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【書籍重版】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第五章

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659.どんな夢でも挑戦したらいいわ

 出迎えに行って、玄関ホールでローズとレオンを交互に撫でたヘンリック様が異変に気付いた。私を見るから頷く。あとで話すわね。頷き返したヘンリック様は、そのまま一歩前へ出て、姿勢よく立つラルフの頭も撫でた。


「あの……俺は」


「家族が出迎えに出たのに、忘れたりしないぞ」


 にやりと笑ったヘンリック様へ、ユリアーナが呟いた。


「私は淑女なので、頭を撫でるのはご遠慮いただきたいわ」


「もちろんだ。レディ・ユリアーナ」


 屈んで手を差し伸べ、ユリアーナの手に唇を触れさせるフリで離れる。嬉しそうなユリアーナの隣で、ラルフは撫でられた頭に触れた。髪を直すのかと思ったら、そのままじっとしている。もしかして、バルシュミューデ公爵は撫でなかったのかしら?


 思い浮かべて、そうかも……と納得する。貴族家で頭に触れたり抱き上げたりなんて、滅多に聞かないわ。きっと私がやるからヘンリック様も真似をする。レオンが嬉しそうだから、ラルフにも……と考えたのでしょうね。


 間違っていないし、本人も嫌なら断るでしょう。ユリアーナのように代案を出すのも手だわ。ラルフだってまだ子供なのだから、甘えていいのよ。


 食事の間に、今日のお昼寝部屋で起きた事故を説明した。悪気はなかったけれど、ぶつかったローズはちゃんと謝れた。痛い思いをしたレオンも納得して許す。その話に加えて、二度目の衝突未遂はラルフが助けてくれたのと微笑んだ。


 本人は照れて恐縮するけれど、凄いことよ。運動神経もよさそう。


「剣術も習っていいですか?」


 側近候補としてきたから、勝手に習い事は出来ないと思ったの? 驚いて「いいわよ」と許可を出した。以前、ユリアンが習っていた騎士にお願いするといいわ。食事の間に、過去の鍛錬を思い出したレオンが「僕も、たんれん」と手を挙げた。


「あたちも」


「ローズは……どうしようかしら」


 すぐに「ダメね」と遮断したくない。跡取りでもないし、嫁ぐ相手によっては剣術が必要かもしれないわ。たとえば騎士団長のお嫁さんとか……。いえ、別に騎士団長の奥様が戦えなくても問題ないけれど。女性騎士を目指したいなら構わない。


 どんな夢でも、一度チャレンジしてみたらいいわ。向いていない、もうダメと思ったら立ち止まるの。何が向いているかなんて、本人も周囲も分かっていない。


「んっと、走るのから」


 レオンが必死に考えて、妥協案を見つけてくれた。走って体力を付けろとユリアンが教えたのね。確かに棒を持って走っていたわ。危ないから、別の何かを持たせるのもありね。


「……ローズはお姫様なのだから、戦えなくていい」


 ぼそっと呟いた父親の意見は、なぜか子供達に黙殺されてしまった。

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