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フォニックス 運命の始まり  作者: ことこん
第二十五章 いざ、廃坑へ
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第二部 居場所を突き止めろ!

 同刻。ムルルとスインがいなかったが、俺たちは今山の動物たちと協力して、エヴェルを探していた。ブラックス本拠地からは誰の妖気も感じられなかったので、オスコに頼もうとしたが、妖力が足りないから無理と言われたので、動物を借りてきた。しかし、場所を特定できないので人海戦術でどうにかするしかない。これでは、いつまでかかるのやら。電話で出来るだけ協力者を集めたが、やはりわからない。せめて、エヴェルの妖気がわかればいいのだけれど…。

「ライ兄、エヴェルのいるとこわからなくても、ブラックスのほんきょちいけばエヴェルのようきのこってる」

その場にいた全員が振り向いた。ツーハはただ思いつきで言ったのかもしれないが、それに助けられたことこの上ない。

「ウーベイ、セキュリティ解除はできそうか?」

『任せてください。ライトさんは今猫の国にいるので、ギーヨ様かその近辺に妖気探知機を貸してもらい、もぬけの殻だったブラックス本拠地に向かってください。そうすれば、残っているエヴェルの妖気で居場所がわかるでしょう』

「分かった。1番速い俺だけで行く。戦闘がないなら、問題ないだろう」

俺は猫の国を走り、猫の国の宮殿に向かった。

「誰だ。怪しい者ならば、門番の俺が切り捨て…」

「ライトさんですよ!ライトさん、すみません、彼気性が少々荒いので。どうぞお入りください!」

だいぶ会ってなかったが、キョウさんはやっぱりキョウさんだった。事情を説明すると、キョウさんはギーヨ様の部屋に案内してくれた。キョウさんはドアをノックした。

「どうぞ」

キョウさんがドアを開けると、ギーヨ様は本と睨めっこしていた。その本の題名をチラリとみると、『女性が喜ぶ男性のなり方』と書いてあった。

「キョウとライトさん!?」

ギーヨ様は慌てて本を本棚に押し込んだが、もうバレバレだ。本棚を見ると、他にも似たような本が並んでいる区画があった。

「ギーヨ様!書類処理は終わったんですか?」

「ええもちろん」

「だからと言って、何を読んでいるんですか!ライトさんが来ましたよ!」

「ああ。失礼いたしました。お久しぶりです、ライトさん。皆さんは元気ですか?」

「あー、まあ、はい、そうです」

ソウマが毎回ケガをするので少し返答に困ったが、そういうことにしておいた。

「ところで、今日は何かご用ですか?1人ということは、急用ですね」

「はい。実は…」

同じことをまた話した。ギーヨ様はいつもの柔らかな笑みを見せ、引き出しを開けて中から何かを取り出した。

「それなら、これが便利だと思いますよ。範囲は世界全体のものに比べれば狭めですが、わずかな妖気でも拾い、詳しい場所まで知ることができます。あまり使いませんし、よかったらもらってください」

「えっ。でも…」

「いいんですよ。それは古いものなので、物足りないかも知れませんが、今回はうまく行くと思いますよ」

「あ、ありがとうございます」

そして、俺は宮殿を飛び出しブラックスの本拠地に潜入した。しかし、やはり探知するまでに時間がかかってしまう。30分後、ようやく居場所がわかった。探知機は闇狐の闇屋敷周辺の廃坑だった。俺はみんなに情報を共有した。ツーハなど、戦えない人や動物には帰ってもらい、結局7人で行くこととなった。ここからだったらそう遠くないので、歩いて向かうと、普通に廃坑であり、人の気配はまるで感じられなかった。しかし、油断は禁物だ。気配だけでは人のいるいないがわかるわけではない。重要なのは、妖気が感じられるかどうかなのだ。しかし、遠すぎると妖気は感じられない。どうしても、廃坑の中を進むしかないようだ。エントはやはり恐怖で震えていたが。廃坑は一本道ですれ違ったらバレるので素直に普通に行くことにした。使われなくなった廃坑にはレール車体が錆びたトロッコや付かないライトが残されていた。ずんずん進んでいくと、人影が見えてきた。しかし、向こう側の人影は、勢いよくこちらに向かってきた。

「全く。ずいぶんと遅かったようだな。おかげで、あの街はほとんど制圧することができた。さあ、ムルル。俺を倒してみろ。そして、兄よりお前が優秀な事を証明してやれ」

多分、ハクムさんとエヴェルは同じくらいの実力なのだろう。ムルルは手をギュッと握って、まっすぐに兄を見ていた。この年で怯まずにいられるなんて、大したものだ。

「兄ちゃん。僕は、フォニックスで客観的にブラックスを見ることができた。だから」

ムルルは、さらにしっかりと兄を見た。

「僕は、ブラックスのやってることが悪いことだってよくわかった。そして、他のメンバーはそのことをよくわかってない。僕は、あなたをフォニックスと一緒に倒します。“兄”」

エヴェルは一部始終を聞き、なぜか笑った。それにしても、ムルルの年で客観的なんて言葉使うか?

「ははは。そうか。だが、俺も手加減せん。勝負だ、フォニックス」

俺たちは、一斉に駆け出した。

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