表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/6

4話

ガレル王子の行動は素早く、数日のうちにはフィーリア伯爵令嬢とファトマ公爵令息の婚約は無事公爵家の有責扱いにより破棄されたと同時に、ファトマ公爵令息とラディス男爵令嬢の婚約が締結された。


なお、ファトマらが婚姻する際は去勢手術が行われた上で男爵家に婿入りする事になる。


これにはファトマも抵抗したが、多額の財産が分与される事や事業の援助、何よりファトマが懸念していた去勢してもラディスと性交渉が出来るということを説得され、しぶしぶ応じる事となった。


なお、ファトマは学校内で刃物をサンクレドに突き付けたが、その事も両親に知らされた為暫く自宅での謹慎が言い渡された。


ラディス嬢は玉の輿狙いだったとはいえ、ファトマの事を真に愛していたようで自宅謹慎しているファトマの元へ足繁く通っているらしい。


実はかなりお似合いなのかもしれない。


フィーリア嬢はファトマより受けた心労という名目で数日休んだ後、学校へ復帰した。


フィーリア嬢がファトマと婚約破棄した話はほぼ全ての学生が知っており、先日の騒ぎの事もあり数人の友人以外からは遠巻きにされている。


サンクレドは士爵位を持っている事が友人達にバレた事で少しからかわれたりもしたが、学校では特に扱いは変わっていなかった。


目立たないブサイクが近寄りがたいブサイクに変わっただけであった。


そしてサンクレドとフィーリアは…


「サンクレド様、お茶のおかわりは如何でしょう?」


「頂きます!ありがとうございます!」


「ふふっ、いつもサンクレド様は元気ですね」


二人でお茶会を定期的に行うようになった。


サンクレドにとってはずっと推しであったフィーリア嬢と二人で初めてお茶会を行った時はそれはもうガチガチに緊張していたし、フィーリア嬢もまた、今まで自分を全く見ることが無かったファトマとは違い自分を推しだと、好みだと言ってくれるサンクレドが緊張しているのを見て緊張してしまった為ほとんど話すことが無かった。


その失敗を何度も重ねて、時にはフィーリアの母等も交え、少しずつ慣れていった結果、普通に話せるほどにまでなった。


それでもサンクレドのテンションは高すぎるほどなため少し会話はズレている時もあが。


「サンクレド様。そういえば聞きたい事があるのですが」


「何でしょう?」


「その、私を推しだと言ってくれておりましたが、推しになった理由とは何だったのでしょうか?」


「推しになった理由…」


「もしお聞かせ願えたら嬉しく思いますが無理そうであれば大丈夫ですけれども」


「あぁいえ、大丈夫です。知っての通り個人的に俺にとっては中央貴族のあのぶくぶくとした姿に慣れないので、それとはかけ離れてスラリとした上で健康的な見た目も勿論ありますし、令嬢令息のご友人に対していつも真面目に丁寧に接してる性格もそうでしたし、ファトマにあれだけ邪険に扱われてもそれでも婚約者として歩み寄ろうとする姿勢もそうですし他には「も、もういいですから!」…はい」


ちょっとした好奇心で聞いてみたフィーリアはサンクレドの余りにも情熱的な、聞く人が聞けば愛の告白のような回答に完全にキャパオーバーを起こし、顔から湯気が出るかのように真っ赤にしてしまう。


何よりそのいつも冷静で令嬢として完璧な微笑みをするフィーリア嬢がこのようなギャップ萌え満載の表情をする所がサンクレドに突き刺さる。


今までは見ているだけだった。


見ているだけで良いと思っていた。


きっかけはあまり良い出来事では無かったが


推しと会話する事が出来た。


今では二人でこのように定期的に会い、他の学生には見せない、俺だけにこの表情を見せてくれている。


元々自分のものでは無かったが、今、だれにも取られたくなかった。



「フィーリア嬢…」


「はい、何でしょう」


「俺と婚約してほしい」


「はい…えっ!?今何とおっしゃいましたか?」


「俺と婚約して将来的には結婚してほしい。俺は成人して後々辺境伯領を継ぐことになるから、王都から離れる事になってしまうけれど不自由はさせないから」


「ええっと、私で大丈夫なんでしょうか?相手の有責とはいえ、世間的に見れば私は傷物令嬢になると思うのですが」


フィーリアは瞳を潤わせながら、少し期待するように問いかける。


「フィーリア嬢が良いんだ。俺は肌も焼けて黒いし顔や体つきも良いわけでは無いけど、もし大丈夫なら受けてくれると嬉しい」


「あの…」


「いや、すぐに決めてくれなくていい。辺境は遠いし御両親とも話し合って決めてほしい、そろそろ他からも縁談がくるだろうし。ただ申し込みだけはさせて欲しい」


「はい…」


「自分勝手ですまないが、今日はこれで。お茶ありがとうフィーリア嬢」


居たたまれなくなってそそくさと寮へと帰るサンクレド。


フィーリアは、助けてもらってから最近気になりはじめている、色黒で細身の、それでいて筋肉質な令息にお申し込みすると宣言されてしまい頭が真っ白になっていた。


その宣言も昔、小さい時に憧れだった騎士物語に出てくる騎士のようでーーー。


(サンクレド様からお申し込み。サンクレド様の筋肉。サンクレド様の告白。サンクレド様の細身の体。サンクレド様サンクレド様)


フィーリアはその夜、価値が無いと思っていた自分に対して熱烈に申し込みをしてくれた嬉しさとその場で返事を返せなかった自分の優柔不断さ、サンクレドへの申し訳なさから思わず涙を流した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ