姉妹
次の日。
お姉ちゃんの胸元で、甘えながらゆっくり眠っていました。
・・・・・
「ほら、だめだよ?キャロ。アリスもご飯待ってるから……」
まだ、日も昇り切っていません。
「もう少しぃ・・・・・アリスちゃんは別室ですもん・・・・しばらく来ませんよぉ」
ぎゅうっとしがみつきます。
あったかいです。
いやです、離れたくありません・・・・・。
もう少しこの温度を・・・・・。
「・・・・・なにしてるんですか?お姉さま方」
と、思っていましたが、アリスちゃんが起きてきてしまいました。
「ぁ……」
「……ほら、アリスも来ちゃったし、ね?」
そういって、ひょいっと、腕の間に手を通されて、一度だけ、ゆっくりぎゅーっと、してくれます。
そして、ベッドから降ろされて、お姉さんは料理にてきぱき取り掛かり始めます。
そして、私はといえば、お姉ちゃんが使っていた枕をぎゅう・・・・・としています。
こう、落ち着きます。
「……キャロお姉さま、一日で随分甘えん坊になりましたね……」
「あうぅ……」
私がうなっていると、アリスちゃんは、隣にひょいと、腰かけます。
「でも、いいと思いますわよ?私たちは、まだ、子供ですから。しっかり、お姉さまに甘えてしまいましょ?」
・・・・・アリスちゃんはわたしのことを年上だと思っています。
それは、姉弟子という意味でも、年齢という意味でも。
肉付きはともかく、身長は辛うじて、……私が大きいから、でしょう。
えぇ、……お姉ちゃんは、ともかくとして、アリスちゃんとの差も、ほぼ、誤差みたいなものなのです。
その差、・・・・・1㎝。
しかも、アリスちゃんは、まだ、第二次成長期を残しています。
その上に、実の姉の見た目はまさに、母性の塊みたいな姿をしたお姉ちゃんです。
何時抜かされてもおかしくはありません・・・・・。
「・・・・・?キャロお姉さま?」
「な、なに?!」
あぁ、行けません、つい、ぼーっとしていました。
「私もお姉さまの枕ぎゅーってしたいです」
「ぅ……。はい、どうぞです」
「・・・・・。こっちも貸してください」
といって、私のも、引きずって二つ纏めてぎゅうっと、している。
「キャロお姉さまだって、お姉さまなんですから、ちゃんと貸してください・・・・・頼りにしているんですよ?」
「・・・・・頼りになりますか?」
少し疑問です。
私程度で、頼りになるでしょうか。
お姉ちゃんのような生活力も、実力もなければ、頼りになる体ではありません。
「あら、私は後衛ですよ?そもそも、お姉さまみたいに近接に行くことはできません。魔法使いではありませんから、魔法も武器がいります。弓を弾き絞るのには時間がいります。一人では、まだ、戦えないのです。あの時、お姉さまは、ビッグピッグの前に、真っ先に飛び出してくれたでしょう?・・・・・とっても嬉しかったんですよ」
「・・・・・それは、だって」
当然のこと、だし、作戦だって、元々。
「それでも、ですよ。お姉さま。怖がって、逃げてしまっても、よかったはずでしょう?えぇ。私は目標のダメージを与えれてないのですから、もっと、それこそ、普段使わない、射撃としての雷撃を放てば、少しでも削れたはずです。……それでも、お姉さまは飛び出してくれました」
「……アリスちゃん」
「だから、ありがとうございます。一緒に頑張りましょう、お姉さま。私たちは、姉妹、なのですから」
そう、にっこりと笑うアリスちゃん
「・・・・・うん」
・・・・・正直、アリスちゃんも。お姉さんに見えてきました。
魔法:魔物に対抗する為にほぼ唯一といえる術。
肉体を魔力で構築している魔物に対して、魔力を帯びた攻撃を行うことにより、魔物という存在に対しての攻撃を行うことができる。
魔法を纏っていない物理攻撃では、魔物に対しては、8割以上、ダメージを軽減されてしまう。
その属性は多岐にわたり、また、魔法を覚える順番さえも、魔法に影響を与えるため、全ての人間は、別の魔法を覚えるともいえる。