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【2巻発売9/2】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)年末年始も新刊!
第五章

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909.お兄ちゃんは泣いてない!

 私の白いブラウスが地味過ぎると言われ、小さな花が舞うクリーム色に変更された。金髪と色が近いから、とユリアーナが紺色のショールを持ってきた。レース仕立てで、下のブラウスがしっかり透ける。お陰で上に紺色を配しても重さを感じなかった。


「ありがとう。これで揃ったわね」


 微笑んだところに、ドアがいきなり開く。が、慌ててノックが付け足された。顔を向ければ、泣き出しそうなレオンが覗いている。中をぐるりと見まわして、泣きながら走ってきた。


「おかあしゃ……いなっぃ……うわああ!」


 掃除が終わって、褒めてもらおうと思ったら私がいなかった。そんな感じかしら? 悪いことをしちゃったわ。この部屋にいると説明しておいたら良かった。苦笑いするユリアンがノックの主みたいだけど、あちこち探し回ったのかもしれない。


 私のスカートにぼふんと音をさせて飛びつき、顔を埋めて大泣きする。まだまだ子どもなのだと感じて、嬉しくなった。最近は自分であれこれしたくて、手を離して飛んで行ってしまう。鍛錬も掃除も、興味の幅が広がって母親の手を離す時間が長かった。


 でも、どこまで走っても泣きながら戻ってくる。愛し、愛され、本当の親子になった証よね。泣かせて安心するなんて、私は酷い母親だわ。


 ぐりぐりと頭を動かして、まるでスカートに潜り込もうとするようなレオンを抱きしめたい。そのために一度引き離すのも可哀想。困ったわね、そう思ったところに……思わぬ人物が声を上げた。


「にぃに、どちた?」


 びくっとしたレオンがスカートを掴んだまま、ちらりと振り返る。そうだわ、ドレスの森に飛び込んだローズを忘れていた。あの子、ずっと奥まで探検していたから見えなかったのよ。ローズがいないと思って、大泣きしながら飛びついたはずのレオンは固まった。


 お兄ちゃんらしくカッコいいところを見せたい。泣いているのはカッコ悪いけれど、今は泣き止むのも無理。そんな心境が、レオンの様子から窺えた。だったら、こうしましょうね。


「レオン、お母様を抱っこして頂戴」


 言われるまま、ぎゅっと両手でしがみつく。顔を隠せるし、なんとか前屈みになった私が背中へ手を回して引き寄せた。


「ローズ、レオンは抱っこに忙しいのよ」


「ふーん」


 わかったような、わかっていないような。微妙な返事をしたローズは、またドレスの中へ飛び込んだ。鮮やかな布がたくさんあり、前が見えないのも楽しいみたい。誤魔化せたわね。そっとレオンの背を叩いて、私が抱っこし直した。


 うん、だいぶ重くなったわ。大きくなってくれたことに、お礼を言わせてね。ありがとう、レオン。

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― 新着の感想 ―
しっかりしてきた子供が、まだ子供でつい安心しちゃうのは、きっと母親あるあるですよ!多分だけど。その時が来たらしっかり子離れ親離れ出来るだろうから問題なし!でも、うっかりローズちゃんに恥ずかしいとこ見せ…
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