脱退した
本日より新連載 開始!
連載中で更新止まってる作品もあるのに新作って...
まぁ適当に緩く書いていきます
俺の名前はイフルール・エヴァン今年で22歳になる冒険者だ。15歳で成人してから冒険者として活動し始め早7年。今は【戦撃の妖精】というパーティの一員として日々精進し、精力的に活動している。
そんな俺にはある悩みがあった。
「ふぅ〜。.....よし、.....ただいま....」
ギルドへの報告が終わり【戦撃の妖精】で借りているパーティハウスに帰って来た俺は気持ちを切替える為、一息し呼吸を整えてから扉を開ける。
「ちょっとイフルール!!遅いじゃない何してたのよ!いつもの報告でしょ!?何でこんなに時間がかかる訳?意味わかんない!ほんっとに愚図なんだから!!」
帰ってきた仲間を労う訳もなく金切り声で一方的に怒鳴りつける赤髪ボブヘアーの拳闘士『ルルレット・スカーフィー』
「ほんと、私もお腹空いたんだけど?役立つのお荷物をパーティに置いてやってるだけでも有難いと思って欲しいのに雑用さえままならないのかしら?」
黒みがかった青い長髪を靡かせ汚物を見る様な視線を向けながら嫌味ったらしくネチネチと口撃してくる魔法使い『ティルベーア・クラウン』
「.....2人共そこまでにしないか、イフルールとて好きで遅くなった訳ではあるまい。何かそれ相応の深い訳がある筈だ。この私達を待たせるそれ相応の...な。そうだろ?イフルール?」
有無を言わせない威圧感を放ち獲物を狙う狩人の如く鋭い視線を向ける騎士風な装いの茶髪ロングヘア、剣士兼リーダーの『パウル・ホワイト』
「いや、ギルドが混みあってて。それにシャリスにいろい────」
言葉を続けようとした瞬間、威圧は更に重く深く乗し掛かってくる。パウルだけでなくルルレットとティルベーアの2人も同様に怒りを顕にさせ空気は更に最悪となっていく。
そう、俺の悩みとは
「.......ごめん皆、次から気を付けるよ。取り敢えず食事の準備を────」
「何が「ごめん、次から気を付ける」よっ!毎回毎回おんなじ言葉で逃げて、そんなんで私達が納得すると思ってるわけ?昨日も一昨日もその前も!ずっと同じ言い訳じゃない!ゴブリンの方がまだマシな会話が出来るんじゃない?」
「呆れた....どうせシャリスに鼻の下でも伸ばしてたんでしょ?気持ち悪い、ほんとうに...気持ち悪いわ」
「イフルール、君の勝手な理由で私達の時間を奪って良いと、そう思ってるのか?」
「いや!そんなこと!────」
「口答え.....。全く、学ばないな君は。イフルール、1週間食事抜きだ。いいね?」
「なっ!.......分かった。兎に角、皆の食事の準備をするよ」
俺の悩みとは、正しくコレである。
普段は皆な人当たりも良く子供から大人、赤子から老人にまで分け隔てなく接し困っている人が居たら助ける冒険者の鏡。
だが一方で嫌いな人間に対しては何処までも冷たく接し興味も示さない。
つまり俺は、パーティメンバー全員に嫌われている様なのだ。
因みにこの当たりの強さは今に始まった事ではない。パーティに加入してから今に至るまでの約2年間、毎日毎日こんな感じである。
「はぁぁぁ〜〜〜〜〜〜」
皆には聞こえない厨房の中で深い溜息を漏らす。食事を作りながら自分の1週間を考える。因みに食事抜きも今に始まった事ではない。
こんな環境でも俺にとって【戦撃の妖精】というパーティは恩人であり救いなのだ。
20歳の時、Cランクで行き詰まっていた俺をパーティに誘ってくれ、俺はそこから2年でAランク冒険者になる事ができた。
冒険者を目指す人間なら誰もが目指し憧れるAランク。至る事が出来たのは確実に彼女達の、引いては【戦撃の妖精】のお陰なのだ。
しかし、俺はとある事に気が付いた。
「そもそも嫌いな奴とクエストだけじゃなく家まで一緒なんだもんな、そんなの鬱陶しいに決まってるよな.....」
何故この結論が出なかったのか。気が付いてしまえば今までの言動も全て納得いく。3人は俺にパーティを抜けて欲しかったのだ。
「.....なんだか、3人には申し訳なくなってきたな。逆によくここまで我慢できたというか...なんというか....」
よし、そうなれば話は早い。今作ってる料理を最後の御礼として全力で振る舞おう。今までお世話になった分を考えたらこんな物じゃ全く足りないが今はこれで良い。御礼より大事なのは一刻も早く彼女達の前から消える事だ。
俺は手早くも完璧に料理を作り終えるとそのまま3枚の皿を持ち厨房を後にした。
楽しかったであろう雰囲気を台無しにしつつ3人の前に出来上がった料理を並べていく。
「お待たせ。俺なんかの作った料理で申し訳ないけど、どうぞ召し上が.....ん?」
「.....そ、そうね!イフルールなんかの作った料理なんて本当は食べたくないけど仕方なく、そう!仕方なく食べてあげるんだから有難く思いなさいよね!」
「そ、そうよ!ルルの言う通りイフルールが何にも出来ないから仕方なく料理を任して上げてるの!本当は口に入れるのも嫌なんだから!」
驚きの表情を見せ一瞬だけ皆が固まった。しかし、それが嘘だったかのように普段の勢いを復活させる。え?俺なんかおかしいこと言った?
「....イフルール、どうせ君は食事抜きなんだしもう部屋に戻っていたらどうだ」
「え、あぁ。そうだね、そうさせてもらうよ!それじゃあ皆おやすみ〜」
クソッ、パウルに言われるまで自分が邪魔だということに気付かなかった。俺はそそくさと居間から出ていくと一直線に自室へと向かった。
〜自室〜
「それじゃあ荷造りするか〜。幸いにも荷物な少ないしすぐ終わりそうだな。」
自室へと戻ってきた俺は少ない荷物を纏め<収納袋>に入れるとスッキリした部屋を見渡し思わず感傷に浸る。
俺が【戦撃の妖精】に加入した時には既にパーティハウスを借りており余っている部屋をひとつ貰い受けた。勿論、断ったのだがパウルから「?....違う場所に泊まる意味がわからない。効率が悪くないか?」と言われてしまい渋々了承したのだ。
それでも2年という短くはない年月を過ごした自室だ、愛着が湧かないといえば嘘になる。だが、決意はした。俺が居なくなる事が3人に出来る唯一の恩返しだ。
別れの手紙を用意しお世話になった事と今まで家に泊めてくれた事の清算として100万リーン準備する。
お金もクエスト以外の外出は殆ど禁じられていた為貯まりに貯まっていた。それもこの時の為だったのかも。
「.....よし、これで大丈夫だな。後は、皆の邪魔にならないように、」
既に食事を摂り終え各々、自分の部屋に戻っている。それを感じ取った俺は自室から静かに出て居間に手紙とお金を置くとそのままパーティハウスを後にするのだった。
「今まですいません、それとありがとうございました。」
家の前で小さく呟き深く頭を下げる。夜は更けているが街は未だ喧騒の中にある。
「後は脱退の手続きを済ませるだけだな。」
俺は騒がしく踊り歌う夜の【メーギビア】の街へと足を進める。目指すはメーギビアの冒険者ギルドだ。
パーティに参加しているメンバーは脱退するのも参加するのも必ず手続きが必要になる。それに加えてパーティリーダーの是非も問われるが、其方に関しては恐らく大丈夫だと思う。
その理由は
〜冒険者ギルド〜
1階が酒場兼受付になっておりクエストから帰還した冒険者達が卓を囲みワイワイと騒いでいる。
それを横目に受付へと真っ直ぐに向かう。
「あらこんな時間に珍しいじゃない?どうしたの?あ、若しかして やっと【戦撃の妖精】を辞める気になったの?」
憎たらしく馬鹿に、そして見下した様な態度をとる受付嬢『サラ』。俺が【戦撃の妖精】の皆から煙たがられている事に気付いていたのかよく脱退を勧めて来た。この人なら申請を通してくれるだろう。
「ええ、やっと気が付きました。俺が皆に嫌われてたんだってことに。だから決めました!今日で脱退しようって」
「え、え、!ほ、ほんと!やっと辞める気になったの!?それなら任せて!!脱退申請はこっちで何とかしておくから!あ、冒険者としての登録はそのまんまだから安心して!良かったわねあの3人のお零れでAランクまで上がれて!」
見た事ない程華やかに喜ぶサラを見て周りからも足手まといとして認識されていたのにショックを受ける。サラは3人が俺に対して当たりが強い事に気付くや否や其処からずっとこんな態度だ。
「はい、そうですね。これを機に街も出ようと思っています。シャリスってまだ居ますか?」
「そうなのね!うん!それが良いわ!お互いそっちの方が絶対良い!因みにシャリスはもう上がったわよ〜」
「そうですか。分かりました、シャリスにもよろしく伝えてください。」
俺はその言葉を最後に冒険者ギルドに背を向けた。新たな門出の予感を感じながら。
夜の風は寒気を乗せてくるが何故かとても清々しく感じた。こんなにも肩が軽く感じるのはいつぶりだろうか。
俺は今日遂に
「パーティを脱退した」
ご愛読ありがとうございます!
良ければ色々反応貰えると嬉しよす
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