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【書籍重版】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第五章

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658.お兄ちゃんでも我慢させない

 寝るときに動けないと、こんなにあちこち痛いのね。目が覚めて苦笑いした。体をほぐすために伸びたら、ぼきっと変な音がする。睡眠時の寝返りは大事だわ。


 ちょっと寝過ごしたようで、外の日差しは傾き始めていた。ヘンリック様が帰って来るまでまだ余裕がある。どうしようかしら?


「お母様……」


 レオンの呼び声に振り返った。やっぱり顎が少し赤いわね。歯は無事だったし、切ってもいないけれど……痛むでしょう。眉尻を下げて抱き寄せた。ずずっと洟を啜ったレオンが抱き着き、目の覚めたローズが「あたちも」と手を伸ばす。


 勢いよく飛びつこうとしたので、手で押し留めた。と同時に、ラルフも動いていた。間に割り込む形で寝転がる。咄嗟の動きにしても、驚いたわ。運動神経がいいのね。


「ありがとう、ラルフ」


「やぁ!」


 体を揺すって不満だと訴えるローズの目を覗き込む。ぴたりと動きが止んだ。抱きしめたレオンの黒髪を撫でながら、言い聞かせる。


「ローズ、先にお兄ちゃんにごめんなさいして。痛かったのよ」


「……う……」


 嫌だと叫びそうになったローズは、唇を尖らせた。自分が悪いとわかっている。痛かったのも覚えていた。でも素直に「ごめんなさい」が出てこない。あたしだって痛かったと思っているのでしょう?


「お兄ちゃんがローズに同じことをした? 頭がぶつかったのはわざとじゃないと知っているわ。でも謝らない理由にならないの。痛かったレオンに謝れる?」


「……うわぁあああ」


 泣いて誤魔化す気はないみたい。でも頭の中がいっぱいになったのね。腕の中のレオンが「僕、いいよ」と言うけれど、そうはいかないの。


「レオン、ここで許したらローズはダメな子になっちゃうわ。謝れない子はお友達も出来ないの」


 ちらっとラルフを見て、私を見て、レオンは小さく頷いた。妹を泣かせるなら、お兄ちゃんだから我慢する。その考えは危険だわ。レオンはいい子すぎて、全部我慢しそうなんだもの。その結果、将来困るのはローズ自身よ。


「ローズ、悪いと思っている?」


 泣き続けるローズがしゃくり上げながら、こくんと首を縦に振る。


「ごめん……でいいわ。頑張れるかしら?」


「ごめ、ちゃいっ」


 泣いている間に落ち着いてきたのね。レオンに嫌われたくないローズは、ちゃんと謝れた。


「いいよ」


 レオンが許したので、手を差し伸べる。ラルフが驚いてローズを凝視していた。あの嫌々状態から、まさかの謝罪ですもの。私もこんなに早く謝れると思わなくて、驚いたくらいよ。子供は親が思うよりずっと、日々成長しているのね。

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3人ともいい子達やな
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