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【書籍重版】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第五章

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670.焼き菓子作りは粉まみれ

 お裾分けは、使用人達がもらったみたい。美味しかったと料理長に太鼓判を押され、それなら仕方ないわねと笑った。私達は頂き物を食べることもあるし、お茶会を開いて甘いものを食べる場面も多い。でも使用人は甘味を口にするチャンスは少ないの。


 あとでユリアーナを褒めてあげないと。


「では、始めましょう」


 多く作って、使用人達に食後のデザートにしてもらってもいいわね。丁寧に混ぜ、泡立ては料理人の手を借りる。空気を含んだメレンゲは、あっという間に出来上がった。やはりプロは手際がいいわね。


 レオンとローズが二人で、ぽかんと口を開けて泡立てを見ていた。珍しい光景だから、気になるのね。見やすい位置に移動させたいけれど、動かすとイヤイヤが始まりそう。苦笑いしてそのまま見守った。何回か作ったことがあるから、ラルフは手順を考えて動き出す。


 大理石の天板の上へ粉を振るい、タネがくっつかないよう準備していた。小麦粉を入れたボウルが運ばれ、泡立てたメレンゲを混ぜて……。


「こっちはケーキよ」


 シフォンケーキなの。溶かしたバターを入れた焼き菓子はあとね。シフォンケーキ用の焼き型がなくて、丸い焼き型に入れる。小ぶりで手のひらくらいの大きさの焼き型よ。一人分には大きいけれど、子供達が割って食べるにはちょうどいい。中央に穴の開いた焼き型、提案してみようかしら。


 もちろんテフロン加工なんてないから、シフォンケーキにぴったりよ。メレンゲに粉を振ったタネを流し込み、オーブンへ。ケーキを焼く間に、型抜きをしなくちゃ!


 溶かしバターに砂糖、小麦粉、少しのココア。このココアが物凄く高かった。貴族でもなければ手に入らないでしょう。個人的にはアイスボックスクッキーが作りたいけれど、冷凍庫がない。大きな氷は季節限定だから、作るなら来年ね。


「さあ、ローズの出番よ」


 声をかけて台に立たせる。その間も、ローズは洗った手を上に挙げていた。これはレオンも同じなの。まるで手術前の執刀医みたい。この前世の例え、誰かと共有出来たら楽しいでしょうね。ふふっと笑いが漏れた。


「これを混ぜて頂戴。手につくけれど、負けたらだめよ」


「あい!」


 ローズはいいお返事をして、捏ね始める。混ぜるというより、パンの生地を練る感じの動きだった。さくっとした感じに作る分は、ラルフに任せた。レオンと上手に分担して仕上げている。任せて大丈夫そうね。こちらはしっとり系だから、ナッツを砕いて混ぜるの。


 ローズにも作りやすいよう、型抜きではなくスプーンで丸める。途中でくしゃみをしそうになったローズが、横を向いた。中にくしゃみをしないのは偉いけれど、ボウルが手について行って落ちそう!


 慌てて手を伸ばして受け止めたら、台の上の小麦粉が舞い上がった。やだわ、白髪みたいになっちゃう。

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