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フォニックス 運命の始まり  作者: ことこん
第二十三章 譲れないリベンジ
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第四部 継いだもの

 フウワさんは回転に酔いそうになっている。あまり無理ばかりさせたくない。いまだに起きていないライトさんは、回転の遠心力でだんだん位置がずれている気がする。正直早く起きてほしい。そんなことを見れるのは、1番遠くにいる私だけだ。だから、みんなを出来るだけよく見てサポートしていきたいと思っている。だけど、これでは岩を凍らせるという間接的なサポートしか出来なさそうだ。どうしたものかと思案していると、トルキが私の足場を急降下させた。しまった。てっきり回転だけかと思って油断していた。フウワさんのテールハンドも届きそうにないし、ムルル君もいっぱいいっぱいだ。自分でなんとかするしかない。そう思っていると、右から光っている何かがやってきて、私を抱き上げ、違う足場へと一気に飛んだ。誰かと思ってうっすらと目を開けてみると、ライトさんだった。しかし、いつもの笑った顔ではなく、珍しく本気の顔をしていたので、少し怖かった。そんなことを考えている内に足場に着地した。すると、いつもの顔に戻った。

「大丈夫だったか?アイン」

「うん。大丈夫。それにしても、あんなに早かったんだね」

「妖力を使えばあれくらいになるぞ。まあ、俺は手数で勝負してるからあんまりしないけどな」

「ありがとう。まだまだ、ライトさんには追いつけそうにないなあ」

「そんなことないぞ?アインはいつも精一杯やってるんだし。俺なんかそのうち追いされちまいそうだ」

ライトさんは、たまに良いことを言う。

「じゃあ、俺行ってくる!」

私が返事をする間も無くライトさんは足場と足場の間を跳び越えトルキの所へ行った。でも、私は何か忘れているような気がする。眩しさを感じて妖石をふと見ると、いつもは薄い水色にほんのり光っているのに、今は黄色に輝いていた。その時、私はギーヨ様の言葉を思い出した。

『もし必要な時が来たら、ライトさんに渡してあげて下さい』

と。いつだったか忘れたけど。多分、今こそ渡すべきなんだろうけど、自分をうまく制御できる自信がまだない。悩んだ結果、もう渡すことにした。フウワさんに事情を確認して、みんなにも言った後、フウワさんに投げてもらった。ライトさんは何か感じたのか見事にキャッチした。凄まじい妖気を感じた。これには、さすがのトルキも驚いたようだ。

「この妖気は、あいつの…。死ぬ前に全妖気を妖石に込めたのだな」

しかし、私はやっぱりうまくいかなかった。体が勝手に足場を氷で破壊し始めた。明らかに自分が不利になるだろうに。そして、止めようとこちらに来たソウマさんを凍らせてしまった。でも、私が落ち込むより前に、謎の草が生えてきて、その口みたいな所で氷を噛み砕いた。ソウマさんは、全然無事で、なんならえへへと笑っていた。

「大丈夫なんですか?」

「大丈夫。もうオスコさんで慣れたから。平気だよ」

なんだか、もう丈夫すぎてちょっと怖い。どういう理屈でそうなったのだろう。でも、おかげですっかり収まった。ライトさんは、いつもではありえないほどの速さで連続攻撃をしていた。私もサポートしなきゃと思って手をかざすと、フウワさんが私の腕を掴んだ。なぜだろうと思って見上げると、フウワさんは話し始めた。

「今のライトは恐ろしく速い。そんな状態でどうやってサポートをする気だ?ライトの邪魔をしたくなかったら、大人しく見ているのが1番だ」

確かに、言われてみればそうだ。私は、フウワさんに言われた通り大人しく見ていることにした。ソウマさんのくしゃみの音が聞こえた。

「うー、寒い。僕、寒いの苦手なんだよね」

「普通凍らされたら生きてねえよ。大丈夫か?風邪引くなよ?」

エントがソウマさんを妖力で自分の体を温かくして、地面に座り、ソウマさんをそこに座らせた。

「あ、あったかい。エント君にすっぽり入っちゃう自分が悲しいけど。それにしても、ラ…イ…ト…く」

眠くなってきたのか、ソウマさんはうとうとし始めた。寒かったのか、ムルル君もやってきて、2人ともエントの膝下で寝てしまった。助けを求めるように、エントはこちらを見て来たが、私にはどうしようもできない。フウワさんも、同じような感じだ。そういえば、姉さんはどこだろうと思って辺りを見回すと、私たちと丁度反対側の足場にいた。しかも、私が足場を壊しまくったせいで、身動きが取れなくなっている。フウワさんはテールハンドで姉さんを掴んでこちらへ引っ張ってくれた。姉さんはこっちに来ると、寝ているソウマさんとムルル君を見つけた。

「エント君、ご愁傷様やな。でも、2人の寝顔も可愛いなあ」

「そうなんだよ。めっちゃ気持ちよさそうに寝るから、どけとも言えなくてさ」

なんだか、こっちはゆっくりしていてライトさんに申し訳ない。そろそろ起こした方がいいと思って、エントの近くに行くと、思ったよりもぬくぬくしていて、なんだか私もうとうとしてきた。そして、そこからの記憶はない。

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