11.コミカライズの打診
2023年といえば、ちょうど『小説家になろう』で書き始めて3年たったころだ。
7巻は好評で、「次も楽しみにしています」とメッセージが届く。
もちろん8巻になる部分も、ちゃんと用意してあった。
それなのに「次ってなんだろう……」と思うぐらい、ヘトヘトで何も考えられず、短編集の〆切までは余裕をもらって、ひたすら静養した。
ゴロゴロして、ゲームをして、本を読んで。読むのは早いからガンガン読んで、読み疲れたら寝て。
手を動かすことは好きなので、いつもより手のこんだ料理をしたり、絵を描いたりして過ごす。
頭の中で動きを止めたネリアたちは、そのまま彫像のようにじっとしている。
約束は短編集だけだったから、いろんなことをやった。
なろうにログインしたら、ホーム画面で黙々と小説を書いて編集作業をするだけだった。
そこから飛びだして自主企画に参加し、他の作家さんとも交流するようになった。
創作を楽しんでいる人たちと触れ合い、とてもいい刺激を受ける。息をするように書き、人生とともに創作がある。
(書籍化だけが目標じゃないよなぁ……)
ぼんやりとそんなことを考え、短編集に収載する文章を整理しながら、グデグデと過ごしていたら、よろづ先生がネリアを描いて下さった。
意志の強い、ハッキリとした視線。力強いイラストが、私を奮い立たせてくれた。
書け。とにかく書け。
あいかわらず本業は忙しく、年末年始の休みは短編集の原稿をまとめるのに使った。
大まかな構成はサブキャラたちのエピソードに、短編集ありがちの「主役どこいった」にならないよう、レオポルドとネリアの話も入れるつもりだ。
その年末にコミカライズの打診が、マッグガーデン社からインプレス社に届いたらしい。
らしいというのは、私は制作チャンネルがあったSLACKの通知を切っていて、その知らせを受け取ったのが年明けになったからだ。
(……今さら?)
最初は嬉しいよりも、警戒心の方が強く働いた。書籍化の打診も、いちおう疑ったぐらいだ。
7巻まで来て物語は折り返しに入り、あとはどうやって広げたストーリーを畳んでいくか、そんなことも考えるようになっていた。
(本当に読者さんが喜ぶコミカライズになる?)
そんな不安もあったし、打診の理由を出版社に聞いてもらった。もっとビジネスライクかと思っていたら、びっしりと書かれた文章が届く。
『一話冒頭のグレンの家で術式が構築され、魔法陣が展開する……という描写ですぐにこれは漫画で見てみたい!と感じたことが最大のポイントです。その後、金文字があらわれたり、イルミエンツだったり、ファンタジー好きなら映像で見てみたくなるような描写がたくさんあり、とてもわくわくさせられました』
『加えて、キャラクターの性格をわかりやすく描写されている点も理由のひとつです。初登場時からキャラの個性がわかりやすいことが漫画でも重要なので。冒頭の頑固なグレンからしてもそうですが、少し不憫なライアス、冷ややかなレオポルドなど、魅力的なキャラが多いところが素晴らしいなと感じています」
『それに私がコミカライズするのなら、一人の自立した女の子がいろんな出会いでさらに強くなり、世界を広げていく話がいいなと考えていたことも大きな理由です』
(そんなふうに思ってくれた人がいるなら、もうちょっと頑張ってみようか)
漫画家さんはこれから探すというけれど、発表は短編集発売の2024年4月同時と決められた。









