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フォニックス 運命の始まり  作者: ことこん
第二十七章 相手は真の味方に
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第二部 これくらいさせてよ

 ロスト団は、恐れることもせずにエヴェルに向かっていった。エヴェルは炎で焼き尽くそうにも雨が降っているので、黒い手で応戦した。しかし、ロスト団は集まってみると完璧とも言えるコンビネーションだった。でも、どうしてもパワーが劣り、決め手に欠けていた。私は、邪魔にならないよう氷を回収した。なんだかワーワーと声が聞こえると思ったら、フウワさんの尻尾に火がつき、慌てて降ってさらに大きくしてしまって、姉さんが駆けつけていた。エヴェルもそろそろ本気を見せ始めたのか、アルガを吹っ飛ばした。アルガは咄嗟に氷に尖る毛を突き刺し、ジャンプですぐに帰って来た。あれ?アルガってこんなに強かったっけ?ヒノガはあまり技を出せないでいた。よく見ると、刀を持って来ていない。忘れて来たのだろうか。チーナは地面を操り、エヴェルを追い詰めていたが、エヴェルはその影でレイナを拘束した。ナノガはそれに素早く反応し、黒い手を薙ぎ払った。そんな感じで私たちはロスト団と共闘していると、どこからか、

「ヒーノーガー!刀、忘れてったでしょ!」

と声がした。ヒノガは声がする方を向いたので、私もそちらを見ると、刀を持ったパキラがいた。

「すまん。マキガは?」

「近所の人に預けて来た。はい、刀」

パキラはヒノガに刀を投げつけた。ヒノガは刀を抜き、エヴェルに斬りかかった。

「本気を出すとするか。義父、耐えてくれよ。龍神斬!」

刀は巨大な炎の龍となり、ヒノガが振り下ろすとエヴェルを斬るのと同時に龍がエヴェルに突進し、とんでもない程の炎となって降って来た。その爆破音で、ナノガは硬直した。でも、燃え広がるようなことはせず、エヴェルがいる所だけが燃え続け、夜を照らしていた。パキラがおおーと拍手していると、そんなに強くはない10つ程の妖気と、一つ冷たい妖気を感じた。

「やれやれ。人騒がせな奴らだ」

オスコさんが妖獣たちに乗ってやって来た。さすがにロルはいなかったけれど、十分強そうな妖獣たちだ。オスコは妖獣から降りると、氷の刃をエヴェルに突き刺した。パキラはまた拍手をしていた。思えば、パキラは私たちが何かをする度に拍手をしている。こんなに無邪気な人だったけ?パキラはだんだんとエヴェルに近づいていった。そして、拍手をし続けて出始めた火の粉を炎に変え、ひょいと跳んでエヴェルに向かって手を突き出した。すると、炎がエヴェルに向けてゴオッと音を立てて飛んでいった。

「ヒノガには怒られるかもだけど、私は近接戦の方が圧倒的に強い!しかも、雨が降ってる今は炎が残らないしね」

パキラは次々とエヴェルに向かって炎技を出していった。ヒノガは何か言いたげだったけれど、龍神斬の準備をしているみたいだった。

「わっ」

パキラはエヴェルに影撃ちされた。しかし、パキラは炎で自分の影の向きを変え、脱出した。

「深入りしすぎた」

「これくらいさせてよ。だって、なんだかんだでよくしてもらってるんだし」

「だが…」

「いいじゃん」

パキラはヒノガを気にすることもなく、またエヴェルの側へと行った。ふと、どこからか声がした。

「助けに来たよ、スインちゃん」

姉さんはため息をついた。それで誰が来たのか大体わかった。

「やれやれ、助けに来ても、そんな顔ばかりだよね、君は。照れ隠しかな?」

ずいっと姉さんの側に来たのはやっぱりエムルだった。

「エムル…」

「じゃあ、あそこの人を倒すのを手伝いますか…と行きたいところだけど、今日用事あるから。じゃあね!」

結局、迷惑をかけて去っていっただけだった。

「やっぱり、来なくちゃならなかったのかな?いとこのために、ここまでする必要ある?」

「しっかりしてよ、お兄ちゃん。フォニックスには、お世話になったんでしょ?」

「分かってる。分かってるけどさ…」

「あっ!フェルク!」

「フェル君、久しぶりやな」

「その呼び方やめてって言ったよね?」

「もう、ちゃんと戦おうよ」

人が増えて、だんだん有利になって来た。シンはあまりの人の多さに戸惑っていた。フェルクの妹さんは、初めて会うだろうと思う人にも声をかけて、コンビネーションを作り出していた。ものすごいコミュニケーション能力だ。一方、フェルクはブツブツ文句を言いながら攻撃をしていた。多分これ以上は来ないだろうな、と思った矢先、最後の1人が来た。

「月も出てるし、できそう」

レイナの雨が弱まったタイミングを見計らったようだった。

「月の従者、セレンです」

セレンは中々の威力の攻撃をしていた。何にしろ、人が多すぎてサポートし切れない。それはムルルも同じようで、視線が次々に変わっていた。本人たちも、誰と一緒に戦ってるかわからないけどまあいいかみたいな感じで戦っていた。ソウマさんを除き、妖獣も数えるとしたら総勢15人。こんな人数で戦うなんて蛇の国以来なので、少しやりにくい。蛇の国と言ったら、嫌なことを思い出してしまいそうなので、これ以上考えるのはやめにした。

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