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異世界化学工業・水ガラスがすごい!

 はっきり言っておく。水ガラスはすごい!すごすぎて、正直、私の手に余る…


 普通のガラスは、純度の高い珪砂にソーダ灰と石灰を混ぜて、約1000℃の高温で溶かして作る。混ぜ物は他にも種類があるが、要するに珪砂の融点を下げるのが目的なんだな。


 融点を下げるだけなら、実はソーダ灰だけでいい。代わりに草木灰を使うって手もあるけど、そうじゃなくて。石灰を混ぜる理由は何だろう?


 石灰にはソーダ灰が持つ水属性を打ち消す働きがある…かどうかは知らないけど。石灰を混ぜると水に溶けなくなる。珪砂とソーダ灰だけじゃ、溶けちゃうんだよ。


 うん、ガラスが水に溶けたら用を成さないもんね。と思うでしょ?


 水に溶けちゃったヤツを水ガラスと呼ぶ。歴史的には中世の頃から、錬金術の素材として存在していたらしい。錬金術か、興味をそそられるねぇ。


 19世紀には防火剤として使われ始めた。今では新しい用途が次々と見出され、現在進行形で有用性が増している。余りにも用途が多過ぎる上に、解説は少ないし難しいし、調査が間に合わない!参ったぜ。パトラッシュ、僕はもう疲れたよ…


 剣と魔法の中世ヨーロッパ風異世界で有用と思われる用途は何だろうか。最初に挙げたいのは、石鹸の助剤かな。地味だけど。


 ヨーロッパの水は硬水が一般的だ。ミネラルが豊富過ぎちゃって石鹸を使い難いという問題がある。石鹸分が、油より先にミネラルと結合しちゃうんだ。だから軟水になるまで余計な石鹸を消費する。


 そこで水ガラスだ。石鹸より先に水ガラスがミネラル分と結び付いてくれる。洗濯に必要な石鹸が少なくて済むんだな。


 更に言えば、水ガラスはアルカリ性だ。その点でも石鹸と相性が良い。


 余談だけど、ヨーロッパの紅茶を日本で淹れるとあんまり美味しくない。有名な話だね。それはこの硬水と軟水の問題に起因する。私は世界的に有名なあのブランドのアップルティーは好きじゃなくて…


 もうちょっと産業的に派手なのは、接着剤かな。金属や木をくっつける。


 金属の接着ったって、いわゆる鑞付けよりは強度が落ちそうだ。武器には使えないね。でも民生用として、例えば宝石箱なんかはどうだろう。弁当箱はダメかな。冒険の現場に持って行って、うっかり振り回して鈍器代わりにしちゃったら壊れそうだし。


 木の接着剤としては、思わぬチート用途があった。合板だ。通称ベニヤ板。上手に貼り合わせれば、適当な厚さの巨大な板を作成できる。繊維の縦横を直角にすれば、どの方向でもそれなりの強度を保てる。見た目を気にしない用途なら活躍できるだろう。


 化粧板ってのもある。安い木材の表面に、壁紙や薄く剥いだ高級木材などを貼り付けて、美しさを演出する手法だ。まあゴマカシなんだけどさ。でも寄木細工なら立派な工芸品になる。


 段ボールの接着剤も水ガラスらしい。異世界に段ボールがあるとは思えないけどね。結構な精度が要求されるんで、中世の職人芸の世界じゃ段ボールは再現できないよ。多分。


 接着剤にするには、硬化剤として酸化亜鉛を添加するといい。亜鉛は真鍮の材料だし、歴史的にも古くから知られていたようだ。中世でも手に入るだろう。


 しかし木工用接着剤は膠と競合する。普及は諦めた方が良いかも。合板や化粧板にしたって、薄板を安く大量に作る技術が無ければ無理だし。昔の大工仕事はなかなかに豪快だからねぇ。中世でどうかは改めて調査が必要だ。


 接着剤ではなくて、表面に刷毛で塗るって使い方もあった。火属性物理攻撃の無効化の付与、って言うとなんかすげえ錬金術だな。木材が難燃素材になる。色々添加物を入れて性能を上げた薬品ってのがあって、その宣伝動画を見たよ。結構、すごい。


 興味深いのはバイオリンだ。


 16世紀と言うから、中世が終わってルネサンスが興り始めた時代かな。バイオリンは前触れも無く現れた。弦を弓で擦るタイプの楽器は存在したんだけど、そこからの進化の痕跡が見当たらない。そう、バイオリンは最初から完成されていた。その筋では有名な話だ。


 そのバイオリンの最高峰、ストラディバリウス。現代でも再現不可能と言われ、17~18世紀に製作された物が今でも世界最高峰だ。現代科学のメスが入りまくってるけど、それでもダメみたい。


 その科学的調査の成果の一つ。どうやら水ガラスが塗られているようだ。ソーダじゃなくてカリウム、つまり普通の草木灰と思われる成分を使った物らしいんだけども。


 ところで、水ガラスに消石灰を溶かしたら透明の硬いガラスになるかな?成分的には同じだから…と思ったんだけど、どうしてもわからなかった。白く濁るとか、そういう説明も見当たらない。誰も試してないのかなぁ。


 変わった所では、水ガラスにエタノールを混ぜるとスーパーボールになる!数日で乾燥して固まるから、ゴム代わりには使えないけどさ。ちょっとしたチート玩具にはなりそうだ。そして縁日にスーパーボール掬いの文化を持ち込もうぜ!

異世界化学工業も思っていたよりずっと長く続きましたが、この辺でネタが尽きました。

何かネタがありましたら、感想ででもリクエスト下さい。

調べてみます。

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― 新着の感想 ―
[一言] おしろいで改革やってる作品割と目に付くんですが、実際どうなんでしょう?無毒のおしろいを作るのって実はけっこう大変なような
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