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9章「ショーに生きた猫 1」
「・・・は?」
「・・・はあ。やっと正体を暴けましたよ。腕が鈍ってるなぁ・・・」
少年にまだ香は大幣を向けている。
その少年は少しおどけて喋り始めた。
「やぁやぁ、山本家の人間か。蘭子はもう引退したのかい?」
「お婆さんは今は巫女はしてません。その代わり、私が今の巫女です」
「そうか。大変だねぇ、見習い巫女は。修行は厳しいだろう?僕の元へ来てみないか?僕の──」
そう言った瞬間、何処からかその少年のバックに黒猫達が控えた。その猫達は、目が爛々と光っている。そして、鳴くことも無く静かに待っている。
「この僕のショーの団員の一員にしてあげるよ?どうだい?まあ、もう人間には戻れないだろうけどねぇ〜?」
そして腕を振り、少年は杖を持った。
「紹介が遅れた。僕の名は『コーシュカ』。さあ、ショーの始まりだ。」
酷い嫌悪感を放つコーシュカ。
後ろから近付いて来る猫に、僕達は気付かなかった。
ちなみにコーシュカの名前の由来は、ロシア語で猫という意味をそのまんま使ってます。ロシアは猫が3番目に多い国だそうな。(1位がアメリカだったから使えなかったのは内緒)