■一〇月七日① 科學戦隊基地
僕は、『旋風グリーン』こと、西戎広目。
科學戦隊レオタンの正隊員だ。
ここ一カ月少々のことを、回想する。
回想シーンの起点は、八月三〇日だ。
僕ら『科學戦隊レオタン』と、『服飾に呪われた魔法少女』は、軍用列車の天罰号に乗っていた。
皇國軍に徴兵され、夏期巡業を終えての帰路だった。
あの日の午後、皇國軍関係者によって、『科學戦隊レオタン』と『服飾に呪われた魔法少女』が、一車両に集められた。
昼間は、夏期巡業を総括し、今後の注意事項等を伝達する会議。
夕食以降は、打ち上げパーティーだった。
儚内薄荷ちゃんが、可哀想なことになっていた。
僕は、薄荷ちゃんに一目惚れしていて、常に、ひいき目で見ている。
だけど、そんな僕でなくとも、薄荷ちゃんに対するあの扱いは酷いと、賛同してくれるだろう。
薄荷ちゃんは、夏期巡業期間中、他のみんなの二倍頑張ってた。
これは、比喩とかではなく、明らかな事実だ。
だって、薄荷ちゃんは、『科學戦隊レオタン』の『お色気ピンク』と、『服飾に呪われた魔法少女』の『セーラー服魔法少女』の一人二役で、寝るヒマもないほど頑張っていた。
他のみんなの二倍、評価されてしかるべきだった。
なのに、結果は、他のみんなが『少尉』から『中尉』に昇格したのに対し、薄荷ちゃんだけが『三等兵』のままだった。
その理由は、薄荷ちゃんの徴兵検査結果が癸種『廃棄』だったから。
皇國軍において、癸種の者は、廃棄物であり、人間扱いしてはならないのだという。
漏れ聞いたところでは、評価の再考を求めた夏巡業関係者を、闇烏暗部皇國軍参謀が、こう怒鳴りつけたそうだ。
「どうして、癸種『廃棄』の者を、この巡業内で、廃棄に至らしめなかったのか」と。
薄荷ちゃんは、へらりと笑って、「ボクも、せめて、二等兵にしてくださいよ」なんて、冗談めかして言っていた。
平気でいられるはずないのに……。
僕らは、皇國軍の士官になったから、いずれ、相応の貴族位に叙爵される。
たとえば、金平糖菓ちゃんは、今でこそ平民だが、いずれ男爵位以上に叙せられるだろう。
だけど、薄荷ちゃんだけは、平民のままだ。
それに、夏巡業後、僕らは、退役ではなく、予備役となる。
現役ほどではないが、軍位に応じた給与が支払われ続ける。
これについても、人間ではない『三等兵』には、支払われない。
偉そうなことを言っているが、僕だって、会議の場で黙っていたのだから、同罪だ。
この國の人間は、平民どころか、貴族であっても、國の決定に逆らえないのだ。
打ち上げパーティーの最後に、『科學戦隊レオタン』メンバーは、薄荷ちゃんを含む『服飾に呪われた魔法少女』全員と、「またね」と手を振り合った。
この夜のうちに、天罰号は、皇都トリス駅に着く。
そこで、『服飾に呪われた魔法少女』たちが使っている、VIP用客車だけが切り離されて、大陸横断鉄道の煩悩号に繋ぎ直されることになっていた。
天罰号は、薄荷ちゃん以外の『科學戦隊レオタン』メンバーと、戦闘車両五台を載せて、科學戦隊基地へ向う。
煩悩号は、『服飾に呪われた魔法少女』全員を乗せて鹿鳴館學園駅へと向う。
だから、このとき、僕ら『科學戦隊レオタン』メンバーは、気づけなかった。
列車が切り離された直後、VIP用客車にいた、『服飾に呪われた魔法少女』全員が、眠らされ、皇國軍鹿鳴駐屯地へと運び込まれたことに……。
☆
科學戦隊基地に到着した、僕ら『科學戦隊レオタン』メンバーには、地獄のハードスケジュールが待っていた。
ズタボロ状態の戦闘車両を、科學戦隊基地に運んでオーバーホールするのは必須だ。
だが、事はそんなことでは、収まらない。
撓和大佐の指揮の下、科學戦隊組織の改革と、全部門への地獄の再教育が行われることになっている。
撓和大佐は、自分が身を眩ませていた間の科學戦隊のていたらくに、激オコ状態だ。
撓和大佐は、召喚される前の『あの世界』で、天才と呼ばれていた。
若くしてロボット工學を究めた才媛で、飛び級により『あの世界』の大學卒業資格さえ得ていた。
そして、『この世界』おいて、自身の手で、戦闘車両と、その変形合体による巨大ロボットを造り出した。
だからこそ、科學戦隊が、自分の作品である戦闘車両のメンテナンスすら、満足にできないなどという現状が、許せないのだ。
ついでに言っておくと、撓和大佐は、天から二物を与えられた存在だ。
傑出した知能に加えて、魅力的な肉体をも、所持している。
コケテッシュな美人さんで、『お色気』を振り撒き、豊満な巨乳を揺らし、形の良いお尻を振って歩く。
さらに余計なことだが、撓和大佐は、薄荷ちゃんを含む『服飾に呪われた魔法少女』に向ける顔と、僕ら『科學戦隊レオタン』メンバー四名に向ける顔が、一八〇度異なる。
『服飾に呪われた魔法少女』には、自分を『さん』付けで呼ぶことを許し、とことん優しく甘やかす。
「オンナノコなのに、命がけで戦わなきゃいけないなんて、カワイソウ」とか言って、ギュッとハグしたりしている。
なのに、僕らには、厳しい上官として、軍隊式の徹底指導だ。
「オトコなら、お國のために滅私奉公せよ」とか、怒鳴る。
一度指導したことが、ちゃんとできなかったら、殴る蹴るのスパルタ教育だ。
『氷結ブルー』によれば、「あれは、過去に自分がやらかした行為への、自責の念からなのだ」という。
召喚された当初の撓和大佐には、『この世界』がゲームのように思えていたらしい。
躊躇なく、戦闘車両をはじめとする大量殺戮兵器を作りだし、大物語『科學の鉄槌』で、敵だとされた魔法少女たちを殺しまくった。
たぶん、撓和大佐は、『科學の鉄槌』物語が終わってからやっと、魔法少女たちが自分と同じ生身の人間だと気がついた。
そして、自己嫌悪に駆られて逃げ出して、科學戦隊や學園から身を眩ませたのだ。
☆
かくして、この一カ月少々、科學戦隊の全部署が、地獄の日々を送ってきた。
その主眼とするところは、撓和大佐が居なくとも、科學戦隊が、自力で維持され、更には次代の隊員を育て上げることができるようになるまでの体制作りだ。
諜報、索敵、戦闘、保守、兵站……。
問題の数々を指摘され、徹底的にしごかれた。
例えば、戦闘車両なのど兵器について、僕らは、砲弾等の消耗品調達や、メンテナンスすら、満足にできていなかった。
ところが、撓和大佐からすれば、消耗品補充ができる程度では、話しにならないという。
戦闘車両を含むあらゆる兵器について、たとえ全損しようと換装可能な予備が、予め用意され、消耗数に応じて補充されなねればならないのだ。
そのためには、ネジ一本に至るまで、用途を理解し、備え、状況を即座に判断して、対応できねばならない。
武器や機器だけでなく、人もまた消耗品だ。
だから、全ての作業に対し、複数の担当者を置き、定期的な配置換えを行う。
そういった、あれこれと並行して、戦闘車両のオーバーホールが行われた。
戦闘車両は、最低限のメンテナンスすら、ろくにできていない状態で、夏巡業中、酷使され続けていた。
東の海で海水を浴び、南の温泉に浸かり、北の大地で蟲まみれになり、あげく西の砂漠で砂まみれとなった。
もはや、動作の度に、キコキコという異音がするし、いつ壊れてもおかしくない状態だった。
戦闘車両は、『この世界』においては、オーバーテクノロジーだ。
外注できる部品は少なく、その多くは、科學戦隊基地内で一から作られる。
どれも、機種ごとにオーダーメイドオーダーすべき、繊細なパーツばかりなのだ。
特に問題なのは、『お色気ピンク』が乗るP戦闘車両だ。
P戦闘車両は、巨大ロボット『レオ・ターボ』への変形合体時、その頭部となる。
操作や、攻撃の多くが、P戦闘車両に集中する。
そもそも、女性にしては大柄な、先代ピンクの撓和大佐と、男性にしては小柄な現ピンクの薄荷ちゃんでは、性別と体型がまるで異なる。
共通点があるとしたら、どちらもサウスポーなことぐらいだ。
加えて、薄荷ちゃんは、科學戦隊員ですらない。
適性もなければ、運動神経もない。
撓和大佐は、P戦闘車両については、デチューンするしかないと決断した。
敢えて、大量破壊兵器の大半を取り外し、変形合体時の操作をシンプル化するのだ。
そんなこんなに、総力をあげて取り組んでいたら、あっという間に、一カ月少々が経過していたという次第だ。
僕らには知らされていなかったけど、九月二五日に、皇國軍の芍薬矍鑠元帥から、『科學戦隊レオタン』への出動要請があったらしい。
あの段階では、そもそも、戦闘車両を動かせる状態ではなかった。
だから、撓和大佐が、その権限をもって、お断りしたそうだ。
僕ら正隊員四名はというと、九月中、外部情報の一切を遮断され、再教育と訓練に明け暮れる毎日だった。
なので、九月中のできごとについては、武闘体育祭から、龍神眷属の皇都トリス侵攻に至るまで、なにひとつ知らされていなかった。
撓和大佐は、『科學戦隊レオタン正隊員四名が皇國の現状を知れば、後先考えず飛び出していく。そして、半端な装備で挑めば、全員の死に直結する』と判断し、僕らへの情報を、一切遮断していたそうだ。
☆
十月三日になって、やっと、情報が解禁された。
僕ら四名は、『服飾に呪われた魔法少女』テレビシリーズ九月分の再放送を視聴しまくった。
僕らが、情報から遠ざかっていた一カ月の間に、世界が一変していた。
そして、僕の愛しい薄荷ちゃんが、またしても大変な目に逢っていた。
だけど、とっくに事態は終息しており、いまさら僕にできることなど、なにもなさそうだった。
まず、薄荷ちゃんを『パニエ貞操帯』なんていう凶悪なもので無力化して、『お宝争奪戦』の景品に仕立て上げた、闇烏暗部皇國軍参謀と、天壇白檀教皇を、許せないと思った。
ゼッタイ報復してやると誓ったら、その二人は、一連の騒動のなかで、とっくに死んでいた。
番組を視聴して、僕にとって、いちばん、やるせなかったのは、薄荷ちゃんが、闘球部員たちを助けるために、己が身体を、白金鍍金皇子の前に差し出したときだ。
「いろいろ諦めましたから、どうぞ、ボクのこと、好き放題して、既成事実を作ってください」というセリフを聞いたときは、胸が張り裂けそうだった。
自分の無力さに、涙がでた。
僕は、鍍金皇子なんかよりずっと、薄荷ちゃんのことを愛してるって、確信をもって断言できる。
だけど、薄荷ちゃんが、鍍金皇子の妃の一人となり、鍍金皇子が、それによって皇帝の座を得るのだとしたら、僕は身を引くべきでなかろうか?
いや、まだまだ僕にだって、ワンチャンあるはずだ。
薄荷ちゃんが、「コワイから男の人を愛するのはムリ」と言い、更に、「ボク、金平糖菓ちゃんみたいな女の子が、好みなの」と宣言したときは、分かっていたことではあったけど、それでもショックで、思考が止った。
『やっぱり、男の僕では、薄荷ちゃんを幸せにできないのかな。だとしたら、僕の方が、女の子になるしか……』と、あらぬことを考えかけて、ハッとし、ブンブン首を横に振り、妄想を追い払った。
☆
科學戦隊基地の地下には、巨大な極秘施設がある。
戦闘車両のメンテナンスや改造を行うためのドックや、戦闘シミュレーターなどが設置されている。
実は最近まで、この場所は、用途不明なものが詰め込まれた倉庫と化していた。
撓和大佐の大号令により、その大改装が実施され、本来の用途に戻されたばかりだ。
一〇月七日、今日は、ドックでの改装を終えた、五台の戦闘車両改を、地上施設の運びあげる予定だ。
僕ら四人は、自分の戦闘車両改に乗り込む。
戦闘車両は、車両とは言っても、車輪はない。
八本脚で、蜘蛛のような外観だ。
背中のハッチを開けて、うつぶせで、コクピットに乗り込む。
撓和大佐から、車に搭乗し、操縦すると考えてはいけないと、再三注意された。
蜘蛛の着ぐるみを着込んで、己の身体の一部として操るイメージだ。
各自、自分の戦闘車両改を操縦して、五台まとめて、専用の超大型リフトに載せた。
P戦闘車両改については、操縦士である『お色気ピンク』の薄荷ちゃん不在のため、『雷撃イエロー』が、電磁波で遠隔操作している。
今回は、合体前の五台を載せているが、このリフトは、戦闘車両が合体ロボット化した状態であったとしても載せられるよう、巨大サイズになっている。
重量を軽減すべく、リフトのカゴ部分は、床面にだけ鉄板が張られ、横四面と上面は開放されている。
側面が剥き出しなので、乗っていると、戦闘車両ごと、リフトから転げ落ちそうでコワイ。
リフトのカゴ部分が上がっていくと、途中で、降りて行く『釣り合い重り』とすれ違う。
このリフトは、上部に巻上機がある。
その巻上機に掛けられた数本の極太ワイヤーが、僕らが載っているカゴ部分と、『釣り合い重り』を繋いでいる。
リフトが、最上部となる地上一階に到着する寸前……「ドゴーーーン」という爆裂音が響き渡った。
カゴ部分の床に隠れて、直接視認できないが、爆発があったとおぼしき、リフトの根元付近から、炎と爆煙が広がり、警報が鳴り響く。
『釣り合い重り』に繋がっている極太ワイヤーが、ブンという重低音とともに千切れて、一斉に跳ねあがる。
リフトの底に達していたはずの『釣り合い重り』が、極太ワイヤーから、切り離されたのだ。
となれば、このリフトのカゴ部分は、落ちるしかない。
ただし、ガイドレールとカゴ部分の間に取り付けられた安全装置が働くから、一気には落ちない。
ゆっくりとした下降中に、僕らは、慌てて、各自の戦闘車両を、いつでも浮揚可能な状態にする。
ただし、リフトのガイドレールに囲まれているから、戦闘車両を飛び立たせることはできない。
そこで、二回目の爆発が起こった。
またしても、リフトの根元付近だ。
ガイドレールが倒壊していく。
リフトの安全装置がハズレ、カゴ部分は、自由落下しはじめた。
爆煙の中に呑み込まれる。
ただし、地下施設の床面が間近だ。
だから、カゴ部分の落下は、床面までの、短い距離だと思われた。
対衝撃防御機能がある戦闘車両内にいるかぎり、この距離なら落ちても問題ない。
ところが、床面に達しても、リフトの落下は止まらなかった、
カゴ部分は、地下施設の床面を過ぎ、加速しながら、更に、その下へ、落下していく。
先程の爆発で、最下層であったはずの床面の下に、大穴が開いていた。
リフトのカゴ部分が傾き、戦闘車両改五台が、宙に投げ出された。
ボクら四人は、蜘蛛糸を飛ばして、各自の戦闘車両を宙空に固定する。
カゴ部分だけが、最下層であったはずの場所の、更に下へと、落下していった。
辺りは、光のない真っ暗闇だ。
だけど、戦闘車両改が持つ八つの単眼のうちの二つは、暗視可能だ。
暗視モードにすると、そこには、半径五十メートルほどの半球形の空洞が広がっていた。
そこらじゅうに、蠢いているものがいる。
空洞の底だけでなく、壁面にも貼り付いている。
土を喰って、洞窟を広げている。
それは、七月にジャングル風呂地帯で戦った、地底人たちだ。
地底人は、二メートルほどのサイズで、頭部と四肢がある。
骨格はなく、身体を構成する、たくさんの体節に、体液で圧をかけることにより、身体を維持している。
その全身は、蚯蚓のように、うねうねと動く。
頭部には、蚯蚓の環帯にあたる膨らみがあり、まるで顔のように見える。
だが、光は感知できず、代わって、聖力や魔力を感知する。
耳に超音波を発する部位があり、これにより空間把握が可能だ。
高い思考能力を持ち、超音波による言語活動も確認されている。
また、所持している高い魔力により、ストーンゴーレムを使役している。
ストーンゴーレムは、五メートルほどの高さがある。
何百個もの岩や石が集まって、一体を構成している。
岩や石は、地中にあったものなので、一体ごとに形が異なる。
ストーンゴーレムは、身体内のどこかに、核がある。
その身体を壊しても、核を壊さない限り、修復される。
その辺りの岩石を、自ら集めて、再び立ち上がってしまう。
ストーンゴーレム同士で、互いのパーツを交換し合うことも可能だ。
ストーンゴーレムたちは、地底人と違って、洞窟の天井に張り付くようなまねはできない。
だから、洞窟の底で、地底人が排泄した土の搬出に従事している。
地底人十数体に対して、ストーンゴーレム一体ほどの割合だ。
地底人たちの知能が高いことは知っていた。
だけど、まさか、科學戦隊の地下施設の真下に大穴を開けたり、狙った箇所を爆破することまでできるなんて、思わなかった。
見上げると、いま落ちてきたばかりの、縦穴に、けっこうな数の地底人が蠢いている。
縦穴を開けるために喰った土を排泄し、みるみるうちに、その穴を塞いでいく。
もはや、戻る穴がない。
もし、戦闘車両改で、上を砲撃したら、科學戦隊基地がまるごと崩落しかねない。
他に出入口がないかと捜すと、この大空洞には、直径十メートルほどの横穴が二つ開いている。
一つは、南向きで、そこから、新たな地底人やストーンゴーレムが、続々とやって来ている。
もう一つは、西向きで、僕らに背を向けて、何処へか向う地底人やストーンゴーレムがいる。
僕らは、「どうする?」と声を掛けあう。
いずれかの横穴に入ったとしても、ろくなことにならないだろう。
さりとて、他に、代案は出そうにない。
ストーンゴーレムが、自分の身体から剥ぎ取った岩を投擲してくる。
地底人が、口から強酸性の汚泥を吐きかけてくる。
じっとしていたら、オーバーホールを終えたばかりの戦闘車両改が、壊されてしまう。
ここで、戦うべきだろうか?
ストーンゴーレムの投擲した岩が直撃して、P戦闘車両改を宙空に繋ぎ留めていた蜘蛛糸が切れた。
『爆炎レッド』が、「落ちるぞ」と、叫んだ……が、P戦闘車両改は、落ちなかった。
なんと、ふわりと浮かんでバールーニング飛行しはじめた。
そのまま、西向きの横穴へ入っていこうとしている。
『雷撃イエロー』が、「僕は、遠隔操作してないぞ」と、驚いている。
「あれに、付いて行こう」と、『氷結ブルー』が提案した。
僕を含む三人が、「よし、行こう」と、雷同した。
僕らは、戦闘車両に自律運転機能などないと知っている。
それでも、戦闘車両が動くとしたら、それは『科學』ではなく『魔法』の力だからだ。
地底人とストーンゴーレムを、爆炎で、氷結で、雷撃で、そして旋風で攻撃しなから、五台の戦闘車両改は、地底トンネルを突き進んだ。
~~~ 薄荷ちゃんの、ひとこと次回予告 ~~~
■一〇月七日② 真の最終決戦 第一ラウンド
いよいよ、『真の最終決戦』だよ。
戦う覚悟ならできてる。
なよなよしてるだけの、これまでのボクとは違うってとこ、見せてやる。
えっ、なに、これ、なんで決戦冒頭から、こんな辱めにあわなきゃならないの?




