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バカと天才は"神"一重  作者: 抹茶
入学編
54/88

第46話



 弾き飛ばされた俺は空中にいる。それに加え無防備。

 ベルゴールがそれを逃すはずがない。


「くらえ!」


 真上から大男の大剣を振り下ろす。

 真上からなら、真剣白刃取りで……。


「って出来るかぁぁぁ!」


 セルフボケとツッコミを虚しく決めながらも、俺は退避の方法を考える。


 いや、どーやっても無理だろこれ。

 しゃーねぇ。


 俺は袖口から新たに札を取り出し、大男の剣に向かって放る。


「爆ぜろ」


 投げた魔符は大剣に触れた瞬間に小規模の爆発を起こす。

 起爆符ってやつだ。


「ぐ……」


 至近距離からの爆発なので俺も食らうことになるが、背に腹は変えられないわけで、その衝撃を利用して俺は何とか大剣からの攻撃を逃れた。


「がっ!」


 地面に強く体を打ち付けるも、すぐに体を起こしてベルゴールを視界にいれる。


 追撃されたらかなわねえからな。

 奴は既に次の攻撃体勢に入っていた。

 大剣を切っ先を俺に向けて笑っている。


「よけることをオススメするよ。【スーパーゴールデンソード】」


 そう言うと黄金の剣が何本も俺に飛んでくる。


 大男サイズの剣が。

 これはデカイな。


 いや、というかそれよりも……


「名前だせぇよっ!!」


 何回つっこんだだろうか?

 技自体は多分強いんだが、いかんせん名前がダサい。


 はっ!

 これは名前がダサいからって油断させる作戦か。


 ベルゴール、お前はただのナルシストじゃないんだな……。


「ってんなわけあるかぁぁぁぁぁぁ!!」


 そんなことしてる間に俺の身の丈くらいの剣が何本も……、食らったら確実に死にますね。


「しゃらくせぇっ!!」


 俺は剣の僅かな隙間をぬってギリギリのところでかわしていく。


「なっ!?」


 ベルゴールは目を見開く。


 ふふ……、驚いたみたいだな。

 だが、遅いぜ!


 剣を全てよけきった俺は完璧に奴の間合いに入った。

 ベルゴールは慌てて剣を構え直そうとするが、明らかに俺の方が早い。


「だっしゃぁぁぁ!」

「しまった!」


 慌てるベルゴールをよそに思い切り奴の脇腹に蹴りをいれた。


「なんてね」

「ぐっ……」


 ベルゴールがニヤリ……と笑った瞬間に俺の足に痛みがはしる。


 かってぇ!

 なんて硬い甲冑だよこれ。


「体術には少しばかり自信があるようだけど、その程度じゃ僕の鎧は砕けないよ」


 誇らしげに笑うベルゴール。

 迂闊だった。


 魔力で出来ていても何とかなると思ってたぜ。

 それにあいつを吹っ飛ばすくらいは出来るかと思ったんだが、ビクともしねぇ。


「ならその空いてる顔面もらうぜ!」


 甲冑の構造上、顔はある程度空いているためそこに蹴りを叩き込む。

 が、奴は持っていた盾でそれを防いだ。


「そうくるのは予想済みさ」

「ですよね」


 皮肉たっぷりに同意してみる。


「さて、今度は僕の番だ」


 ベルゴールそう言うと、奴の持っていた盾が輝き出す。

 やば……。


「吹き飛びなよ」


 ゼロ距離なのでよける暇なんてない。

 そこに奴の盾から黄金の光が放たれた。


「うわぁぁぁぁぁ!!」


 それをまともに食らった俺は文字通り吹っ飛び、コロシアムの壁に叩きつけられた。


「ぐっ……」


 勢いよく壁に打ち付けられたので、まともに声を出すこともできない。


 俺はゆっくりと地面に倒れた。


「フッ…この僕に勝てるわけないじゃないか。まぁ、よくやった方だけどね」


 どこか遠くから奴の嫌味が聞こえてくる。

 しかし俺はそれを何を思うこともなく仰向けに倒れている。

 俺の視界に入ってくるのは雲一つない青空。

 あぁ、こんな綺麗な青空を見ながら終わるってのも悪くない。


「おい、リオード!! 何寝てんだよ!! 立ち上がれよ!!!」


 どこからかシンの声が聞こえてくる。

 いつもいつも元気な奴だ。

 いい意味でウザい奴だよな。ベルゴールとは全然違う。


「リオードくんっ!!」


 これはテトラか……。

 マイペースだけど、とても優しくてみんなの事を考えてくれるよな。


 俺の耳には聞こえてこないけど、多分グランも何か言ってるんだろうか。

 そして、リリーも。


 あいつは普段から無口だから声は出してないだろうが、あんだけ大口叩いた俺の事をどう思ってるんだろうか。


 たった一ヶ月だけど、この4人とクラスメートになれて本当に良かったと思えるぜ。


 おっと、誰かが俺に近づいてくる足音が聞こえる。

 多分審判担当の先生だろうな。


 恐らくこの後コールするんだろう……俺の負けを……。


『兄さん……?』




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