第十五話 また明日、君に会える
誰かと笑い合った休日が終わっても、その時間まで消えてしまうわけではありません。
翌朝の教室で交わす言葉や、次の約束を楽しみにする気持ち。そんな小さな変化が、いつもの日常を少しずつ変えていきます。
第二章の締めくくりとなる今回は、駿の家で過ごした休日の余韻と、航平が書こうとしている物語の変化を描きます。
悲しい結末しか書けなかった少年は、まだ幸せの意味を知りません。
それでも、誰かと過ごした時間を大切に思い始めた彼は、物語の続きを少しずつ変えようとしています。
月曜日の朝。
水野航平が教室に入ると、窓際の席で佐久間駿が机に突っ伏していた。
「……おはよう」
声をかけても、返事がない。
航平は鞄を机に置き、もう一度友人の顔を覗き込んだ。
「おい。生きてるか?」
「……水野」
「何だよ」
「俺は今日、学校を休むべきだったかもしれない」
「月曜日から何を言ってるんだ」
「土曜日の敗北が、まだ俺の心に深い傷を残しているんだ……」
「ゲームの話かよ」
航平が呆れた瞬間、隣の席から笑い声が聞こえた。
「ふふっ。まだ引きずってるの?」
成瀬明里が鞄を椅子に掛けながら、駿を見下ろしていた。
「当たり前だろ! 自分の家で負けたんだぞ!」
「それ、何回聞かせるつもり?」
「俺が納得するまでだ!」
「じゃあ、一生言い続けることになるわね」
「お前、俺のこと嫌いだろ!」
「ううん。こうやって簡単にからかえるから、見ていて飽きないだけ」
「それを嫌いって言うんだよ!」
二人のやり取りに、航平は思わず笑った。
土曜日にも見た光景だ。
けれど、教室で聞くと、どこかいつも以上に懐かしく感じられた。
「おはよう、航平くん」
聞き慣れた声に振り返る。
廊下側の扉のところに、早坂結衣が立っていた。
「おはよう、早坂」
「おはようございます」
蒼太も、ほとんど同時に挨拶を返した。
結衣は三人に軽く会釈してから、航平の方へ視線を戻す。
「土曜日、楽しかったね」
「ああ。駿はまだ負けたことを気にしてるけど」
「聞こえてるぞ!」
駿が机から顔を上げた。
「俺はまだ勝負を諦めていないからな!」
「次も負けたらどうするの?」
結衣が尋ねる。
「次は勝つ!」
「その次も負けたら?」
「……その次は勝つ!」
「ふふっ。じゃあ、次も楽しみだね」
結衣が笑う。
駿は一瞬だけ言葉を失い、それから頭を抱えた。
「くそっ……! 何で俺が励まされてる側なんだ!」
「励まされていると感じるなら、少しは反省したら?」
明里の言葉に、教室の近くにいたクラスメイトまで笑い始めた。
窓の外では、春の風に揺れた桜の花びらが、校庭の隅へと流れていく。
いつもと同じ朝。
始業前のざわめき、机を動かす音、誰かが提出物を探す声。
その中に、土曜日に聞いた笑い声が自然につながっているような気がした。
航平は、結衣が廊下へ戻る前に声をかけた。
「早坂」
「ん?」
「……また、みんなで遊べるといいな」
自分で口にしてから、少しだけ驚いた。
以前なら、そんなことをわざわざ言おうとは思わなかった。
休日は一人で過ごせばいい。
友人と会うのは学校だけで十分だ。
そう考えていたはずなのに。
結衣は目を丸くしたあと、柔らかく微笑んだ。
「うん。私もそう思う」
それだけ答えて、彼女は自分の教室へ戻っていった。
航平は、その後ろ姿をしばらく見送った。
「……へえ」
すぐ隣から、意味ありげな声が聞こえた。
振り向くと、明里が腕を組んでいる。
「何だよ」
「別に?」
「またそれか」
「だって、航平から次も遊びたいって言うなんてね」
「みんなで、だよ」
「はいはい。みんなで、ね」
明里は笑いながら自分の席へ戻った。
駿が、今度は妙に真剣な顔で航平の肩に手を置いた。
「水野。俺はお前を応援している」
「何をだよ」
「青春だ」
「意味が分からない」
「分からなくてもいい。青春とは、そういうものだからな」
「さっきまでゲームの敗北を嘆いていた人間の台詞とは思えないな」
蒼太が静かに言った。
「うるせえ! 俺にだって真面目なところはある!」
「それは初耳だ」
「蒼太、お前まで!」
始業のチャイムが鳴り、駿は慌てて自分の席へ戻った。
航平は笑いながら教科書を取り出した。
土曜日から、何かが劇的に変わったわけではない。
ただ、次の休日に誰と何をしようかと考えるようになった。
それだけでも、以前の自分とは少し違っていた。
*
午前の授業が終わると、教室は一気に昼休みの空気に変わった。
弁当箱を開ける音、購買へ走る足音、友人を呼ぶ声。
窓際では、誰かが週末に見た映画について話している。後ろの席では、提出期限が近い課題を思い出した生徒が悲鳴を上げていた。
航平は弁当を取り出しながら、駿と蒼太が席を寄せてくるのを待った。
「なあ、水野」
駿が箸を持ったまま口を開く。
「次は何をして遊ぶ?」
「もう次の話か?」
「当然だろ。休日は計画的に使わないとな」
「昨日まで計画なんて一つもなかったくせに」
明里が向かい側から指摘する。
「それはそれ、これはこれだ!」
「便利な言葉ね」
蒼太は弁当のおかずを口に運びながら、淡々と提案した。
「次は外に出るのもいいんじゃないか。ずっと家にいると、また駿が同じゲームをやりたがるだろうし」
「何だと!? 俺のゲームコレクションを否定するのか!」
「否定していない。選択肢を増やしているだけだ」
「……なら、いい」
駿はあっさり納得した。
明里が呆れたようにため息をつく。
「本当に単純ね」
「で、外なら何をする?」
航平が尋ねると、駿は少し考えた。
「本屋とか?」
その言葉に、航平は箸を止めた。
「本屋?」
「おう。駅前に大きいところがあるだろ。俺、最近ちょっと気になってるゲームの攻略本があってさ」
「結局、ゲーム関係じゃないか」
「いいだろ、別に! 本屋には漫画も小説もあるんだから!」
蒼太が頷く。
「本屋なら、それぞれ見たいものを見られるな」
「そのあと、どこかで食べて帰るのもいいわね」
明里も話に加わった。
「ただし、駿の思いつきだけで行き先を決めるのは禁止」
「何でだよ!」
「前科があるから」
「いつの話だ!」
「昨日のゲームでも、説明書を読まずに始めようとしたでしょう」
「それは……!」
駿が言葉に詰まった。
航平は笑いながら、ふと廊下の方を見た。
結衣の教室は、すぐ隣の校舎にある。
本屋なら、彼女も好きそうだ。
一緒に本を選んだときのことを思い出す。彼女が一冊の本を手に取り、楽しそうに内容を説明してくれたこと。自分が読み終えたあと、二人で感想を話したこと。
また、あんな時間を過ごせたら。
そう思った自分に気づき、航平は少しだけ視線を落とした。
「……早坂も誘ってみるか?」
自分からそう言うと、駿は一瞬、動きを止めた。
明里がゆっくりと顔を上げる。
蒼太は何も言わなかったが、その目にはわずかな笑みがあった。
「何だよ」
航平が警戒すると、駿は大きく頷いた。
「いいじゃねえか! 俺も賛成だ!」
「……お前、何を考えてる?」
「何も考えてねえよ!」
「その顔で言われても信用できない」
「失礼だな!」
明里は口元を押さえて笑った。
「いいんじゃない? 結衣ちゃんも本が好きだし。今度は私たちの方から誘ってみましょうよ」
「そうだな」
蒼太が続ける。
「この前は駿の家だったから、次はみんなで出かける。自然な流れだと思う」
「よし、決まりだ!」
駿が勢いよく立ち上がりかけた。
「まだ誘ってもいないだろ」
航平が慌てて止める。
「じゃあ、今から誘いに行こうぜ!」
「昼休みはまだあるけど……」
「善は急げ!」
「その言葉、絶対に意味を理解してないだろ」
それでも、航平は立ち上がった。
結衣に、次の休日の話をしてみよう。
それだけのことなのに、胸の奥が少しだけ弾んだ。
*
放課後。
航平は教室に残り、書きかけのノートを鞄へしまっていた。
週末の出来事を、物語の中にどう生かせるだろう。
病気になる前の少女が、友人たちと過ごす一日。
何気ない冗談に笑い、負けたゲームを悔しがり、帰り道にまた会おうと約束する。
そんな場面を書けたら、彼女が失うものをただ説明するよりも、その日々がどれほど大切だったのかを伝えられる気がした。
「航平くん」
顔を上げると、教室の入口に結衣が立っていた。
「今、少し時間ある?」
「うん。どうしたの?」
「図書室に行こうと思って。もしよかったら、一緒にどうかなって」
航平は時計を確認した。
急ぎの用事はない。
「いいよ。行こう」
二人は並んで廊下を歩き始めた。
放課後の校舎は、授業中とは違う音に満ちていた。運動部の掛け声が窓の外から聞こえ、階段を駆け下りる生徒たちの足音が響く。教室の中には、まだ友人と話し込んでいる生徒の姿もあった。
「土曜日のことなんだけど」
結衣が口を開いた。
「うん」
「みんなと一緒に遊ぶのって、やっぱり楽しいね」
「そうだな。駿は騒がしかったけど」
「ふふっ。あれはあれで、面白かったよ」
結衣は楽しそうに笑ったあと、少しだけ考えるように視線を上げた。
「私、最初はちょっと緊張してたんだ」
「そうだったの?」
「うん。みんな、航平くんとはずっと仲がいいでしょう? 私はまだ、みんなのことをよく知らなかったから」
航平は頷いた。
それは当然のことだった。
自分たちは同じクラスで、毎日のように顔を合わせている。一方、結衣は別のクラスだ。以前から互いの顔を知っていたとしても、親しく話すようになったのは最近のことだった。
「でも、明里ちゃんも蒼太くんも優しかったし、駿くんも……まあ、駿くんだったし」
「それ、褒めてるのか?」
「褒めてるよ?」
結衣は笑った。
「それに、航平くんがいてくれたから、安心した」
その言葉に、航平は歩く速度をほんの少しだけ緩めた。
「……俺、何かした?」
「ううん。特別なことは何も」
結衣は首を横に振った。
「ただ、知っている人が一人いるって、それだけで違うんだなって思ったの」
航平は返事を急がなかった。
自分が誰かにとって、そんな存在になれるとは考えたことがなかった。
小説を書くときなら、登場人物の気持ちを想像できる。何を言えば喜ぶのか、何を失えば悲しむのか、頭の中で何度も考えてきた。
けれど、現実の人間関係は、物語のように都合よく答えが見つかるわけではない。
それでも。
「……そう言ってもらえると、嬉しいよ」
航平は素直に答えた。
結衣は少しだけ目を丸くした。
「本当?」
「うん」
「よかった」
彼女は前を向き、頬を緩めた。
「私も、航平くんと一緒にいると落ち着くことがあるから」
今度は、航平が言葉に詰まる番だった。
「……そうなんだ」
「うん」
結衣はそれ以上、何も言わなかった。
ただ、二人の間には、気まずい沈黙ではなく、穏やかな静けさが流れていた。
図書室に着くと、窓から差し込む夕方の光が、本棚の背表紙を淡く照らしていた。
利用する生徒は少なく、カウンターの向こうでは司書が返却された本を整理している。
結衣は小説の棚へ向かい、何冊かの本の背表紙を眺めた。
「そういえば、航平くん」
「何?」
「この前話していた、病気になる前の女の子の物語。書いてる?」
「ああ。少しずつだけど」
「どんな感じ?」
航平は少し考えた。
「朝、寝坊して。家族に急かされて、学校に行って。友達と話して、帰りに寄り道をして……そんな感じ」
「いいね」
結衣はすぐに答えた。
「でも、まだ何も起きていないよ?」
「何も起きていない時間も、その子の人生でしょう?」
航平は彼女を見た。
結衣は本棚から一冊の本を抜き取り、表紙を確かめながら続けた。
「何か大きな出来事があった日だけが、大切な日とは限らないと思うの。普通に学校へ行って、友達と話して、帰ってきて。そんな一日がずっと続くと思っていたからこそ、あとになって思い出すこともあるんじゃないかな」
彼女は本を胸元に抱えた。
「だから、その子が何を好きだったのかとか、誰と仲がよかったのかとか、どんなことで笑ったのかとか。そういうことも知りたいな」
航平は、しばらく何も言えなかった。
自分が書こうとしている物語を、結衣はいつも、結末からではなく、その人物が生きていた時間から考えてくれる。
悲しませるための出来事ではなく。
悲しみを感じるほど大切だったものを。
「……分かった。もっと考えてみる」
「うん。楽しみにしてるね」
結衣は本棚へ視線を戻した。
航平は鞄からノートを取り出しかけ、やめた。
今、彼女が話してくれたことを、その場で文章にする必要はない。
まずは、忘れないように心に留めておこうと思った。
*
図書室を出る頃には、空が薄い橙色に染まっていた。
校門へ向かう途中、航平は昼休みに話していたことを思い出した。
「そうだ、早坂」
「ん?」
「今度の休日、みんなで本屋に行こうって話になったんだけど……一緒にどうかな?」
結衣は足を止めた。
「本屋?」
「うん。駿が攻略本を見たいらしいけど、普通の小説もあるし。そのあと、みんなで何か食べて帰ろうって」
「いいね!」
結衣の返事は、思っていたよりも早かった。
「私も行きたい」
「本当?」
「うん。新しく読みたい本があるんだ。それに、みんなで出かけるのも楽しそう」
航平はほっとした。
「じゃあ、詳しいことはグループで決めるよ」
「分かった。楽しみにしてるね」
二人は校門を出て、駅へ向かう道を歩いた。
途中で分かれ道に差しかかる。
結衣の帰る方向は、航平の道とは反対だった。
「じゃあ、私はこっちだから」
「うん。また明日」
「また明日、航平くん」
結衣は手を振り、歩き出した。
数歩進んだところで、彼女は一度だけ振り返った。
「航平くん!」
「え?」
「物語、無理して書かなくてもいいからね。書けない日があっても、私は待ってるから」
航平は目を見開いた。
彼女は少し照れたように笑った。
「でも、書けたら読ませてね」
「……ああ。約束する」
結衣は満足そうに頷き、今度こそ帰っていった。
航平はその姿が見えなくなるまで、しばらく立ち止まっていた。
彼女は、自分の物語を待ってくれている。
それだけではない。
書けない日があってもいいと、言ってくれた。
誰かに期待されることは、少し怖い。
期待に応えられなかったらどうしよう。
途中で書けなくなったら、失望させてしまうのではないか。
これまでの航平なら、そんな考えばかりが浮かんでいたはずだった。
けれど、結衣の言葉には、急かすような響きがなかった。
ただ、続きが読みたいと伝えてくれた。
それなら、自分も書いてみたい。
誰かのためだけではなく、自分自身が続きを知りたいと思える物語を。
航平は歩き出した。
春の夕暮れの中、胸の奥に小さな明かりが灯ったような気がした。
*
その夜。
航平は机に向かい、書きかけの物語を開いた。
病気になる前の少女は、朝寝坊をして、母親に起こされて、慌てて制服に着替える。
玄関を飛び出す前に、忘れ物に気づいて引き返す。
学校では友達とくだらない話をして、帰り道には寄り道をする。
まだ、彼女は自分の未来に何が待っているのかを知らない。
明日も同じような一日が来ると信じている。
だからこそ、今日を特別な日だとは思わない。
航平は、そこまで書いてペンを止めた。
これまでの自分なら、次に何を失わせるかを考えていただろう。
どうすれば読者の心を揺さぶれるのか。
どうすれば、最後の一行を悲しくできるのか。
けれど、今は違った。
この少女が、友達と笑っているところを書きたい。
家族に叱られて、少しだけむくれるところを書きたい。
何でもない日に、明日の約束をするところを書きたい。
そのすべてが、いつか彼女の物語を形作るのだから。
航平はノートの余白に、ゆっくりと文字を綴った。
――明日も同じ一日が来ると、少女は信じていた。
――だから彼女は、今日という日を疑いもしなかった。
書き終えたあと、航平はその二行を見つめた。
悲しい結末へ向かう物語であることは、変わらない。
けれど、その結末にたどり着くまでの時間を、以前よりも大切に書ける気がした。
スマートフォンが震える。
グループチャットに、駿からメッセージが届いていた。
『次の休日、本屋のあとにゲームセンターにも行こうぜ!』
すぐに明里が返信する。
『本屋に行く話だったでしょう。何で勝手に予定を増やすのよ』
『いいじゃねえか!』
『時間と体力を考えなさい』
蒼太が続けた。
『本屋を見てから、全員の希望を聞いて決めればいいと思う』
少し遅れて、結衣からもメッセージが届いた。
『ゲームセンターも楽しそう! でも、まずは本屋でゆっくり本を見たいな』
『じゃあ、最初は本屋だな!』
駿がすぐに返す。
『分かったわ。今回はそれでいいわよ』
明里も同意した。
航平は、画面を見つめながら微笑んだ。
次の休日には、またみんなで出かける。
まだ行き先も、そこで何が起きるのかも、はっきりとは決まっていない。
それでも、楽しみにしている自分がいた。
彼はノートを開き直し、最後に一行を書き加えた。
――誰かと過ごす時間を、もう一度楽しみにしている自分がいた。
ペンを置き、椅子の背もたれに身体を預ける。
悲しい物語を書く少年は、まだ幸福の意味を知らない。
誰かを大切に思うことも、誰かに大切に思われることも、そのすべてを理解したわけではない。
それでも、彼の世界には、少しずつ新しいものが増えていた。
一緒に笑える友人たち。
続きを待ってくれる少女。
そして、次の日を迎えることが、ほんの少し楽しみになる気持ち。
航平は窓の外を見た。
夜空には、いくつもの星が瞬いている。
どの星も、同じ明るさで輝いているわけではない。
けれど、一つの星が見えにくくなっても、空そのものが空でなくなるわけではない。
そんなことを考えながら、彼は静かに目を閉じた。
涙の向こうに、何があるのか。
まだ、答えは分からない。
けれど、その向こうにも物語が続いているのなら。
今度は、その続きを書いてみたいと思った。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
第二章では、航平と結衣が少しずつお互いを知り、二人だけの時間だけでなく、友人たちと過ごす時間も増えていきました。
航平は、結衣と話すことを楽しみにするようになり、結衣もまた、航平の友人たちと一緒に過ごすことで、新しいつながりを見つけ始めています。
二人の関係は、まだ恋人ではありません。
けれど、相手がそばにいると安心できること。何気ない時間を一緒に過ごすことが嬉しいこと。そして、また会える日を楽しみにできること。
そんな気持ちが、少しずつ二人の間に生まれています。
また、航平の書く物語にも変化が訪れました。
これまでは悲しい結末へ向かう出来事を中心に考えていた彼が、登場人物の何気ない日常にも目を向け始めています。
その変化が、これから彼の人生と物語にどんな影響を与えるのか。
次の章では、五人で過ごす時間がさらに広がり、それぞれの個性や関係にも新しい変化が生まれていきます。
引き続き、航平たちの物語を見守っていただけたら嬉しいです。




