアのは、お前の聖女らしい清楚なイメージにぴったりだ。その透け感のあるレースが、なんと言うか……すごくセクシーで魅力的だと思うぞ」


 カリナが一切の裏表なく、無自覚な破壊力を込めた言葉を放った。


 その瞬間――。


「んっ……!!!」「はあぅっ……!!!」「ひゃあああっ……!!!」


 三人は、まるで見えない衝撃波を受けたかのように、後ろ向きにベッドへと倒れ込んだ。


「はあ、はあ……っ! やっぱり、気合を入れて防御してなかったら……卒倒してたわね……」


 カグラが荒い息を吐きながら、朦朧とした意識を繋ぎ止める。


「はい……っ、本当に……無防備な心に突き刺さりました……。カリナさんの褒め言葉……最高です……」


 サティアもまた、潤んだ瞳で胸元を押さえ、激しく上下させている。


「ん、さっきも聞いたはずなのに……。このプライベートな空間だと……破壊力が数倍に跳ね上がる。……ティッシュ、替えなきゃ」


 エヴリーヌが爆弾発言と共に、這うようにしてトイレへと駆け込んでいった。


「……何なんだ、一体? やっぱり感想を言うのはやめようかな。なんだか毎回ダメージを与えてる気分になるし」


 カリナが頭を掻きながら困り顔で言うと、カグラとサティアは荒い呼吸のまま、バッ! と勢いよく起き上がった。


「それはダメよ!!」「はい、絶対にダメです! カリナさんの褒め言葉は、私達にとっての生きる活力、命の糧なんです!」


 二人のあまりの気迫に、カリナは「分かった分かった、悪かったよ」と手を挙げて降参する。そこへ、トイレから戻ってきたエヴリーヌが、重々しく告げた。


「ん、案の定。ティッシュが大惨事。……けれど、これこそがカリナへの愛の重み。二人も、確認した方がいい」


 カグラとサティアは、今度は迷うことなくトイレへと駆け込んだ。数分後、二人揃って出てきた彼女達の顔は、先程よりもさらに深く上気していた。


「……本当に、ティッシュが大惨事ね。まさか言葉だけで、あんなに……」


 カグラが顔を覆い、羞恥に身を震わせる。


「カリナさんの言葉だけで……こんな姿にされてしまうなんて。私、もうどうにかなってしまいそうです……」


 サティアもまた、耳まで真っ赤にして両手で顔を覆った。


「はあ……。何だか複雑な気分だ……」


 カリナが呆れていると、ルナフレアがキッチンから顔を出した。


「皆様、お茶が入りましたよ。少し落ち着きましょうか」


 一行はリビングのソファへと移動した。運ばれてきたのは、最高級の茶葉を使ったアールグレイの紅茶。ベルガモットの爽やかな香りと、共に添えられた上品なマカロンが、乙女達の火照った身体と高ぶった神経を緩やかに解きほぐしていく。


 和やかに、そしてどこか艶やかな余韻を残した談話を楽しんでいると、時計の針は正午を指そうとしていた。


「よし。じゃあ、そろそろ祝宴に行こうか」


 カリナが立ち上がり、真紅のドレスの裾を払った。カグラ、サティア、エヴリーヌ、そしてルナフレアも、それぞれの美装を整え、気合を入れ直す。


 カリナの自室を後にし、一行は煌びやかに装飾された廊下を抜け、主会場である玉座の間へと向かう。いよいよ、エデンと五大国の連合を祝う歴史的な大祝宴が幕を開けようとしていた。

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