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バカと天才は"神"一重  作者: 抹茶
入学編
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第3話 



 その後は特に他愛のない話しをしながら2人は歩き続け、新たな学舎であるミストレア学園に到着した。


「やっぱりデケェよな」

「はい」


 見た目と広さは貴族の豪邸並、築数百年の歴史を重ねているようには全く見えない新しい校舎の前で2人は小さく呟いた。


「8時か……。確か8時半に第1講堂に行けば良かったよな?」


 バンドツールの時計を確認しながらリオードはフィルに問いかける。

 ちなみにバンドツールには多種多様な機能が搭載されているのだが、その中でも重宝すべき機能は、タッチ1つでできる服飾物質変換。

 服飾物質交換とは、登録されている衣服から好みのものを選択し、現在身に着けている服を分解し、別の服に変換するというシステム。これは魔術の進化というよりは科学の進化の賜物だ。


「そうですね。私はその前に生徒会室に行かねばなりませんが」


 フィルはそう答えてブレザーの内ポケットから封筒を取り出した。


「新入生代表で挨拶か……。本当鼻が高いぜ」


 爽やかな笑顔を浮かべその封筒を見るリオード。


「鼻が高いだなんてそんな……」


 リオードの言葉に顔を赤らめ、頬に手をやるフィル。

 その雰囲気は兄妹とは思えぬ程であったがそこは深く考えるべきでは無いのだろう。


「んじゃまあお前は生徒会室に行ってこい。俺はちょっと散歩でもしてくるわ」

「あ、兄さん」


 リオードはフィルの肩を叩いてその場を去ろうとするがそれをフィルが呼び止める。


「兄さん、散歩されるのは構いませんが余り遠くへ行ってはダメですよ? それと他の人にご迷惑をかけてもいけません」

「ふ、フィルさん?」

「それから大人の言うことをちゃんと聞いて道端に落ちているのを食べてもいけません。お腹を壊してしまいますから」


(おいおい、お前は俺のことを一体何だと……。確かに拾い食いとかはたまにするけど……)


 まるで母親のように自分を諭すフィルに対しリオードは心の中でため息をついていた。


「わかりました?」

「お、おう!」


 再度目線を合わせられたためリオードは慌てて返事をした。


「ならいいです。それでは私は生徒会室に行って参ります」


 フィルはそう言って持っていた封筒を仕舞い、丁寧な動作で軽く頭を下げリオードに背を向けて歩き始めた。

 しかし数歩歩いたところで立ち止まると、顔だけ振り向きリオードを見た。


「入学式での私の挨拶。ちゃんとお聞きになってくださいね?」


 誇張表現かもしれないが、そう言ったフィルの笑みはまるで天使のようであった。

 その顔を見たリオードもまた同じことを感じ取ったのか無言で微笑んだ。

 そしてフィルが満足し去っていくのを確認したリオードは、自身のためその場からゆっくりと離れて行った。


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