久しぶりの温もり
少女に起こされ、薄暗い通路を一緒に逃げていた。少女のことをしっかり見てみると、茶髪で髪は結んでいる。ボロボロの服と何処かで拾った剣を持っていた。
「このままだと、埒が明かないよ。えーと、君の名前は?」
仁は少女に名前を尋ねる。
「私はアタナシア。シアと呼んで。あの、もし大丈夫なら、逃げきったあと、食べ物あるなら、分けてくれないですか。何も食べてなくて」
「俺は、ジン。わかった。でも、今はこの魔物をどうにかしよう」
「どうするの?」
「魔法を使えるから、止まって倒そう。試してみたいし」
このままだと、埒が明かないから、止まって魔物を倒すことにした。
仁は足を止めた。シアは慌ててその後ろに隠れた。
魔物が近づいてきて、魔物は、3つの顔がついていて、ライオン、狼、人間の女の顔がついていて、胴体と脚は、ドラゴン、尻尾は馬という異形の魔物だった。
「えぇ……なにこれ」
仁は困惑する。気持ち悪いとか驚きよりもアニメや漫画とかで見る魔物を想像していたが予想以上のものが出てきた。情報が追いつかず、理解するのに時間がかかった。
「わかんないよ。最初はこんなのいなかったけど、何回も死んでたら、出てくるようになったんだよ。早く倒して」シアは早口で言った
異形の魔物は、ジンに向かって襲い掛かってきた。
魔法をどう出すか分からないから、アニメとかでやっているようにしてみる。
手を前に出した
「ファイヤー」
すると、手から火が出た。野球ボールぐらいの火が出ると思っていたが、天井から床までを埋め尽くすほどの炎が、通路の奥まで一直線に走った。想像以上の火だったため、ジンも驚いた。それにより、異形の魔物は焼かれ消えた。
その後、二人は安全そうな部屋に移動し、休むことにした。創造能力でおにぎりを出した。
「なにこれ?」
「おにぎりだ。俺の国の食べ物だよ。ぜひ食べてみて」
「おいしい……」
そう言って、おにぎりを頬張っていた。
「急いで食べなくていい。ゆっくり食べな。何かあれば、俺が何とかするから」ジンは隣でおにぎりを頬張るシアを見ていた。
ジンは火の魔法を使って、想像以上に魔力が使ってしまったため、おにぎりを少ししか出せなかった。もっと、別のものを食べさせたかった。
シアとジンは食べながら、現状を話しあった。
「シアはこの国の人で、石を拾ったら、ここに迷い込んでしまったと。そして、何度も最深部へ続くと思われる扉の前にいるドラゴンに挑み続けていたら、俺と出会ったわけか」
ジンは、シアが死に戻りの能力を持っていることが分かった。
「ジンは他所の国の人で、石を拾ったら、女神に魔法と創造能力をもらって、ここに飛ばされたって意味がわからないけど、本当のことだと私は思う。もし可能ならだけど、一緒にここを出る為に手伝ってほしい」
シアは、今後も一緒にここを出る為に協力して欲しいと頼んだ。今までと違う可能性もに賭けるたい気持ちもあったが、それ以上に一人で寂しかったものもあった
「もちろん。何でも頼ってくれ」
この子には、恋愛感情とかは持つべきではない。
仁は思った。
「本当に?」
「あぁ。嘘はつかない。武士に二言はない」
そして、シアの頭を撫でた。
シアにとって、久しぶりの人間の温もりだった。
おにぎりを食べながら、その瞳には涙が浮かんでいた。




