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僕とお狐様  作者: 話太郎
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 追いつめられた僕ら。

 着火、焼身自殺も辞さない板の鬼。

 そいつが笑う。

「ぬはははは! どうやら逆転だな!」

「うぬうー…!」

「油でヌルヌルするがまあいい。今度はこちらの番だ」

 くそう。

 何か対策はないのか?

 その時だった。

 ジュン子が言う。

「そうだ! 桃太郎だよ!」

 桃太郎?

 タマちゃんは言う。

「なるほどそうじゃな!」

 ジュン子は「鬼退治と言ったら、桃太郎しかないよ!」と叫ぶ。

 さっそくタマちゃんは詠唱をする。

 はんにゃら~ほんにゃら~

「いでよ! 桃太郎!」

 バシュー!

「どうも桃太郎です」

 僕は板の鬼を指さして言う。

「あいつ鬼です!」

「じゃあ成敗ですね」

 桃太郎は剣を抜き放った。

 板の鬼は叫ぶ。

「いや、俺は板の妖怪で鬼とは違…」

「問答無用です」

 ジュン子は言う。

「絵本にならないから、教育的な面は気にしないでいいです」

吉備津日野尊きびつひのみことの秘剣、お見せします!」

 ヒュン!

 気が付いた時には、桃太郎は板の鬼の横を駆け抜けていた。


 数瞬後─


 バラバラ

 まるで千切りにされるように板の鬼はいくつもの細長い木片になった。

 こうして板の鬼は退治された。

 

 タマちゃんとケイコは力を使い果たして小さいモードに戻っていた。 

 そしてタマちゃんは板の鬼に言う。

「うははは! 焚火の燃料にしてくれる!」

「許してください!」

 木片のまま泣きの謝罪をする板の鬼。

 僕は聞く。

「反省した?」

「しました!」

 タマちゃんは「抜かせこのあやかしめが!」と怒るけど僕は言う。

「まあまあ」

 僕は板の鬼に「もうしない?」と聞くと「心を入れ替える」と訴える板の鬼。

 信じられるかなあ、そう言うと板の鬼は言う。

「補修作業に使ってください!」

 ジュン子が「でも利用価値あるかなぁ」と言うと板の鬼は自己アピールを始めた。

「素材も良い! 色んな場所に使える! 水もよく弾きますよ!」

 タマちゃんは訝し気に言う。

「ペラペラとまあ」

「妖力もあるので魔除けにも最適!」

 ケイコは呆れて言う。

「口八丁すぎてまさに立て板に水じゃけえ」

「色んな所のDΙYに!」

 とうとうホームセンターの謳い文句みたいな事を言い出した。

 でもそこまで言うなら。

「許してあげよう」

「まあ、健太がそう言うのなら…」

 ケイコも「仕方ないけえの」と。

 ちょうど土台の添木に足りない部分があったのでそこで活躍してもらう事にした。


 それから桃太郎さんにお礼を言って作業を再開。

 そして翌日。


 仮社殿が組みあがった

「できたのじゃー!」

 仮といえどそこそこだ。


 数日経過。

 板の鬼は言う。

「土台の添木として馴染みました。耐震補強材として頑張っていこうと思います」

 こうして神社の再興の第一歩を歩みだした僕たちだった。

 

 でも人は来なかった。

「うう…なんでじゃ…」

「気を落とさないで」

「やっぱりこんなちんちくりんの神じゃ信仰は集まらないのかもしれんのじゃ」

 シュンとしてしまうタマちゃん。

 そんな事ないよ、そう慰める。 

 そうすぐには上手くいかない。

 でも大丈夫。

 最初は少しづつ。

 前へ進んでいけばいつかは人で賑わう筈だ。

 そう優しく告げる。

「本当か?」

「うん」

「…」

 まだ確信を持てないようなタマちゃん。

 でもそこへ。

 小さな男の子が来た。

「こんな所に神社なんてあったんだ」

 その男の子は仮社殿の前に来るとパンパンと手を叩きお参りする。

 そして言う。

「神様へ。何かみんなに良い事がありますように」


 それを見たタマちゃんはパアっと表情が明るくなる。

 駆けていく男の子を見ながら言う。

「見たか健太よ」

「うん」

「神様って言うてたぞ」

「タマちゃんは立派な神様だよ」

 褒めてあげた。

 ジュン子も「頑張った甲斐があったね」と笑顔だ。

 ケイコも言う。

「いずれ信仰と共に、ここが人で賑わう、その一歩かもしれんけえの」

 

 そう。

 見てる人は見てるのだ。

 だから言う。

「神様が人の行いを見ているように、人もまた神様を見ている。そこに居て、寄り添う者として」

「そうじゃな」

「これからも頑張らないとね」

「うむ! 世のため人のため、頑張るのじゃ!」

 こうして再興の一歩は踏み出した。

 いつか大きな神社を目指して。

 お狐様の活躍は続くのだった。

とりあえず一区切りです


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