表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍重版】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

819/821

707.病は気が弱るの

 実の母親であるユーリア様のほうが、心強いと思うけれど。私でも代理くらいは務まるかしらね。微笑んで用意された椅子に腰かけた。先ほどレオンが座っていたほうよ。


「……あの、レオンが気になる……ので」


「そうね。ラルフの真面目なところ、とても好ましいわ。今は体調が不完全でしょう? そういうときはね、甘えていいのよ」


 すると驚いたように目を見開いたあと、ぷいっと逸らしてしまった。何か悪いこと言ったかしら? しばらく待てば、こちらを向いてくれた。目が潤んでいるのは、見ない振りね。こういう言葉、かけてもらった経験がないのかも。


「バルシュミューデ公爵家では、寝込んだら何を食べるの?」


 とりあえず、どんな看病だったのか探ってみる。直接尋ねたら気にするから、先ほどの朝食の話の延長から入りましょう。


「パンをミルクで煮たのを食べました」


 思い出したのか、少し表情が和らいだ。ぽつりぽつりと語った内容では、母に看病してもらったことは数えるほどらしい。ユーリア様は社交に忙しいから、仕方ないのかもしれない。でも寂しかったんだわ。表情がそう物語っていた。


「今日は一日一緒にいられるわ。どうする? 絵本を読みましょうか、それとも歌?」


「えっと……あの……手を」


 言われるまま手を差し伸べる。恥ずかしそうに、でも指を絡めて握られた。繋いだ右手の上に左手を重ねて包むラルフは、その手を額に当てる。目を閉じてじっとしていた。


「疲れ、るか……な」


 眠りかけているのか、声が途切れる。出そうになった欠伸をかみ殺す仕草に、こちらの頬が緩むわ。壁際に控える侍従がこちらを気にしていた。手伝いが必要か判断しているの? 首を横に振って、今は大丈夫と伝えた。


「平気よ、好きな状態でいいわ。病の時はね、心が弱ってしまうの。元気になればいつも通り、だから今は弱い姿を見せても大丈夫よ」


 こくんと頷いたラルフはそのまま眠ってしまった。自分の手で私の手を引き寄せて、すやすやと寝息が聞こえる。空いている右手で横から額に触れ、熱を測った。結構温かいわね。


「冷たいお水とタオルをお願い」


 無言で一礼する侍従が扉の外へ注文を伝える。準備されたタオルを受け取って戻った彼に、濡らして絞るようお願いした。ひんやりとしたタオルを、首筋に当てる。気持ちいいのか、すり寄る仕草を見せた。猫みたいだわ……あ!


「猫の世話、私の当番を変更しなきゃ!」


 先日もトイレ当番をすっ飛ばしたばかりで、今日はお掃除だったわ。私の声に侍従がくすっと笑った。立ち上がって扉の向こうへ消えたけれど、すぐに戻ってくる。どうやら誰かに伝言してくれたみたい。助かったわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
アマーリアさんはラルフさんにとって、第二のお母様!なんて勝手に想像してみたりw 猫ちゃんのお世話は、色々落ち着いてからですね!ラルフさん、速く良くなると良いですね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ