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第二十四章:残された執筆、あるいは最果てへの招待状


1. 嵐のあとの、奇妙な静寂

「……帰っちゃったな、あいつら」

魔王ザルグが次元の裂け目へと消え、後を追うようにコンタたちも自分たちの世界へと戻っていった。 戦場となった街道には、再び元の「ノイズだらけの日常」の空気が戻っている。だが、空気は以前より重く、冷たい。地面に刻まれた魔王の「絶望の記述」の爪痕が、黒い焦げ跡となって残っていた。

「お兄ちゃん、1+1は?」 キュアが、俺の顔を覗き込みながら、いつもの質問を投げかける。 「……マイナス100だ。頭の中が、真っ白だよ」 俺は、震える手で愛用のペンを握り直した。

「タイガさん……ごめんなさい。僕のセキュリティがザルだったせいで、あんな怪物を……」 スカルがランドセルを抱えて、今にも泣き出しそうだ。 「気にするな。……あいつは、お前のバグなんてレベルじゃない。この世界の『外』にある悪意だ」

足元では、黒鶏(元ドラゴン)が地面を突くのも忘れ、空を睨んでいた。 「コケッ(……あれは、化け物だ。不殺の悪魔、貴様のペンでも、あいつの『核』までは届いていなかったぞ)」

2. 聖女の決意と、おばあちゃんの叱咤

「タイガ。……行きましょう」

隣に立つ歩花が、白銀の法衣を整えながら告げた。その瞳に迷いはない。 「キョムが、貴方の物語で一時的に形を取り戻せたのも、おばあちゃんが力を貸してくれたのも、すべてはこの時のためだったのかもしれません。……魔王を、このままにしてはおけません」

頭上では、ペガサス(玉代おばあちゃん)が大きく翼を広げ、清廉な霊力を振りまいている。 「……おじさん。何を弱気になってるんだい。あんたは、この世界の物語を最後まで書き抜くって決めたんだろう? だったら、最後の一文字まで、しっかり綴りなさいな」

おばあちゃんの声に、俺は自分の胸の奥に残っている、作家としてのわずかな「熱」を感じた。 そうだ。不完全で、バグだらけで、不条理なこの世界。 それを「面白い」と言ってくれる住人が一人でもいる限り、作者が逃げ出すわけにはいかない。

3. 魔王城、あるいは「絶望」の執筆

俺は、一冊の白紙のノートを再び開き、最果てへと続く北の空を睨みつけた。 そこには、魔王が言い残した、呪いのような言葉がまだ響いている。

「……魔王ザルグ。待ってろ。……45歳の独身作家、斉木大河。今度こそ、お前の『絶望』を、最高のハッピーエンドに叩き直してやる」

俺たちは、再び歩み始めた。 一歩、また一歩。 最果ての地にそびえるという、世界の物語を終わらせるための城へ。 不殺の権能が通じない相手に、俺は一体何を書き込めばいいのか。 まだ答えは見えない。 だが、俺のペンは、止まることを拒んでいた。

魔王は、ノートの記述を嘲笑うかのように、消え去り際にこう言い残していたのだ。 「——わしは即座に復活する。お前たちがいくら集まろうと、わしには勝てぬ。世界の最果て、我が魔王城でまた遊んでやる」

45歳のタイガ。 最果てへの招待状を握りしめ、胃痛と戦いながら、今、最終章の最初の一行を書き始めた。


第23章、お読みいただきありがとうございました。 最強の助っ人たちが去り、再びいつもの一行に戻ったタイガたち。 しかし、魔王ザルグから突きつけられた「不殺の破綻」という事実は、重くのしかかります。 魔王城で待つ、本当の「絶望」。タイガは、その白紙の未来に、どんな物語を書き込むのか。

【感想・高評価のお願い】 「タイガ、負けるな!」「おばあちゃんの言葉が響く……」など、皆さまからの感想や高評価をぜひお聞かせください。 皆さまの応援が、タイガの「最終章」への最大のインスピレーションです! (ぺこり)


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異世界転生, チート, ざまぁ 不殺, 既婚者ヒロイン, おばあちゃん) ディープステート, 暗殺, SNS
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