第66話 予言予知について聞いてみた
今回は予知や予言について語る最後である。
天の神様以外の語る予言と、予知についてだ。
「守護神様。天界の神様の計画というか予定以外の予言は、どのように行われているのでしょうかね?」
『それには大きく三つのパターンがある。未来視の予言と事件の予報、それと予知だな』
「予言、予報、予知?」
『最初に予報について語っておくが、あれは今、俺がきみに教えているものだ。天気予報のような感じで、神の世界には事件や事故の予報が流れている。俺たちはそれを見て、守護してる人を導いているわけだ』
このあたりの詳細は、第五四話で触れている。
『それに対して予言というと、もっともイメージされるのは未来を見た上でのものだ。これはきみがダウジングを始めた頃、未来について質問された時に俺が答えていたやり方だな』
これは第一四話で触れている。守護神様が事件予報を詳しく手に入れる方法を知る前まで、未来に関する質問に答えていた方法だ。
『とはいえ、予言と予報は本質的には同じものだ。自分の向かう世界線は、時空の地平線に隠されていて見えない。それを見える世界線から類推してる点は同じだ。二つの違いは回答する神自身が未来を見て語るのが予言、その道の専門家が多角的に分析して予測したのが予報というわけだ』
「ということは、予報は専門家たちが出す分だけ確度が高いんですか?」
『まあ、そう考えても良いだろう。とはいえ予報の中には素人の神が専門家を気取って出してるものもあるから、出どころには注意が必要だ』
「インターネットにある解説動画やサイトみたいなものですか。神様の世界でも、そういうものは玉石混淆なのですか?」
『この世界は何をするのも自由。三次元にあるこの世界も、五次元にある神霊の世界も、もちろんもっと上の次元にある世界でも……だ。ただし、自由には責任が伴う。本人に関与はなくとも、先人のやったことの因果が複雑に絡みあって、今や未来に事件や事故、災害を招いてもいる。それを読み解いて事前に察知するのも予報だな』
「ということは、それだけ予報の方が予言よりも信憑性が高いんでしょうかね?」
『世の中は、そう単純ではない。天気予報と似たようなものだ。近年の天気予報はどんどん精確になってきてるが、それでも雲や風の動きを読んだ経験や言い伝えの方が当たることが多いし、野生の生き物たちの行動が見せる長期予報には太刀打ちもできてないだろ』
「そう言われると、人間はまだ野生生物の予知能力には勝ててませんね。それに天気予報にはレーダー観測を使った一時間以内の予測がありますけど、レーダーが見てるのは地上ではなく上空の雲の動きですからね。そのせいでレーダーの見てる上空では大雨でも地上に届く前に雨が蒸発してるとか、反対にレーダーの届かない雲の下でだけ弱い雨が降ってるとか、実際の天気がレーダー観測とは真逆になってることもあるんですよねぇ」
鳥の巣やカマキリの卵がいつもより高い場所にあった年は大雪になるとか、アリが巣を移動する行列が坂を登っているのを見たら大雨や洪水が来るとかいうもの。近年は観天望気として、野生生物の動きも天気予報の参考にしようとする動きがある。
ちなみに観天望気とは違うが、著者は子供の頃、坂を下って移動するアリの引っ越しを見たことがある。このあと山の中に建てられた高校で隣接する土地の木を伐り倒して新しい校舎を建てる工事が始まるので、その前に工事の震動の届かないところまで逃げたもののようだった。
引っ越しのあった頃はまだ重機が運び込まれるような予兆すらなかった。しかも、あの頃はまだ工事の騒音や震動の問題には無頓着で、公共工事でも事前に近所に告知するような義務はなかった。だから大人たちも工事が始まって地盤を固める杭打ち機の騒音が聞こえてくるまで工事に気づかなかったのに、よくアリたちは工事があると予知できたものだと思う。
余談ではあるが、山の中では頻繁に間伐や木の植え替えのためにチェーンソーと木が倒される音が聞こえてくる。そのためチェーンソーの音は日常すぎて、工事の始まりとは思わなかったとだけ補足しておく。
『それと直接未来を見る予言や予報には、もう一つ大きな問題がある。地球のランクが変わる時に次元断層ができて、その先の未来がしばらく見えなくなるんだ』
「次元断層?」
『世界線の流れの途中に、突然、大きな崖ができるようなものだ。最近あった大きなものは、一九九九年の五月のものだな。地球文明が地獄の最底辺へ落ちていく次元降下だ。崖下を覗き込めば未来は見えるが、崖があるのに気づかないと、まるでそこで世界が終わったように錯覚するんだ』
「ノストラダムスやババ・ヴァンガも……」
『次元断層を見せられて、一九九九年に文明が終わるような大事件が起こるという悪い想像が働いたんだろうな。次元断層そのものも大きな事件だが、実際の世の中で事件が起こるかどうかは別の話だ』
「ということは、最近よく言われてる二〇二五年七月も?」
『そっちは地球が次元上昇する方の断層だ。そのため低い場所にいる低級霊ほど崖の上にある未来が見えなくなってるはずだ』
「じゃあ、昨今の地球滅亡予言は、未来が見えないからの悪い想像ですか?」
『地球の次元上昇が始まるだけだから、大きな被害を出すような天変地異はないと思う。ただ次元上昇に伴って地球に降り注ぐエネルギーが強まるから、その影響でしばらくは地殻変動が起こりやすくなる。それが落ち着くまでは、何が起こるかは正直わからんよ』
「それで大陸が浮上するようなことは起こりますか?」
『北太平洋上──それも日本の排他的経済水域内にアトランタ大陸が再浮上してくるような気配がある。起こるとしたら最初に日本の経済水域内に島ができて、それで広がった水域内に大陸が浮かんでくる順番だから、不平を言う国はあっても国際問題にはならないだろう』
「浮上する順番が逆になったら、醜い領地争いが起きますよね」
もしも公海上に最初の島が浮上したら、そこを起点に日本は排他的経済水域を削り取られていく。そして島の領有権を巡って、おそらく日本、アメリカ、イギリスが気象衛星や偵察衛星の撮影時刻から所有権を主張し、ロシアと中国が最初に上陸することで実効支配を主張し始めるだろう。それが戦争の火種にもなりかねない。
『予言と予報については、そのぐらいでいいだろう。次に予知について語っておこう』
「予知って、虫の知らせみたいなものですよね?」
『人間にとっては、そういう認識でいいだろう。だが、予言とは違って予知はどのようなものかを知ると、それが本物ならかなり精確なものだと理解できると思うぞ』
「そんなに違うのですか?」
『予言や予測は「これから何が起こるか」を知るものだが、予知は「これから起こること」を事前に知ることだ。この違いは大きいぞ』
「どのくらい違うのですか?」
『例として大きな地震で語ってみようか。大地の神たちは日頃から地盤の歪みを見張ってて、それが大きくならないようにしている。だが、被害を出さずに解消するのが難しくなったら、地震を起こす検討を始めるんだ。東日本大震災の場合は検討を始めてから九年で起きたが、検討が始まってから起こるまで三〇年近くかかった例もある』
「その地震は必ず起こるのですか?」
『その通り。具体的なものが決まってないだけで、必ず起こすものだ』
「スロースリップで小さな揺れで済む可能性は……」
『それができないから起こす検討を始めるんだ』
そうだった……。
「検討を始めた時は、どのくらいのことが決まってるんですか?」
『歪みのある場所がわかってるだけだ。検討を始める時には、経験から大ざっぱな時期や地震の起こし方ぐらいは見当をつけておくが、まずその通りになることはない。だから検討中につかんで流された予知は、まったくハズレたようになる』
「情報を早く知るのも善し悪しがあるんですね」
『地震の規模にもよるが、大きな地震の場合は起こす二年ぐらい前から準備段階に入る。この段階になったら、ほとんど場所や起こし方が変わることはない』
「ということは、二年ぐらいが予知の限界と考えていいんですかね?」
『その考えでもいいだろう。だが、検討段階から予測される被害は、常に最悪のものを想定している。それが作業が進むにつれて、大きめに見積もっていた被害が下方修正されていくわけだ』
「それ、とある予言者が、有り得ない被害規模でばかり予言する理由ですか?」
『あのインフレとは関係ないと思うぞ。ただ、これは神霊界を流れる予知を覗き見る者が、よくやりがちな落とし穴だ』
「予言が大げさになるのは、注目を集めるためとは別の理由もあったんですね」
『大山鳴動して鼠一匹。今の日本では災害対策が整えられてきてるから、昔なら大きな被害の出る自然災害が、まったく被害を出さずに済むことが増えてきた。古い経験則から一万人規模の被害を見積もっていても、今では何も被害が出ずに済むことも増えてきた』
かつては台風が来るたびに千人規模の犠牲者が出ていた。それが今ではゼロやヒトケタで済んでいる。地震も耐震技術の普及で、他国なら建物が次々と倒れて大きな被害の出る震度五クラスでも、日本では地震対策をしてない家具が動いたり倒れたりする程度である。
「でも、本物なら予知の精度が高いと言えるほどじゃありませんよね?」
『結論を急ぐな。準備段階に入ったら被害の大きさはともかく、いつ頃、どこで、何が起こるかに関しては、かなり精確に知ることができるだろう?』
「そう……ですね。被害の規模だけ大げさですけど……」
『事が起こる四〜五か月前になると、いよいよ犠牲者の選定が始まる。この時はまだ被害を大きめに見積もっているので、候補者も多めに選ばれている。だが、この時点では神の世界の中だけでの動きだ。だから地上に近いところにいる神々の耳に入るのは、ウワサレベルでしかない』
「ウワサレベルではなくなるのは?」
『二か月前だ。この頃になると被害の規模まで確定して、あと決まってないのは発災日時だけだ。それで犠牲者が多くなると見積もられた場合は、このあたりから候補になった一人一人を夢の世界へ呼んで面接が始まる』
「面接? 何をするのですか?」
『それは人によって変わってくる。一番多いのは「次の災害で死ぬ」と宣告だけ受ける者だな。人生の使命や課題を果たせなくなった因縁ミタマの中には、そのまま被害者役になるか、新しい使命や課題を受け入れるかの選択を迫られる者もいる。また、ここで人生を終わらせてやり直すか、生き残るか選択できる者もいる』
「自分で選べる人もいるのですか。仮に犠牲者が少ない災害の場合は?」
『最低でも一か月前には最初の告知がある』
「告知するのは守護神様ですか?」
『告知だけの場合なら、そうなるな。選択ができる場合は、指導神が立ち会うことになる。この場合の最終確定は二週間前だ』
「その動きは目立ちそうですね」
『大きい地震や災害となると、動きが激しくなるからな。起こる内容と正確な日時はわからないまでも、二か月前から二週間前までの間に何か大きな事件や災害があると察知する予言者は出てくるだろう』
「それなら予知の精確さが高くなりそうですね」
『二週間前になると肉体から魂が抜け出すことが許される。そのため気の早い者は肉体を捨てて転生の準備を始めるが、この動きは一週間前になると活発化してくるぞ』
「そんなに多いのですか?」
『災害でいっせいに亡くなられたら、あの世では魂の受け入れ場所が混雑して大変なことになる。一応、当日は雲の上に受け入れの出張窓口を作るが、魂はバラけて還ってきてくれた方が、上にとっても有り難いんじゃないか?』
「そんなに多くの人が早めに肉体を捨てるのですか?」
『そのあたりはネットゲームのサービス終了を考えてみろ。サービス終了が告知された途端、遊ばなくなる人もいれば、サーバーが切られるまで遊び続ける人もいるだろ』
「たしかに告知がされるとログインしなくなるゲームは多いですね」
まあ、これはそのゲームでやりたいこと──多くはサービスが終わる前に片づけておきたいクエストがあるかどうかに依るだろう。
ただのデイリークエストでも、好きだったゲームは最終日もそれだけはやり切っている。さすがにサービス終了時刻までプレイしてたゲームは記憶にないが……。
『この世も同じだ。終わりが決まったら、ギリギリまで肉体に留まる者もいれば、さっさと肉体を捨てる者もいる。いつ、地上を去るかは、その者の自由だ』
「それが本当だとしたら、大きな災害が近づいてくると、周りがNPCだらけになりそうですね」
『霊能力を持ってたら、そこかしこで魂の抜けた人とすれ違ったと気づくので、すぐに異常に気づくだろう。それと魂の抜けた肉体は邪霊や低級霊どもに横取りされやすいのだが、天界の神はこういう時の横取りは好きにやらせている』
「肉体を横取りされたら、大変なことになるのでは?」
『いや、どうせ災害が起きたら死ぬ肉体だぞ。運良く生き延びる肉体はあるかもしれんが、それだって横取りする肉体を間違えたと気づいて、せっかく得た肉体を災害関連死で捨てる可能性が高いからだ』
「……なるほど……」
『地震の起こる三日前になると、発災する日や時間帯が確定する。この情報をつかんだ予知は、かなり精確だ。さすがに起こる時刻となると実行する大地の神々にもわからん。たとえば東日本大震災の場合は、地上時間で一五時頃を目標に作業を進めていたのだが、予定の一四分も前に大地が動き始めてしまった。そのせいで運命が変わった魂も多いだろうと思う』
「三日前……。さすがに多くの人が知るには、もう時間がありませんね」
『予知とは違う話になるが、魂の抜けた人たちの末路だ。彼らには考える魂がないから、地震が終わるとすぐに日常へ戻っていく。東日本大震災でもあっただろ。津波が迫ってるのに、地震の後片づけをしたり、テレビを点けて地震速報を見てたり、ましてや津波を見に海岸へ繰り出したり……』
「それで多くの人が逃げ遅れたんですよね?」
『それを学者たちは「正常性バイアス」という説明で語ってるが、何ということはない。魂がないから、肉体はプログラムされた通りの日常しか送れなくなってる。反対に生き残る人たちは夢の中で避難訓練を済ませてるから、自然と身体が避難する方向へ動く。それだけの話だ』
「プログラムされた通りで、違和感がないんですかねぇ?」
『おいおい。きみだってAIの振る舞いを調べてて、実はただの統計にすぎないのに、なぜか見た目はまともな文章になる不思議を知ってるだろ』
「それは……まあ……」
これは単純なプログラムの話だ。
まず、ある話題に対して語られている文章を数多く集める。そして内容は関係なく、単語やフレーズのつながりだけの統計を取るのだ。そして、あとは単語やフレーズを一つ書くごとに、次の単語やフレーズを統計データを元に拾ってつなげていくだけである。スマホで文字入力をする時に出てくる候補が、単語やフレーズに置き換わったものとイメージすればいいだろう。
ただし、ここで常に統計の第一候補だけでつなげると、文章が途中でループしやすくなる。そこで何回かごとに第二候補を拾うようにすると、無事にループが発生することなく自然な文章の模範解答ができてしまうわけだ。
こんな単純な動作でも話題については文章を集める時に決めてあるので、ちゃんとその話題に関する文章に仕上がっている。あとは文章の中に、どのくらいのウソや文法のエラーが含まれるか……だ。
また乱数で時たま三番目や四番目の候補を拾うようにすると、けっこう個性的な展開の文章が生まれたりする。何回ごとに第二候補を拾うかとか、乱数をどのように使うかとかは、プログラムを作った人のノウハウや好みになるだろう。
まあ、こんな単純なものを文章生成AIなどと銘打つような詐欺はないと思いたいが……。これだけでも意外と自然な文章っぽいものが仕上がってしまうとなると、文章を書くのに手こずってる自分が悲しくなってくるのだが……。
「予知についてですが、日常の事件や事故なども同じような流れですか?」
『そうだ。運命の型通りに進んでる人生についても、そろそろ人生の岐路が近づいてくると、俺のような守護神や、場合によっては指導神が出張ってきて、その日が来る準備をする。重要な選択がある場合は、そういう動きから察知できるし、夢でそれとなく報せてもいるわけだが……』
「だが?」
『きみの場合は対人運がメチャクチャ悪いな。過去何回か、人生の岐路に関わる相手がその役目を果たせなくなってて、予定されてた運命とは変わることが何度か起きてる。老いて死んだあとに覚えていたら、指導神に聞いてみろ。代わりになる相手も見つからなくて、焦りまくってたこともあったからな』
「つまり神様の計画したものでも、予言や予知通りにはならないこともあるんですね」
『そういうことは珍しくない。それが人生の課題に必要な運命というかチャンスだった場合は、だいたい十年ごとに次の機会が巡ってくるようにこちらも働いている。これは事故や災害を検討するものと同じ流れだぞ。それがあるために大器晩成となる人が出てくるんだ』
「大器晩成といえば、クラシック音楽のセザール・フランクなんか有名ですよね。あの人の場合も、人生の岐路ごとの対人運が悪かったのでしょうかね?」
『対人運という意味では、そうかもしれないな。ただし、関わった大作曲家たちが役目を果たせなかったからじゃない。当時のフランス音楽界の重鎮たちが、いつまでも閉鎖的だっただけだ。いや、フランスだけじゃない。ロシアやオーストリア、北欧でも学生時代の成績だけで活躍してない者たちが音楽界を牛耳り、新しいスタイルの曲を拒否し続けた影響だ』
「それは戦後の低IQエリートの弊害みたいですね」
話題のフランクは、若い頃に神童と呼ばれた音楽家だ。ところが事あるごとにリストやショパン、サン・サーンスという大作曲家の口添えをもらえても時の音楽界に認められず、ようやく日の目を見るようになったのは彼が六〇歳を過ぎてからだ。
そのためフランクは、ピアノ教師と教会のオルガン奏者という仕事で細々と暮らしていた。でも、それだけでは生活が苦しいため、しばしば楽器製作会社に雇われて、営業としてフランス各地を飛びまわっていたようだ。鍵盤楽器を実演販売して、教会へパイプオルガンの売り込みに成功した話も残っている。
ちなみに一九世紀のクラシック音楽界には、そういうエリートから嫌われる被害に遭った作曲家が多い。そのせいで死後になってようやく曲が世に出るようになった被害者にシューベルトやベルワルドがいるが、一時期被害を受けていた有名作曲家としてはベートーヴェンやチャイコフスキー、ドヴォルザークという名前も挙がってくる。この被害を音楽界では長いことスランプだったと言って隠してたのだから、そういう悪事が次々と暴かれる時代になってきたのだろう。
『最後にウソの予言についても語っておこうか』
「自己顕示欲の強い人が、注目を集めたいがために語る予言ですか?」
『いや、そういう身魂を曇らせるようなものじゃない。悪魔や低級霊が、人心を惑わすために流してるものだ』
「……というと、人を怖がらせてネガティブな感情へ引きずり込もうとしてるものですか?」
『それもあるが、それよりも「引き寄せの法則」を狙って、悪魔が神々による浄化作戦の妨害と、願望を語ってると思った方がいい』
「つまり悪い引き寄せですかね?」
『そうだ。しかも最近の予言を見てると、日本で大きな被害が出ると騙ってるものが目立つと思わないか?』
「それは日本で情報を集めてるからじゃないですか?」
『いいや。日本は唯一、悪魔どもがいまだ支配できずにいる国だ。そのため取り込んだ為政者や実業家を使って日本を間接的に地獄へ突き落として暴動を起こさせ、その機に乗じて一気に支配下に入れようとしてるが、日本人は我慢強いためにヤツラの思惑通りにはなってない』
「それが平成三〇年間の大不況ですか」
『違う。一〇〇年以上前から手を変え品を変えて仕掛けてきてる悪の仕組みだ。そのせいで日本は何度も窮地に落とされているが、そのたびに悪の張った罠に呑み込まれるのは上でエリートを気取ってる連中だけで、民衆は簡単には悪魔には取り込まれない。まあ、昔からの日本の伝統芸だがな』
「飛鳥時代の仏教や、戦国時代のキリスト教でもありましたからねぇ」
戦国時代、キリシタン大名たちは次々とキリスト教に帰依したのに、逆に民衆の方はキリスト教の矛盾を突いて宣教師たちの心をへし折っていた。
おそらく飛鳥〜奈良時代の仏教に対しても、庶民たちは何らかの対抗をして日本文化を守っていたのかもしれない。
「だけど今回は日月神示 祭りの巻にある『日本の人民良くならねば、世界の人民良くならんぞ、日本の上の人良くならねば日本人良くならんぞ』にならないと困るんですよね?」
『その通りだ。なんせ今の日本は悪魔に支配されてないからこそ、天界の神々は現在の救世主を日本へ降ろしている。だからこそ悪魔どもは日本が滅びるとか、外国に攻め込まれて分裂するとか、列島が地震で海に沈むとか、ヤツラの願望そのものの予言を流して、引き寄せの法則が働くのを狙ってるんだ』
「聞いてて、『有り得ねぇ〜』と思う予言が多いですもんね」
『そんな悪魔どもに誑かされたまま利用され、改心できんエリートはグレン、鼻ポキンだ。すでに日本には天界から神々が降りてきて、その日が近づいてきている』
「神様が降りてきてるのですか?」
『五月七日に降りてきたのは、地球を浄化するための先遣部隊だ。さっきも言ったが、今の地球はほとんど悪魔や邪鬼たちに掌握されているが、日本は地球上でほぼ唯一の支配を逃れてる場所だ。といっても金や欲望に塗れた大都市周辺は穢れているので、まだ神々は近寄れん。神々が降りてきてるのは、そういう大都市の郊外にある小都市だ』
「ということはグレンには神様が手を下されるのですか? てっきり地上のことは地球人自身に片を付けさせると思ってましたが……」
『地上では悪魔や邪鬼どもが神霊の次元で暗躍してるのだぞ。人間だけで何とかできるはずがないだろう。これまでは手を出したくても、岩戸が邪魔をしていたために手を出せなかっただけだ』
「その岩戸は?」
『すべて開け放たれて、これから第二の岩戸を通過させようというところだ。第二の岩戸を無事に通過できれば、ようやく制限付きではあるが、天界の神々や宇宙人が地上まで降りられるようになる』
「まだ第二の岩戸は通過してませんけど……」
『それでも日本の一部の地域は、天界の神々が降りられるくらいまで浄化されたんだ。だから今回、神々が降りてきたわけだ。そして悪魔や邪鬼たちに気づかれないように、鉄道を使って移動している』
「空は飛ばないのですか?」
『強い神気を放つ神が霊体のまま空を飛んだら目立つだろ。だから鉄道やバスを使うんだ。運行会社には悪いが、神が乗ると心の穢れた人たちは近寄れないため、その車両は乗客が減っているようだぞ』
「街を走る車は使わないのですか?」
『今の地球文明には必要悪だが、車は汚染を撒き散らし、多くの命を奪う穢れた乗り物だぞ。神々の使うものではない』
「すごい言われようですね」
『とにかく、悪魔どもの騙る予言が起こるようなことはない。今は神々が降りてきて、地上でも地球を浄化する準備が始まった。このあと本隊が降りてきたら、一気に大グレンが起こるぞ』
「いよいよ……ですね」
ということで、今回の話を終わりにする。
最後に今回の内容について、一部を簡単にまとめておく。
◆神様の計画である預言ではない、予言と予報について。
・予言も予報も、未来視を元にしている
・予言は神個人が未来視したものを語ったものである
・予報は専門家が解析した未来に関する予測である
◆予知については適用できる範囲をまとめる。
・計画立案時 事象を起こす場所が決まる
・一〇年ぐらい前 事象の起こし方の検討が始まる
・二年前 作業開始、時期は確定するが規模は大きめ
・二か月前 災厄は規模確定
犠牲予定者への面接が始まる
・二週間前 事象の起こる日が確定
犠牲者がいればNPC化が始まる
・三日前 事象を起こすだいたいの時間が確定
ただし発生時刻は正確ではない
◆悪魔の騙るウソの予言について。
・悪魔の願望にすぎない
・信じる人が多いと「引き寄せの法則」が働いて具現化する
悪魔どもはそれを狙っている
以上、では次の機会に……。