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みなみはひとみのことが大好きだった。
それは恋という感情じゃない。
もちろんそれは、友達として、親友としてひとみのことが大好きだという意味だったけど、みなみは確かにひとみのことが大好きだった。(その気持ちは絶対に嘘ではなかった)
……過去は変えられない。
どんなに願ったとしても変えることはできない。
どんなに辛い過去でも、『その過去を、犯した罪を、自分はこれからも一生、背負って生きていかなければいけない』。
そんなことをその日、みなみはずっと学校で授業を受けながら、自分の頭の中の隅っこのほうで考えていた。
ふと窓の外ばかりを見ていたみなみが教室の中を見ると、なんだかすごく心配そうな顔をして廊下の横の席に座っているひとみが、ちらちらとこちらを見ている風景が見えた。
そんなひとみに向かってみなみは、大丈夫。僕は大丈夫だよ。と口だけを動かしてひとみに言った。
そのみなみの言葉を聞いてひとみはなんだか本当に安心したような、とても嬉しそうな顔をした。
「こら! そこの二人!! なによそ見してる!!」
と、数学の岩波まなぶ先生にみなみとひとみの二人が仲良く一緒に叱られたのは、それからすぐのことだった。
その日の帰り道、思わずみなみはひとみに「僕と出会ってくれて、いつもそばにいてくれて、ずっと僕と一緒にいてくれて本当にどうもありがとう、ひとみ」とひとみに言った。
そんなみなみの言葉を聞いてひとみは一人、立ち止まる。




