始まりの合唱
あらすじ
今日も静かに木の葉のこすれる音と、カエルの合唱が静かすぎた夜を飾る。
山の中には街灯が無く、ただただ目の前には暗闇しかないが、疲れきってしまった首をひとたび上へ向けると、小さくみえた星の群れが目に焼き付けられる。そこだけとても明るかった
山村留学も悪くないと思い始めた頃は毎日古くからあったような縁側でずっとこんな感じだった。とある神社の事を耳にするまでは
本当にいつもの事だった
全校生徒16人、小学生から高校生が在学中の小さなこの学校の朝礼が終わった後の他愛もない会話から始まったちょっとした遊びだった。
「最近さ不慮な事故で死んだ人のニュースよく聞くよな」
「だな。不慮っていっても、雨上がりの山路で滑って落ちて死んだとか腐った大木が倒れて下敷きになって死んだとかだろ?」
「それで俺あることに気づいたんだよな」
同級生の条坂松栄「じょうさかまつえ」(男)
が自慢気というか、明らかに自慢したそうな顔で言った。
「へ~。何に?」
それに答える一つ年下の橋谷彩辺「はしやあやべ」(男)
「全部山が関係してるじゃねぇかぁ!世紀の発見だぜこれっ」
まあ、わかっちゃいたさ
どうせ単純にストレートかましてくると思ったよ
「阿呆らしい。山だったらなんだというのだ、私達にも被害が出るとでも思っているのか」
話の急所を突かれたようだ。口がこれでもかと開いた
今返事を返したのは、二つ年上の三上紗羅「みかみ さら」(女)面倒見のいい学校内のリーダー的存在だ。
この時は何も感じなかった。単純な奴から始まった単純な会話と受け止めていた。
だが後々になって単純な条坂が言ったこの話題が、学園に大きくも密かに悲劇が襲う事になってしまう。それはもうとてつもなく大きいが、ものすごく見つけにくい悲劇。
そんなことになるとは知らずに、俺は今日もカエルと一緒にぼんやりと今日も空を眺めていた




