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いにしえの獣  作者: 明日香狂香
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ユナ

 ユナは城《しろ》の庭《にわ》へと勢《いきお》いよく飛《と》び出《だ》した。ゼノの声《こえ》につられて城《しろ》の中《なか》からはぞくぞくと兵士《へいし》が出《で》てきた。

「われこそは、元近衛第一師団長《もとこのえだいいちしだんちょう》の娘《むすめ》、ユナ・バーン。命《いのち》が惜《お》しくないならかかってくるがいい。」

 半身《はんみ》になってサーベルを構《かま》えながら名乗《なの》りを上《あ》げる。

「サーベルタイガー・ユナ!」

 兵士達《へいしたち》の間《あいだ》からどよめきが起《お》こり、彼《かれ》らは尻込《しりご》んだ。


「何《なに》をしている。サーベルの虎《とら》の異名《いみょう》を持《も》つとはいえ、相手《あいて》は女一人《おんなひとり》だ。かかれ!」

 隊長格《たいちょうかく》の男《おとこ》が剣《けん》の振《ふ》って叫《さけ》ぶ。

「ワー!」

 兵士達《へいしたち》は怒号《どごう》に似《に》た雄《お》たけびと共《とも》に、彼女《かのじょ》に向《む》けて突進《とっしん》した。彼女《かのじょ》は反転《はんてん》すると、庭《にわ》の狭《せま》い通路《つうろ》を駆《か》け下《お》りて城壁《じょうへき》の外《そと》へと走《はし》った。

「相手《あいて》は逃《に》げたぞ。追《お》え!」

 兵士達《へいしたち》は全員《ぜんいん》、後《あと》を追《お》って街《まち》の中《なか》へと入《はい》っていった。


「母《かあ》さんは大丈夫《だいじょうぶ》でしょうか。」

 カナタはゼノに心配《しんぱい》そうに尋《たず》ねた。

「あいつなら大丈夫《だいじょうぶ》。近衛《このえ》の役目《やくめ》は解《わか》っている。」


 街《まち》の中《なか》で、ユナはイゴーたちとあった。簡単《かんたん》に言葉《ことば》を交《まじ》わすと別《わか》れた。

「探《さが》せ、探《さが》せ!」

「草《くさ》の根《ね》を分《わ》けても見《み》つけろ!」

「やつの首《くび》を取《と》るまでは城《しろ》に帰《かえ》れないと思《おも》え!」

 街《まち》のあちこちでイゴー、トットとタホトの叫《さけ》び声《ごえ》が響《ひび》いた。


 隊長《たいちょう》は馬《うま》の上《うえ》で、声《こえ》のする方《ほう》をキョロキョロと見回《みまわ》しながらキョトンとしていた。

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