森歩き
「じゃあ、暫く街に行くから、よろしくな!」
ペット達に声をかけて、家を出る。
家から街まで全速力で走ると、およそ2日。
まあ、狩りしながら行くので10日を予定している。
あっちフラフラこっちフラフラしながら歩いて、獲物を探す。
定番の一角兎は、角は売れるし肉も美味いし、毛皮は柔らかいので、見つけたら確実に狩る。
見つけられたらね…
この森の肉食獣は魔物が多い、いや、多過ぎるのだ。
一角兎なぞ、格好の獲物なのだ。
見つけたのは
「ちっ、赤熊かよっ。」
通称赤熊、正式にはレッドグレーターベアー。
赤い体毛に覆われた、5メートルほどの熊型の魔物だ。
レッドベアー型には、3種類いて、レッドレッサーベアー、レッドベアー、レッドグレーターベアーの順に大きくそして強くなる。
レッサーで3メートルほどだ。
グレーターが厄介なのは…
鼻をヒクヒク動かすと、赤熊がこちらを見た。
ボンッ!
音を立ててドッチボール程の火の玉が飛んでくる。
そう、ファイヤーボールを使うことだ。
森の中で火とか、この畜生め!
まあ、延焼はしないんだけどね。
スッとかわして、背中に背負った剣を抜く。
この剣、底辺五センチ、他の2辺を15センチくらいの、三角柱型の刃渡り70センチ程の鉈の様な形をしている、かなり変わった剣だ。突き刺す事が出来ないのだ。
まあ、背後に回り込んで、一振りで首を落とすけどね。
ちなみに熊系は、儲からない。
毛皮は硬いし、肉は固くて臭いし、売れるのは爪と魔石のみ。
この魔石が有るのが魔物。
無いのが獣だ。
一角兎は、魔石は無いので、獣である。
魔石の使い方?
ここの読者の方なら、説明不要だよね?
赤熊のブツ切りを適当にまいて、木の上に隠れる。
「ブモォブモォ」
「ブモォ〜ブモォ〜」
この声、当たりである。
弱くて美味しいオークだ!
1.2...5匹か。
オークが真下に来たとき、音も立てずに木の上からスッと落ちる。
着地と同時に剣を一振り。
それでオークの首が2つ落ちた。
ドサッと音を立てて落ちた首に、他のオークがこちらを見る。
その瞬間、もう一頭の首を斬りとばす。
「ブモォ!ドビューブモォ」
なんか言ってるが、理解出来んし、する気も無い。残り2匹の首を素早く落として、食料確保終了。
熊の死体が臭いので、少し移動して、薪を集めて、「種火」と呟く。
直径1センチほどの火の玉が、薪に飛んでいき、
ポッと火が灯る。
一頭の腹を割き、適当に切り分け、今日は豚カルビの塩焼のディナーとなった。




