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聖衣の召喚魔法剣士  作者: KAZUDONA


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334  湯上がりと豪奢な食卓に来訪者達

 サティア、カグラ、エヴリーヌという三人の献身的な愛情と術によって、アバターによる精神侵食の恐怖から救い出されたカリナ。賑やかで、そして少しだけ涙の混じった入浴を終えた四人の女性陣は、脱衣場へと戻ってきていた。


「今日は私がお世話係ですから」


 サティアは火照った身体から立ち昇る湯気を纏いながら、大判のふかふかしたバスタオルを手に取ってカリナの前に立った。彼女は優しく微笑みながら、カリナの濡れた赤い髪の毛を丁寧にタオルドライし、女性らしい瑞々しい曲線を描き始めている、透き通るような白い肌の身体の隅々まで水滴を拭き取ってやった。


「じゃあ、お返しだ」


 カリナは自身が拭き終わると、今度は新しいバスタオルを受け取り、サティアの前に立った。サティアの長く美しい濡れた黒髪を優しく包み込んで水分を吸い取り、続いてその豊麗で圧倒的な質量を誇る巨乳の下乳の皮膚の間や、湯上がりでほのかに桜色に染まった魅惑的な白い肌を、隅々まで丁寧に、そして愛おしむようにバスタオルで拭いてやる。その丁寧な手つきに、サティアはくすぐったそうに「ふふっ」と身を捩りながらも、嬉しそうに目を細めていた。


 一方、その隣では対照的な二人が互いの身体を拭き合っていた。カグラがエヴリーヌの髪の毛や、普段はお下げにしている後ろ髪の長い部分を丁寧に拭き、無駄な肉の一切ないスレンダーで美しい肢体をバスタオルで包み込むようにして拭いてやる。交代して、今度はエヴリーヌがカグラの明るいセミロングの茶髪を拭き始めた。しかし、彼女の手つきはすぐに妖しい動きへと変わる。


「ん、おのれ肉め……」


 エヴリーヌはバスタオル越しにカグラの豊満な肢体を撫で回し、わざとらしく巨乳をむにゅりと揉みしだき、さらに形の良いお尻をむぎゅっと鷲掴みながら拭き始めた。


「ちょっと! あんなことがあったのにも関わらず、相変わらずねアンタは!」


 カグラの容赦ない平手が、すぱーんとエヴリーヌの頭に炸裂した。


「ん、痛い。これが肉の逆襲……」


 エヴリーヌが悪びれることなく頭をさすりながら言う。


「誰が肉よ。じゃあアンタは骨でいいのね」


 カグラは腕を組んで意地悪く笑い返した。


「ん、それは肉よりも酷い。さすがカグラは容赦ない」


 エヴリーヌがぐぬぬと唸り、カグラは「誰のせいよ、誰の」と深々と呆れ返った。その騒がしいやり取りを他所に、サティアは魔導ドライヤーを手に取り、カリナの赤く毛先が金色の、絹のように細く美しい髪を丁寧に乾かしていた。特徴的なツインテールのクセ毛や、頭頂部でぴょこんと跳ねた可愛らしいアホ毛も、指先で梳きながらしっかりと乾かしていく。


「ありがとう」


 カリナはさっぱりとした笑顔で礼を言い、今度は交代でサティアの艶やかな黒髪のロングヘアを魔導ドライヤーで乾かしてやった。カグラとエヴリーヌも、脱衣場に備え付けられている魔導ドライヤーを使って、互いに髪の毛を乾かし始める。


「その後ろ髪だけ長く伸ばしてるのは、何か意味があるの?」


 カグラがエヴリーヌの髪を梳かしながら不思議そうに尋ねた。


「ん、これはお洒落。普通の髪型だと、何だか味気なかったから」


 エヴリーヌは鏡を見つめながら誇らしげに答える。


「へえ、アンタにもそういう感性があるのね」


 カグラが少し意外そうにくすくすと笑う。


「ん、それは不服。でも、現実になったから、この腰までの長さの後ろ髪を三つ編みのお下げにするのは、毎朝結構面倒なのは事実」


 エヴリーヌは長い後ろ髪を指で弄りながら少しだけ面倒くさそうに言った。


「あらそう? じゃあ、今ここで切ってあげましょうか?」


 カグラが指先をハサミの形にしてチョキチョキと動かしながら意地悪く笑う。


「ん、カグラは肉を根に持ち過ぎ。人のお洒落を奪うのはお洒落泥棒」


 エヴリーヌはサッと後ろ髪を手で庇いながら抗議した。


「何よ、お洒落泥棒って言葉は? 初めて聞いたわよ!」


 カグラが腹を抱えて笑い出す。


「はいはい、しょうもない言い合いしてないで行くぞ」


 カリナがサティアの差し出した手を握りながら、二人に声を掛ける。彼女は既に、清楚なグレーのショーツに清潔感のある白いワンピースへと着替えていた。隣のサティアも、セクシーな黒いショーツに、サテン生地の透け感のある水色のナイトドレスへと着替えを済ませている。二人はそのままルナフレアが待つキッチンへと向かって歩き出した。


「もう、アンタのせいよ」


 カグラがエヴリーヌを小突きながら、レースの黄色のショーツを穿き、その上から落ち着いた紺色の艶やかな浴衣を着て、帯をきゅっと締める。


「ん、それは違う。カグラの意地悪のせい」


 エヴリーヌも水色のショーツにブラウンのナイトドレスを着こみながら反論し、二人は連れ立ってカリナ達の後を追った。



 ◆◆◆



「あ、上がられましたか。では、リビングのテーブルに運びますね」


 キッチンで腕を振るっていたルナフレアが、カリナ達の姿を認めると、パタパタと銀髪を揺らして出来立ての料理を運び始めた。


「手伝うよ」


 カリナをはじめ、サティア、カグラ、エヴリーヌも総出でルナフレアを手伝い、リビングの大きなテーブルにあっという間に豪華な昼食が並べられた。


 ルナフレア特製の和洋折衷ランチ。魔導列車の開通により、内陸国であるエデンにも新鮮な海産物が豊富に届くようになった恩恵が、その食卓には存分に活かされていた。


 メインディッシュは、新鮮な真鯛を香草と共にふっくらと焼き上げ、焦がしバターとレモンの黄金色のソースをたっぷりと掛けたポワレ。ナイフを入れると、パリッとした皮の中から湯気と共に白身の濃厚な旨味が溢れ出す。


 傍らには、大ぶりの海老や帆立、色彩豊かな夏野菜を和風の出汁と白ワインでサッと煮込んだ、熱々のアヒージョ風スープ。バゲットを浸せば、海鮮の旨味を最後の一滴まで堪能できる。


 さらに、エデンの肥沃な大地で育った新鮮なシャキシャキの葉野菜に、カリッと焼いたベーコンと半熟卵を乗せ、特製のシーザードレッシングを掛けた大盛りのサラダ。そしてデザートには、氷魔法で冷やした硝子の器に盛り付けられた、色鮮やかな季節の果実のタルトが、宝石のようにキラキラと輝いていた。


「うわあ……凄く美味しそうだな」


 カリナが目を輝かせて席に着く。一行はソファーに腰掛け、ルナフレアの手料理を存分に堪能し始めた。


「んっ……この真鯛のポワレ、皮はパリパリなのに中はふっくらしていて、レモンバターのソースと絶妙に合いますね! 美味しいです!」


 サティアは頬に手を当てて至福の笑みを浮かべる。


「本当ね。この海鮮のスープも、魚介の出汁がしっかりと出ていて、バゲットがいくらでも進んじゃうわ」


 カグラも優雅にスープを口に運びながら絶賛した。


「ん、肉もいいけど、魚も最高。ルナフレアの料理スキルはカンストしてる」


 エヴリーヌは黙々と、しかし物凄いスピードで真鯛を平らげていく。しっかりと食べ終え、食後の紅茶を飲みながら、カリナは「ふぅ」と満足気な息を吐いた。


「満腹だ。やっぱり、ルナフレアの手料理が一番だな」


 カリナの心からの称賛に、他の三人も深く頷く。


「ありがとうございます。皆様がいつもカリナ様の状態のケアのために、こうしてこの部屋に来られるので、私も皆様に喜んで頂きたくて、色々とレパートリーを増やせていますから」


 ルナフレアが嬉しそうに銀色の髪を揺らす。しかし、ふと少しだけ心配そうな顔をした。


「ですが、皆様の側付きの方々は、少し寂しい思いをされているのではないでしょうか?」


「頻繁に自分の部屋にも帰っているから大丈夫ですよ。常にここにいるわけではないですからね」


 サティアは朗らかに微笑んで答えた。


「そうね。誰かしらはここにカリナちゃんの状態を見るためにいるけど、私達も全く自分の部屋に帰ってないわけじゃないからね」


 カグラも紅茶を飲みながら同意した。


「ん、私はほとんど帰ってない。そろそろ、側付きのエミリに怒られるかもしれない」


 エヴリーヌだけが、少しだけバツが悪そうに呟いた。


「エヴリーヌ、ちゃんと顔を見せてやれ。エミリはずっとお前を待っていたんだからな」


 カリナが優しく諭す。


「ん、そうする。でも、カリナが心配」


「毎日あんな風に症状が出るわけじゃないから、大丈夫だよ。自分の側付きを安心させてやれ」


「ん、わかった。でも、カリナに何かあったらすぐに駆け付ける」


 エヴリーヌは強い決意を込めてカリナの目を見つめた。


「その時は私がすぐに皆様に通信を繋ぎますから、大丈夫ですよ」


 ルナフレアはエヴリーヌを安心させるように微笑んだ。


「さて、魔導列車の到着は夕方だし、ひと眠りしようかな」


 カリナは大きな欠伸を噛み殺しながらソファーから立ち上がった。


「そうですね。夜には祝宴前の顔合わせで賑やかになりそうですから、今のうちにお休みになっておいて下さい。症状が出たばかりなのですから、どうか安静にしてお身体をお休めになって下さいね」


 ルナフレアが気遣いながら、手際良くテーブルの上の皿を重ねて片づけを始めた。


「手伝うわ」


 カグラが立ち上がる。


「じゃあ、私も手伝います」


 サティアも慌てて立ち上がろうとしたが、エヴリーヌがすかさずそれを制止した。


「ん、サティアが手伝ったら逆に片づけが増える。そのものぐさがキッチンに立つのは、ルナフレアの邪魔」


「うぐぐ……。はあ……、わかりました。私も先程の術の疲労がまだ完全に回復していませんから、カリナさんと一緒に寝ます」


 サティアは図星を突かれてしゅんと肩を落とし、寝室に向かうカリナの背中をトボトボと追っていった。


「エヴリーヌは片付けなんてできるの?」


 カグラが腕を捲りながら面白そうに尋ねる。


「ん、女子力は将来のカリナのために磨いている。問題ない」


 エヴリーヌはドヤ顔で言い放った。


「では、片付けましょうか」


 ルナフレアの合図で、三人はキッチンに並び、驚くほど手際良く洗い物を済ませていった。


「エヴリーヌ、やるじゃないの」


 カグラは綺麗に拭き上げられた皿を見ながら素直に感心する。


「ん、当然。私に足りないのは肉のみ」


 エヴリーヌは意味不明な言葉と共にスレンダーな胸を張るのだった。



 ◆◆◆



 片付けを終えた三人が寝室へ向かうと、部屋の中央に置かれたキングサイズのベッドでは、既にカリナが安らかな寝息を立てていた。そしてその右側では、サティアがサテンのナイトドレスから零れ落ちそうな豊かな巨乳の素肌の胸元に、カリナの頭を優しく抱き締めるようにして、幸せそうに眠りに落ちていた。


「ん、おのれ肉め……」


 エヴリーヌがカリナの左隣の空いたスペースに滑り込もうとした瞬間。カグラがさすがの姉御肌でエヴリーヌの首根っこをガシッと掴んで引き戻した。


「こら、ここはルナフレアに譲りなさい。美味しいランチを作ってくれたのよ」


「はっ……確かにそれはそう。ここはルナフレアが隣に寝るべき。私は肉聖女の隣で我慢する」


 エヴリーヌはカグラの正論に素直に頷くと、渋々といった様子でサティアの背中側に回り込み、コロンと横になった。


「ありがとうございます。では、カリナ様の隣で仮眠を取らせて頂きますね」


 ルナフレアが嬉しそうに微笑み、カリナの左側に横になると、主の細い身体を愛おしそうにそっと抱き締めた。


「ルナフレアは側付きなんだから、当然の権利よ。これまで私達が過剰に心配し過ぎて、カリナちゃんにくっつき過ぎていたからね。はあ……、少々過剰だったと反省してるわ」


 カグラは優しく微笑みながら、ルナフレアの隣のスペースにゆっくりと横になった。こうして一行は、カリナを囲むようにしてベッドに身を寄せ合い、夕刻まで静かな仮眠を取るのだった。



 ◆◆◆



 そして夕刻。


 五大国から出発した魔導列車が、次々とエデン・セントラルの巨大な駅のホームへと滑り込んだ。


 アーシェラ号からは、格闘術士代行クリスのスマートなエスコートを受け、サキラ女王や幼き王子シリュウ、そして屈強な騎士団や格闘術士軍にエリック達『ドラゴンベイン・オーダー』の四人が降り立つ。さらに同乗していたフィンのドルガン王、王妃レイラ、王女レナの姿もあった。


 マギナ号からは、魔法使い代行レミリアの優雅なエスコートで、カシューへの乙女心を限界まで膨らませたシャーロット女王と、マギナ魔法使い軍、魔法騎士団が下車する。


 北から到着したヨルシカ号からは、若き賢王ソウガ王とその側近達。エデン北西からの騎士国アレキサンドのアレキサンド号からは、豪快な笑い声を上げる老王レオンと、近衛兵達。そして東のルミナス号からは、ジラルド王と側近達、さらにAランクギルド『ルミナスアークナイツ』と『シルバーウイング』の一行が、エデンの地にその足を踏み入れた。


 世界を動かすVIP達が、エデンへと集結したのだ。



 ◆◆◆



 ジリリリリリリリリッ!


 静寂に包まれていたカリナの寝室に、突如として電話型の通信機のベルがけたたましく鳴り響いた。ルナフレアがすぐさまベッドから飛び起き、小走りで受話器を取る。


「はい! こちら王国騎士団長室、側付きのルナフレアです!」


『私だ』


 受話器の向こうから、カシューの落ち着いた声が聞こえて来た。


『魔導列車が到着した。ガレオス達戦車隊の装甲車軍が迎えに向かうが、その後は玉座での顔合わせがある。カリナ達は恐らく休んでいるだろうが、着替えて玉座の間に来るように伝えてくれ』


「はっ、畏まりました陛下! 直ちにみなさまを起こして準備致します」


『ああ、頼んだ。……ところで、カリナの様子はどうだ?』


 カシューの声に微かな心配の響きが混じる。


「はい……それが、浴場でいつもの症状が出たようです。カグラ様やサティア様、エヴリーヌ様が何とか鎮めて下さいましたが……症状は日に日に深刻になっている感じがします……」


 ルナフレアは声を潜めて深刻な報告をした。


『そうか……。カリナは体調が悪ければ、無理はさせなくてもよい。だが、他の三人は叩き起こして準備させてくれ』


「はっ、畏まりました。お任せ下さい」


『うむ、では任せたぞ』


 カシューが通信を切る。ルナフレアは受話器を置くと、まだ眠りの中にいる四人のベッドへと向かった。


「みなさま、起きて下さい! 陛下からの通信です。魔導列車が到着したらしいので、顔合わせのために玉座の間に集合だそうです。着替えて下さい!」


 ルナフレアが声を掛けると、サティア、カグラ、エヴリーヌが、それぞれに気怠そうな声を上げながら身じろぎした。


「ふあぁ……んん……もう夕方ですか……。術の疲れが、まだ少し残っていますね……」


 サティアは豊かな胸を揉みほぐすようにして欠伸をしながら、とろんとした瞳でゆっくりと上半身を起こした。


「うーん……こんなにぐっすり寝たのは久しぶりだわ……。なんだか身体が重いわね……」


 カグラが浴衣をはだけさせながら気怠げに伸びをし、眠そうに目を擦る。


「ん、眠い。ルナフレア、あと五分……」


 エヴリーヌに至っては、サティアの柔らかな身体に顔を押し付けたまま、完全に二度寝の体勢に入ろうとしていた。


「ですが……、カリナ様は調子が良くなければ、お休みになっていても構わないとのことです」


 ルナフレアが伝えると、ベッドの真ん中で丸くなっていたカリナが、パチリと碧眼を開けた。彼女は勢い良く起き上がると、ぐいぐいと力強くストレッチをして見せた。


「大丈夫だ、問題ない。今はスッキリしてる。私だってエデンの特記戦力だからな、行くよ」


 カリナの力強い声に、まだ眠そうにしていた三人もようやく完全に目を覚ました。


「ふふ、カリナさんが行くなら、私達も急がなくてはいけませんね」


 四人の女性陣は、ついにエデンへと集結した各国の国王達やゲストを迎えるため、それぞれに慌ただしく、しかしどこか楽しげに、顔合わせのための着替えの準備を始めるのだった。

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