『リサとアルクラ 』(IF もしもの世界)
IFの世界。
ドロン!
目の前でぶわっと煙が舞い上がった。
そして、現れたのは、小さな男の子。
「…アルクラ?」
ついさっきまで、見上げないとみれなかった顔が、今は目線の下にある。
「大きくなれ! 大きくなれ!」
アルクラらしき小さな男の子は、何度もギュッと目を瞑り、何かを唱えているが、10分たっても15分たっても何も状況は変わらず、最後には地団駄を踏んだ。
「大きくなれ! 大きくなれ!」
ダン! ダン! 足をばたつかせ、最後には癇癪を起こして泣き出した。
――そうだ。
アルクラは卵から還ってまだ1年と少しだけ。
しっかりとした性格に大人の姿に急すぎる成長。
元は竜なんだから人間とは成長スピードが違うのかな?
なんて自己完結していたけど……。
アルクラはこんなに小さかったんだ。
『ぐぅ~~~』
大きな音が響く。
少し腰をかがめて、両手でお腹を押さえて恥ずかしそうにしているアルクラと視線を合わせた。
「アルクラ、お腹空いたね。何が食べたい?」
「!! に、く!!……いや、なんでもない!!」
……成長期の子にお肉は必要よね。
生のお肉は無理だけど、調理済みのお肉ならなんとかなるかもしれない。
「今日は街に降りて、一緒に食べよう。アルクラと私の好きなものを」
「……いいのか?」
「もちろん」
小さな小さなアルクラの手を握って、一緒に森を出た。