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穴掘りの加護『スコップ』は、思ったよりも無双です?  作者: 満原こもじ


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第11話:スキルストーンを売りに

「向こうから来たやつをどう思う?」

「レベル七ですね。ちょっと怪しい感じがします」


 ザックさんと一緒に徒歩一日くらいのところにある大きな町メイエスへ行く途中だ。

 メイエスならぼくがストックしているスキルストーンを売れるから。

 今回は有名な冒険者であるザックさんが手に入れたスキルストーンを売る、っていう体裁にしようと思ってるけど。


 今はメイエスへ行きがてら、行き交う人をさりげなくチェックする訓練兼ねているの。


「よし、いいぞ。胡散臭えやつを警戒できるならそれでいい」

「はい」

「特にレベル一〇に届いてないやつは<簡易鑑定>を使えねえだろ? 無謀なことしてくるバカがいるんだよ」

「あっ、なるほど」

「特にヒトシは子供だからよ。下手に出てるといいかもな」

「そうですね。よく注意します」

「まあヒトシはいつも物腰が丁寧だから、問題ねえと思うけどよ」


 ザックさんが指摘してくれることは、すごく参考になるの。

 ぼくは全然経験が足りてないからなあ。


「しかし<見破り>はレベルまでわかっちまうのか。……良し悪しだな」

「悪い部分もありますか?」

「<偽装>ってスキルがあるんだ。<見破り>で見ても誤魔化されることがあってよ」

「えっ?」


 <見破り>も万能じゃないんだなあ。

 本当にザックさんの教えてくれることは勉強になる。


「<見破り>を鍛えることももちろん有効なんだけどよ。本来なら<察知>を鍛えるべきなんだぜ」

「<察知>ですか」

「<察知>もレベル二〇の自然習得だからそんな使い手は多くねえよ? でも<察知>は得られる情報量こそ少ないが、ちょっと鍛えりゃまず間違えねえからよ」

「わかりました。<察知>を優先で鍛えることにします」

「あくまでも対人の場合な。もちろん商売でアイテム鑑定目的に<見破り>使うなら、偽物掴まされねえために<見破り>特化だぜ? しかしヒトシの場合は<察知>優先のがいいと思う。子供のお前は侮られやすいだろ?」


 うんうん。

 普段は<察知>を使って広い範囲で危険を把握するクセをつけよう。

 安全重視だね。

 <見破り>はどうせ掘り出したアイテムのチェックに使うし。


「今ヒトシは<隠蔽>スキルがあるじゃねえか」

「はい」


 <隠蔽>は所持者のステータスを見えづらくするスキル。

 <簡易鑑定>では何もわからないし、<見破り>でもぼくのレベルがあればほとんど見えないだろうって話なんだ。

 アリスとザックさんのアドバイスに従って、掘って出たスキルストーンから習得したの。

 ぼくの三二というレベルは年齢に比していかにも怪しいから、隠しといほうがいいって。

 いや、ステータスが見えないこと自体が怪しいんだろうけど。

 <隠蔽>はさほど珍しくないし、加護でもステータスが見えないものはあるそうだから。


「さあ、ここがメイエスの町だ」

「すっかり夕方ですねえ」

「とっとと宿探して飯食おうぜ」


          ◇


 ――――――――――翌日。


「おいヒトシ、よく寝られたか?」

「バッチリです」


 今日はスキルストーンを売りに行くんだよね。

 大きいお店があるのかな?


「冒険者ギルド行くぞ」

「冒険者ギルド?」

「おう。冒険者ギルドは冒険者登録している者の溜まり場だ。依頼や情報もある他、武器屋や道具屋もあってよ。アイテムの買い取りも行っているんだぜ」

「へえ、そうなんですね」

「メイエスはこの辺では一番大きな町だからな、ギルドの支部がある。実はギルド内の店は、相場に比べて少々買い取り価格が安いんだ。だがアイテムの売買って、よほど目利きで相場を知ってねえと難しいってことはわかるだろ?」

「はい」

「冒険者ギルド内の店なら査定がしっかりしていて、騙されることはねえんだ。売買者の情報も漏れにくいから、冒険者ギルドで売ることを勧めとくぜ」


 そうだ、売買で個人情報が漏れることだってあるもんな。

 マツモティー村で売るもの以外は、メイエスの冒険者ギルドで売ることにしておこう。


「ただ冒険者登録してねえやつは、冒険者ギルドで売れねえという決まりがあるんだ。というか身元のハッキリしてねえやつのアイテムは買い取らないことになってる」

「ああ、盗品とかもあるからですね?」

「そうだ。ヒトシを冒険者登録できれば話は簡単なんだがなあ。登録できるのは原則一二歳以上なんだよ」


 ぼくはまだ一〇歳だからダメってことか。

 残念だなあ。

 冒険者登録さえできれば、しょっちゅうメイエスに来て不要なアイテムを売れるのになあ。

 <見破り>を使うようになって、各種薬草も結構手に入れてるし。


「まあヒトシのレベルをバラせば登録は軽く認められるだろうけど、それは避けたいしな。オレも有名だからよ。オレの弟子ってことで何とかならねえかなあ」


 ギルドの登録の基準は緩いのかな?

 どうやら年齢が絶対ってことではないみたい。

 もし登録できればありがたいんだけどな。


「さ、まず飯食おうぜ」


          ◇


 ――――――――――冒険者ギルドにて。


「ん? バタバタしてるな」


 ほんとだ。

 人の出入りが多いし、皆がせかせかしているように見える。

 どうしたんだろ?

 ザックさんが冒険者ギルドの扉を開ける。


「失礼するぜ」

「どけ、若えの」

「おお、御挨拶だな」


 外に出ていく冒険者らしい人が殺気立っていた。

 ザックさんも見た目二〇歳くらいだから舐められたみたい。

 ザックさん全然気にしてないみたいだけど。


 でも本当に何が起きたんだろう。

 冒険者達が皆焦ってるっぽい。

 受付へ。


「お姉さんよ。何事だい?」


 冒険者の登録証かな?

 ザックさんが受付のお姉さんにプレートを見せながら話しかけている。


「あっ、あなたゴールド冒険者なんですか?」

「王都をホームにしてるザックという者だ」

「お名前はかねがね……」

「で、何が起きてるんだ? オレも冒険者の端くれだからよ。他支部のことでも協力できるところは協力するぜ」

「王族を乗せた馬車が何者かに襲われてそうだということなんです」

「大事じゃねえか」

「それだけを告げて伝令の騎士が気を失ってしまったので、場所すらわからず。当ギルドの所属冒険者がめいめいの判断で出動していますが……」

「場所がわからねえのかよ。王家の馬車を襲うほどの相手だと、一人二人で駆けつけても危ねえぞ?」


 地図を広げてるけど……。

 アリスに聞いてみよう。


(アリス、どう思う? メイエスに来る道はいくつかあるけど)

『直接メイエスに入る道ではないのではないでしょうか?』

(えっ?)

『北の街道でしたら隣国ティレニアにも通じます』

(なるほど、王家の馬車が通っても全然おかしくないね。でもメイエスより近い、チェフっていう宿場町があるけど?)

『チェフは小さい町です。援軍に期待できずメイエスまで来た、という説はどうでしょう?』

(あり得るね)

『メイエスを経由する道は、既にメイエスの冒険者が向かっていると思います。今から行くなら北の街道がよろしいのでは?』

(わかった、ありがとうアリス)


 ザックさんに話しかける。


「ザックさん、<ガイド>の意見ですけれども」

「ん? おう」

「北の街道ではないかと」

「北の街道? ……ああ、チェフで助けを得られず、メイエスまで来たんじゃないかって読みか。あるかもしれねえな」

「他の道は既にメイエスの冒険者が向かっているだろうと。今から行くなら北だと」

「よし、北に山を張るぜ。ヒトシ、身体強化魔法を起動しろ」

「<ストロング>!」

「し、身体強化魔法? ゴールド冒険者のザックさんはともかく、この少年が?」


 受付のお姉さんがビックリしてるけど、掘って出たスキルなんだよ。


「走るぞ」

「はい!」

「行ってらっしゃいませ。お気をつけて!」

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