軍団
保健室に入るとそこには、沢山の人だかり。
「先生すみません、ベッド借りてもいいですか?」
人だかりを避けて、先生にこっそり聞いてみる。
「立花さんごめーん、今ベッド埋まってて」
なんとタイミングの悪い…
「ちょっと頭痛くて、寝たいんですけど」
「うーんどうしようかな」
これは、想定外。
今保健室にとどまれないと、教室に帰らなければ行けない、という事は英語の授業を受ける羽目になってしまう。
それだけは阻止したい。
「ソファーでも良ければ使ってもいいよ?」
「ソファー…」
保健師が仕方ないオーラを出しながら、提案してくれるソファー。
そのソファーとは、今現在女子の人集りが出来ている場所その物だった。
「3年生!2年生がソファーで休むから場所開けてあげて」
さっきまで女子軍団の会話でうるさかった保健室が
一瞬で静まり返る。
保健師が軍団に声を掛けたと同時に、私は現場を目視する。
3年の先輩方と目が会い、一応ペコッとお辞儀してみる。
その後、ゆっくりゾロゾロと
場所をずらしてくれる3年生。
「棚に毛布あるから使っていいよ、立花さん」
「ありがとうございます」
軍団の視線が私に集まるのを感じながら
棚から1番大きい毛布を取り出す。
軍団の横を通り過ぎ、ソファーにたどり着く。
横になり目をつぶるが、先輩達のこそこそ話と視線が気になって眠れるわけが無い!
「3年生もそろそろチャイムなるから教室に帰りなさい」
「はーい」
ぞろぞろと教室を出ていく軍団の1人が
何故かベッドに向かって歩いていく。
「那谷くんまた後でね」
なるほど、さっき居た女子軍団は、その那谷くんって人の付き添いだったのか、と半分納得。
付き添いで女性5人は付き添い過ぎかつ、どんだけモテるんだと白い目で現場を見る私。
「じゃあね、先生」
そう言ってこちらを見る付き添いA。
慌てて目を閉じるわたし。
足音がこちらに近づいてくる。
チラッと目を開けると、彼女は私の目の前で停止。
「立花さんもお大事に、またね」
そう言って、保健室を後にする彼女の目は
言葉とは裏腹に笑って言うようは見えなかった。
私は一体彼女にいつ、恨まれることをしたのか
心当たりが無さすぎて逆に怖さを覚える。
「立花さん悪いんだけど、私職員室に居るから
何かあっら呼びに来てね」
「はい」
2週間前のあの早退した1件から
私が英語の教師と対立している事が、教師の間で共有されたのか、英語の授業で保健室に来ると
何も言わなくとも寝かせてくれるようになった。
こちらとしても、その方が楽だ。
多分あの日、鞄を取りに教室に入って、あの態度だった事が事の発端であろう。
教師の中で議題に上げていただくのは、全く問題ないが
議題に上げたとて、解決するのだろうか…
私が何に怒っているのか、本人は気づいていないのに
話し合いの意味がある様には思えない。
さしずめ、私をどうやって授業に戻すかの
方法を模索しているのであろう。
教師の出す策には、検討がついている。
担任や、保健師から、何故授業を受けないのかなどの
詮索が入り
その発言を元に、私への説得が始まるのであろう。
言っておくが、私は大人に厳しい。
こちらから英語教師との歩み寄りは愚か
和解すら既に求めていないのだから、解決は無謀に等しい。
ダメだ辞めよう。
何もしていない、寝る前の瞬間が
1番人間にとって危ない。
やることが無いので、頭の中で数々の事を巡らせてしまう。
そう思い、私は寝ることに集中する。
あ、もう寝る…
シャーーー
そんな時に、ベッドのカーテンが開く音が聞こえた。




