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【書籍重版】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第五章

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727.私はあなたの味方よ

 部屋の前には、専属侍女になったばかりのアンネが待っていた。私の顔を見るとほっとした表情で、静かにノックして扉を開ける。どうやら事前に許可を得ていたみたい。


 足を踏み入れた部屋は、柔らかな光に満ちていた。薄絹のカーテンがひらひらと風に踊る。窓辺の椅子にいると思ったのに、ユリアーナはベッドに倒れ込んでいた。怠そうに起き上がり、顔を手で拭う。


「どうしたの? 体調が悪いのかしら。それとも……悲しいことがあった?」


 自分から言い出しやすいよう、話を向ける。ずずっと洟を啜る音が聞こえて、さきほどのローズを思い出した。転んだローズと比べてはいけないけれど、似ているわ。俯いて泣くところもそっくり。


「おねえ、さま……私、ダメかも」


 何がダメなのか、自分で説明してくれるまで待ちましょう。静かに近づき、ベッドの端に腰かけた。何か失敗したのなら、私が取り戻せるかもしれない。誰かと揉めたのなら、解決方法を一緒に考えればいいわ。私によく似た色の金髪をゆっくりと撫でた。


 くるんとカールした髪は一部が丁寧に編みこまれている。アンネは手先が器用みたいね。こうして寝転がるときは危険だから外す髪飾りが、まだ付いていた。部屋の前に立っていたし、気を遣って廊下へ出たのかも。


 何度も撫でていると、ユリアーナがごろりと向きを変えた。こちらに顔が向いたので、ようやく目が合うわ。何も言わない私を見上げ、きゅっと唇を噛む。その仕草で、どうやら悪いことが起きたのだと察した。


「ユリアーナ、私はあなたの味方よ」


 話して頂戴と急かしても、気持ちが追い付かないでしょう。解決してあげるわと安請け合いもできない。あなたが誰かを傷つけて罰を受けるとしても、私は家族を見捨てない。そう表明するだけに留めた。あとはユリアーナ自身が判断することだもの。


「……聞いて」


 黙って頷く。もぞもぞと身を捩って、ユリアーナが身を起こした。乱れてしまった髪を手櫛で直しながら、大きく深呼吸する。しゃくりあげる動きで、震える息を吐きだした。


「わた、し……オイゲンと、もう……ダメかも、しれなくて」


 泣き過ぎて真っ赤になった目元が気になるけれど、タオルを頼むは後にしましょう。いまは話して吐き出すことが優先よ。明日の授業はキャンセルしてもらい、ゆっくり部屋で過ごせばいいわ。


「そう」


「……っ、オイゲン、別の、綺麗な子と……手を繋いでて」


 ヘンリック様を朝、見送るときはユリアーナも一緒だった。そのあと、買い物に出たはずよ。アンネが同行して、騎士も連れていくよう伝えた。街で何か見てしまったのね。一言話すたびに涙の溢れる妹を引き寄せ、強く抱きしめた。

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― 新着の感想 ―
これは、間違いなくオチがある展開ですね。楽しみです。
…今までのオイゲンの言動からして、ユリアーナ以外に心を寄せる令嬢は居ないんじゃないかなと思いますが…(^^) 私的には誤解あるあるが99%の確率です(^^) ユリアーナの話題で盛り上がって笑顔になっ…
えーっと、ユリアーナさんに惚れてて惚れられて仲良しで良好だったオイゲンさんが…マジで!?誤解であってほしい…。不安でドキドキです!
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