22.会いたい人がいるんだ
~アリア・ヘルエスタの視点~
フォニ「アリア…聞いてもいい?」
「ん~ どうしたの?」
フォニ「アリア…第7試合の最後に使った魔法…覚えている? アリアが普段吸血した状態で戦っていないことは知っているけど…アリアがあの魔法を使って戦っている姿はもちろん、練習している姿も見たことなかったから、いつから使えるようになったのか気になって…」
「ん~ それがね…私が使うのは今回が初めてなんだよね…」
フォニ「は、初めて? 本当に? 見てて初めてだとは思えなかったけど…」
「あの時は体が勝手に…としか言えないかな? 今、吸血してもあの魔法を使える気がしないんだよね。 フォニも知ってるでしょ? 私が吸血して得られる恩恵は確かにあるけどそれは微々たるもの、それでもってあそこまで長い間戦ってられないって事。」
フォニ「なら…どうして第7試合は…」
「多分、これのおかげ」
フォニ「?? 何これ? 砂?」
「これは元々白い球で私の握りこぶしサイズだったの。 フォニは見えなかったと思うけど、第7試合に行くとき、イブちゃんが私に近寄ってきたときあるでしょ? その時、お守りとして私にくれた物なんだけど、その時私は効果を聞きそびれたのよね… 普段との違いはこのお守りぐらいしか考えられないんだよね。医務室のベッドから起きたとき、今の粒子状になってたから何らかの影響はあったと思う」
フォニ「イブちゃんは、イブちゃん自身のMPを注いだだけって言っていたけだから…イブちゃん本人ももしかしたら自覚ないのかも。
でも、アリアの言うことが正しいなら、あの魔法を使えるのがイブちゃんってことにならない?」
「…そうかもね。 でも、イブちゃんならあの魔法くらい簡単に使って見せると思うのは、私だけ?」
フォニ「フフッ 私もそう思う。」
???「アリア嬢にフォニ嬢…私のお見舞いに来てくれたのかい? その心遣いには感心するが、お見舞いの必要はない。アリア嬢につけられた怪我など既に完治している。」
「貴方は…レジェロ! 何の用よ!! また私の魔法を食らいたいわけ?!今度は怪我程度で済まさないんだからね!」
急に現れるじゃない…何の用よ…
レジェロ「用があるのはアリア嬢ではないよ。君は少し静かにしていてくれ。用があるのはフォニ嬢にだよ。 改まって言うことではないかも知れないが、第4試合…急にゲームを持ちかけてすまなかった…私はただこのイベントを盛り上げたい一心でこのイベントを主催し運営していたということは、わかってほしい。 それだけだ。
風の噂で聞いたのだが、2人は一時的にここから離れるのだろ?新しい生活は身体的にも精神的にも大変なことがある。それ以外にも嫌になることは沢山あるはずだ、私は教育方針が私好みではなく1年でここに帰ってきたが、2人はそうならないよう願っているよ。 これは私なりの意思表示だ、受け取ってくれ少しは生活の足しになるだろう。 近い将来、君たち2人が更に実力をつけた状態で再戦できることを心待ちにしているよ。」
「……… 怪しい… 貴方…どうして私たちに急に優しくするのよ! 怪しいわよ!」
フォニ「何か…企んでいる気がする」
レジェロ「はあ~ 私の印象は地の底まで落ちているという事でしょうか…
盛り上げなければいけない会場も観客もいない今、義理の妹達に嫌がらせをするほど性根は腐っていませんよ。
一言いいかい? 今だから言わせてもらうが、君たち2人はずっと一緒にいて私と話す機会がなかったではないか! それに…去年のイベントでプライベートで話す時間を私が、わざわざ時間を設けたにもかかわらず、私を待たず帰っていった君たち2人に私という人物の印象を決める権利はない! あってはいけない!! 私は今から会場の片づけに行くが切りのいいところで終わらせ戻ってくる。今年こそはお見送りさせてもらいますからね。」
「行ってしまった… なんかプライベートだとレジェロの奴、情緒不安定なんだね。」
フォニ「私は何を…考えているかわからない、いつもよりは…こっちの方がいいかな。 見送り待つ?」
「お金までもらえて感謝はするけど…胡散臭いから待たずに帰ろうかな」
フォニ「…そう言うと思った」
~イブの視点~
お母さん「そろそろこの屋敷とさよならする時間だけど、大丈夫? アリアお姉ちゃんとフォニお姉ちゃんを待つ?」
「大丈夫 また、いつか会えるから。 お母さん!私の体預けても良い? やりたいことがあるの」
お母さん「?? 来たときみたいに、抱っこして運べばいいのよね? それくらいはできるけど、やりたいことって? イ、イブちゃん? あら…寝ちゃったわね。 やりたいことって何だったのかしら?」
〜現実〜
う…体がい、痛い… 当たり前か… 現実の私は丸二日横になって寝ていたのだから。
今回、一度現実に戻ったのには訳がある。 家族の…お母さんの温かさにあてられ、私の中で長らく忘れられた感情が再びこの『NLDW』のおかげで思い出すことが出来た。
「またいつ休みが取れるか分からないから、いつもより早い時期になってしまったけど、このくらいなら誤差の範囲だよね。お母さん…嫌ママも許してくれるよ。 この世界の唯一無二のママなんだから。」
軽くご飯食べてママに会いに行こうと思ったけど…体が重い…現実の体は寝ていても、脳は休まってないよね。 二日間脳を使い続けるのは私でも限界みたい…
ということで、外も暗いので…寝ます! おやすみ~
~数時間後~
…長年の生活週間というものは恐ろしいものだ、時計を見ると…AM5:00、今日もまだ連休は続いているというのに、仕事に行く日と同じ時間に起きてしまった。 休みなしで約48時間脳を使い続けることは、普通に生活している人にはできる行為ではないと思う。
では何故私は数時間の睡眠で目が覚めたのか。いや、覚めてしまったのか。
誇りたくはないが、単純なことだ… 私は普段から24時間労働を当たり前にこなす日々を送っていたのだからVR内とは言え、寝て遊んでまた寝て特訓をする。こんな自分のやりたいことをやりたいだけこなし、疲れたら寝る生活を何日続けても… 日々の重労働に耐えている私には、疲労がたまらなかったというわけだ。
「こんな時にいきてくるとは…人生わからないものだね。」
早速、身支度を整えママ会いに行こう。 電車で2時間程の距離とはいへ、ゆっくりしていると電車が混み気分が良くないからね。
駅までの距離は、近いので歩いて向かう。 何人かの人とすれ違うことはあったが、普段の出勤中より少なく感じられた。
「……静かだね。 何でだろ? ……もしかして?今日、祝日?? 」
今までの私の生活と無縁だったもの…それは祝日だ。
出社し、仕事をこなす。次々と増やされる仕事を黙々とこなし終わらせることができると帰っても良い…終わらせることができれば帰ってもいいのだが、到底1日、2日かけて終わる量では無い仕事量を押し付けられる。 それにより、私にも本来あるはずの祝日をかけて仕事をこなしていたのだ。
「断ったり、他の人に助けてもらえないのかと思っただろう? 私もできたらそうやって仕事をこなしたい…が!!が!!それができない!! 何故って?!! 私の口からは、説明したくはないが…もう気がついているだろう?…私が変に生真面目でコミュ症だからだ!!」
ただ話しかけることや日常会話を少しするくらいなら職場でもできる!…はず。 しかし、人に、仕事を頼むことと、日常会話では話が違う。他の人も沢山の仕事を抱え仕事をしている所に、私が「先輩! この仕事お願いします!」なって気遣いの『き』の字も無いこと言える訳が無いでしょ! 周りを見てみろ!どれだけ自己中なんだよお前は!って思っちゃうよね。
「ん? 私が言われたら? まぁ〜私が言われたら怒るよね!もちろん! そんな生意気なことを言ってくるような奴がいるなら〜私の右ストレートが炸裂することになるかな。現実では鍛えてないから全く力は無いけど」
…まぁ、怒ることができたらこんなに仕事を抱えて残業することにはなってないんでしょうけどね…私の意気地なし…右ストレートは出来ないにしても…断りぐらいは頑張れって思っているんだけどね…なかなか難しい。
「自分がされて嫌なことは他人にしないこと」ママがよく私に言い聞かせていた言葉だ。私は、この言葉は好きだ。けれど世間は真面目な者か損をする世界だ…と私は思う。
私とは違い、他の人に声をかけ仕事を頼みすぐに帰って行く人も中には数人いる。恐らく、そんなことが出来るのはかなりの自己中心的な思考を持っているのだろう。羨ましいね〜 他人を気遣うことなく定時退社出来るのは、本当に羨ましい。
でも、そんな教育方針で私を育てたママを恨んでいるわけではないよ。 女手一つでここまで育ててくれたママを恨むなんてことはしない。
「確か…言ってなかったよね。 現実のお父さんも私の物心がつく前にこの世を去っているんだ。」
だから、私はお父さんの存在は写真でしか見たことがない。
現実のお父さんも、『NLDW』の世界のお父さんとも会えずいなくなってしまっている。リリスお母さんは前王(お父さん)のことは嫌っていたみたいだけど、ママはお父さんのことをどう思っていたのかな…結局ママからお父さんの話を余り聞かずお母さんも…
車掌「まもなく、〇〇駅に到着します。お降りの際はお忘れ物にご注意ください。」
「もうそんな時間? 2時間ってあっという間だったね。」
電車の時間が早いからか、祝日だからかは分からないけれど、人は少なく余裕を持って座ることができた。 昨今では痴漢や掏摸が多いらしいから、電車の中が空いているのは気楽で助かる。
「う…眩しい…」
ここでは人であり、日光によって弱くなるわけではないのに…私の足は前に進まなかった。 駅から近いところにあるからまだ我慢することが出来るけれど…「イブちゃんの体に慣れすぎちゃった…かな?」 『NLDW』の中なら走れば、音を置き去りにする速さで駆け回ることができ、障害物をないものと扱える翼を持つ体がある…対して現実は仕事用のデスクに向かい合いモニターをにらみ続けるだけで、運動とはかけ離れた生活を送った体。 脳が混乱するのもしょうがないねよね~ そうこうしていると目的地が見えてきた。久しぶりのお母さん…
「ママ…会いに来たよ これお見上げ。 一年ぶりくらいかな? 仕事が忙しくてなかなか会いにこれ無くてごめんね。 最近ようやく長期休暇をもらえたからママに顔見世に来た! 実はもう既に2日間家でやりたいことだけして過ごしてたけど、あることがきっかけでまたママに会いたくなってね。
ん? あることって…何か知りたい? …ちょっと恥ずかしいけど、ママなら笑わずに聞いてくれると思うから話すね。 私の充実した2日間の話…新たな人生を最初から始めた話、それでもって、その人生で私の世話をしてくれているリリスお母さんの話。 多分ママに『VR』の説明をしても理解できると思えないから簡潔に説明すふけど、 とっても現実的な仮想の世界で私がもう一度子供の時から遊べるゲームを丸々二日使って遊んでいたの。そこでのお母さん…リリスお母さんはママと似ていて、私のために怒ってくれくれる優しい人なんだ。お母さんにも紹介したいくらいいい人だよ。
リリスお母さんと過ごしてたら…お母さんと一緒に暮らしてたあの楽しくも温かくもあった日々を思い出して…懐かしくなっちゃって……。 それだけ! こんな恥ずかしいこと直接言わせないでよ!!
私は会いたくなって会いに来たけど、ママも一人娘の顔を一年も見れなかったのだから、寂しい思いをしていたのはわかっているんだからね! そんなことない? え~…私は…私は寂しいよ。
…ねえ… ママ… 声聞かせてよ…昔みたいに笑って見せてよ。 また、会いたいよ… 何で私を置いて先に死んでしまったの… 置いていかないでよ…ママ。
…………… ごめん… お墓の前で泣かれても迷惑だよね。 お母さんの姿は見えないけど…きっと何処かで私のことを見守ってくれているて信じてるから。天国で私のこと見守っていてね。 大好きだよママ」
また泣いてしまった…いつもこうなる。お母さんがいなくなって三年たったというのに…まだ慣れない…何処かでママの死を受け入れてない自分がいる。
ママの死は突然だった。職場に病院から電話がかかってきたとき…最初、病院の先生が何を言っているのか解らなかった。疲労で頭が回っていなかったのか、現実を受け入れたくなくて本能が耳をそむけたのかはわからないけれど、病院で寝かされているママの亡骸を見て感情が崩れた。
ママの負担を少しでも軽くしてあげたくて上京して働き始めたのに…ママにしてあげられた事といえば…働いて得たお金を送っただけで、上京してからというもの忙しく中々帰ることが出来なかった… いや…違うか、今考えると、お母さんに仕事で疲れきった私の姿を見せたくないと言う、変なプライドが帰省を邪魔していたんだと思う。
思い出していたら…また涙が出てきたよ…
「……………また会いたいな。」
????「誰に会いたいって? もしかして私? 亜里沙ももう大人でしょ! 涙なんて似合わないぞ! 電話では時々話すこともあったけど実際会うのは1年ぶりじゃない?」
「み、美波海? どうしてここに?」
美波海「それはこっちの台詞。 私は実家暮らしだからここにいるのは普通でしょ。 こっちに帰ってくるんなら連絡ぐらいしてくれても良くない? 私がたまたま『Uber 〇ats』で昼を済まさず外食の気分だったから家から出てきたけど、もし私と会えずにこののまま帰ってたらナンパ不可避だったよ。ただでさえ可愛い亜里沙が目元を赤くして一人で電車にいるんでしょ?私だったらすぐ襲っちゃいそうなシチュエーションだね。 亜里沙の貞操は私が守る」
「グスンッ… そ、そんな奇跡みたいなことをあるんだね。 ありがとね少し元気出たよ。」
美波海「まぁ~ 長期休みに入ったて聞いてたからねある程度は察しがつくってものよ。 こっちに帰ってきた理由はお母さんのお墓参りでしょ? 亜里沙のことだから長期休みの何処かでお母さんのお墓参りに来ると思ったから、昨日もその前の日もお墓の横を通る道のりで外食行って亜里沙がいるか確認してたただけなんだけどね。 入れ違いにならなくて良かったよ。 ここまでしないと私に何も言わずに帰っちゃうでしょ?」
「あ、相変わらず凄い打算的だね美波海は。 今日仕事とかないの?」
「私…亜里沙に何で収益得ているか話したことあるよね? 私は今も配信活動1本で稼いでいるよ。 ある程度は時間を決めて配信してるけれど、自分の今やりたいコンテンツを好きな時に出来てお金をもらえるって最高じゃない?! 亜里沙も声可愛いから多分すぐ収益化まで行けるって」
「あははぁ… か、考えておくよ。」
配信活動ってだけ言われても、何をしてるか分からないよ…配信者がどういう仕事なのかはわからないけど、自分のしている仕事を好きと、最高と自信を持って言えるのは羨ましいね。
美波海「あのさ、ここで立って話すのも悪くないけど〜 そろそろ昼ご飯の時間が近いじゃない?
一緒にご飯食べに行こ! 今日は、奢るからさ。」
「うん… 美波海、ありがとうね。」
美波海には敵わないよ…美波海はいつもこの明るい笑顔で私を包んでくれる。
美波海「気にしないでいいよ。 悲しい時誰も側にいないのは辛いからね。 私で良いならいつでも側にいてあげるからね。」
お疲れ様様でよ〜
今回の22話は現実のイブちゃんもとい、亜里沙ちゃんのお話でした。
お母さんに恩返しがしたいのに、恩返しを出来る年齢になった時にはもう… そうなる前に、出来る親孝行をししようと書いていて改めて思いましたね〜
皆はどの辺りで、亜里沙ちゃんが実家ではなく、お墓参り行こうとしているのか分かったかな?
所々、不自然な言葉を入れて違和感を感じるかな? と思いながら書いていました。伝わってたなら嬉しい!
読み直してもらってもいいのよ?
次話は、急に出てきた謎の人物「美波海」ちゃんのことを書いた話にする予定。楽しみにしててね。
亜里沙ちゃんには、NLDWの世界を通して自分ができなかったこと、やりたかったことを存分に楽しんでほしいですね。
最後は私の切実なお願い!Twitterやってます。「杯の魔女」です。フォローお願いします。




