48-2.(ルイーゼ)家族でお庭ご飯するの
あたしのお世話をするカーヤが、身支度を整える。髪を梳かして結んでもらった。ドレスは可愛いピンクで、ひらひらした飾りがいっぱい。今日は誰か来るのかも。
普段はひらひらが少ない服を着ているの。遊ぶのに邪魔だし、お母様やおばあ様もひらひらがあまりないわ。レオンのお母様も同じね。でもユリアーナが王城へ遊びに来るとき、ひらひらだった。だからひらひらはお出かけ用なの。
「姫様、王太后陛下がお待ちです」
おーたいごへぇかは、お母様のことよ。あたしは”ちゅくじょ”だから、わかるけど。カーヤと手を繋いで廊下を歩いた。途中で侍女の人が頭を下げる。仲良しの侍女はちょっとだけ手を振ってくれた。あたしは頭を下げてもらうより、手を振るほうが好きよ。
お母様のお部屋は少し離れている。カーヤが声を掛けると、扉が中から開いた。おばあ様だわ!
「おはぉ、おばぁちゃ、ま」
ぎゅっとすれば、抱き上げられた。頬を摺り寄せて、おはようをもう一回する。扉を閉めたカーヤが「赤ちゃんみたいですよ」と笑った。あたしは「いぃの!」と返す。だって、おばあ様は特別なんだから!
「今日は仕事がないのよ。だからご飯を作りましょう。カールハインツやローレンツを誘って、庭で食べたら美味しいわ」
アマーリア夫人がよく家族で庭へ出ると聞いたわ、そう付け加えたお母様は嬉しそう。いつもレオンのお母様の話をする。大好きな人なのかも。あたしもレオンのお母様は好きよ。大好きなレオンの好きな人だし、とても優しい。
お昼まで時間があるので、厨房へいく。ここはご飯を作る人がたくさんいた。いつもありがとう、と伝えてから場所を借りる。ひらひらの袖はリボンで縛って、胸のところに布を巻いた。これで準備できた! 手も洗ったのよ?
パンを切って、間にいっぱい入れるだけ。ハムも卵も、ご飯を作る人が用意してくれた。千切った葉っぱも入れる。ときどき苦いのもあるけど、あたしは葉っぱも食べられるわ。だって”ちゅくじょ”は好き嫌いしないから、あたしも頑張れる。
「たくさん入れると食べた時に出ちゃうわよ」
「このくらいになさっては? ルイーゼ様」
卵を入れるあたしの手を、お母様が止める。おばあ様はいつもあたしを「ルイーゼ様」って言う。なんだか、侍女の人みたいで嫌だった。もし嫌だと言ったら、おばあ様はやめてくれるかな。ドキドキしながら伝えてみた。
「あんね、るい、ぜ、にちて」
ルイーゼだけにして。胸を張って宣言したら、おばあ様はとても喜んだ。泣くくらい嬉しいと抱きしめられた。あたしはちゃんと抱っこで受け止めたわよ? ぽんぽんしたら、背中に届かなかった……手についた汁やバターがついちゃったわ。ちょっとだけだからいいよね。
「さあ、仕上げてしまいましょう。お母様もルイーゼも、急いで手伝って頂戴。お腹を空かせた育ち盛りが二人も待ってるんだもの」
お兄様達、そだちざ、かり? になるのね。あたしが”ちゅくじょ”になるのと同じかしら?
大急ぎでパンにハムを入れて、おばあ様が手直しする。綺麗になったわ。おぉ兄様もちぃ兄様も、あたしが作ったパンを食べて元気にしちゃう! 早くいこう!!




