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目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜  作者: どこでもいる小市民
第六章〜主人公記憶喪失編〜
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主人公は記憶喪失

「君、誰?」


時也(ときや)は目の前のあり得ない光景と、現在何故か膝枕をされている美少女に対してそう言った。


お、おお、落ち着け。なんか目の前にスッゲー美少女がいるんだが?あれ?俺って確かスパゲッティ食べてテスト勉強して寝ただけだよね?死んでないよね?でもこれって……異世界転生?……いや、異世界転移だ!……じゃあ、この子が俺のヒロインか?よっしゃゃゃゃゃゃ!


時也は目の前の状況が全く分からないが、とりあえず異世界転移したことにかすかな喜びを感じていた。自分の服装をチェックすると、パジャマではなく異世界の服装。腰には剣、左手には直接つける用の肩まである手甲(ガントレット)が付けてある。そしてあることに気づいた。


あれ?でもそれじゃあ、家族とは、雪とはお別れ?……まぁ良いか……いや、良くはないな。自由に行き来は……転移だし出来るわけはないか。いや、一応目の前の女の子に聞いてみるか。


***


おかしいです。なんだか私の知っているトキヤ様ではありません。こんなトキヤ様は一度も見たことがありません。なんだか雰囲気はいつもと似ているようですが……なんか違います。


それにさっきの言動も様子も変です。私や自分の姿を見てキラキラと目を輝かせたり、急に落ち込んだり考えたような素ぶりをしたり。


「あの〜」


ビクッ!


いきなりトキヤ様に話しかけられて、恥ずかしながら驚いてしまいました。いつの間にか、トキヤ様は私の膝から離れていました。少し悲しいですね。


「はい、なんですかトキヤ様」


いつも通りに言えたはずです。おかしい所など一切ないはずです。ですが何故でしょう?トキヤ様の顔が『えっ?』と驚いた顔になっています。


「と、トキヤ様?俺が?」


「はい。トキヤ様はトキヤ様ですが?」


トキヤ様は自分がトキヤ様と呼ばれることに驚いています。私はいつもの通りにそう返しました。ですが、トキヤ様は何か大事なことを考えるようにして、顔を伏せてしまいました。一体何か不備でもあったのでしょうか?


***


おかしい。『異世界転移したら、何故か美少女に膝枕で、いきなり様付け生活が始まってました』みたいな出オチ題を付けたいぐらいおかしいぞ。


まず、俺は異世界転移されたはずだ。なのに何故か服装は完璧に違うし、初対面のはずの美少女に様付けをされている。これは嬉しいけど。


名前なんてどうやって知られているんだ?俺の個人情報ダダ漏れ状態?はっ!もしかして俺の場合、転移じゃなくて召喚?なら、召喚したこの美少女が飼い主?

俺にM属性はないんだよな〜。


……待て。なら何故俺は様付けされている?本当に飼い主なら、俺に様付けを要求するはずだ。分からないぞ?一体どう言う状況なんだ?


もう少し情報が必要だ。でも、むやみに情報を渡すわけにはいかないし。でも、向こうは俺の名前を知っていた。なら、嘘をついてバレた場合が一番の問題だな。どうしようかな?


「……ねぇ。一つ確認したいことがあるんだけど」


「はい。なんですか?」


その美少女は、まるで俺のなんでも言うことを聞くレベルで親しく感じる。なら、多少違和感があっても大丈夫なはずだ。


「君と俺が初めて出会ったのっていつだっけ?」


どうだ?多少は怪しいが、断定して何かされるほどではないはずだ。初対面のはずなのに様付けされている理由にもなりそうだしな。どうだ……!


***


何故かいきなりする意味が分からない事をトキヤ様が聞いてきました。初めて出会ったのは半年前ですが、わざわざ今聞く理由です。


トキヤ様が忘れた?私たちとの関係を大事にするトキヤ様に限ってそんなことはあり得ません。それに、私のことをチワではなく、君と呼びました。この男はトキヤ様ではありません。


では、一体何者なのでしょう?トキヤ様の偽物?いや、匂いはトキヤ様本人です。違うのは雰囲気だけ……正確に言えば私の呼び方も違いますしね。それだけです。


「あなたは一体誰ですか?」


私はトキヤ様に……トキヤ様の姿をした男に、腰に携行していたトキヤ様から貰った短剣を向けて言った。


***


あっれ〜?選択ミスった?でも、知り合いかもしれない相手に明らかな敵対行動。そしてその違いに気づいたって事は、この美少女は俺が知る以前の俺を知っているって事になる。


……記憶喪失か?もしかして、俺はこの異世界に転移か召喚された。そして、こっちで色々あってこの美少女と仲間か何か親密な関係になった。そんで何かしらの影響で記憶を失った、みたいな感じか?でも、俺の体には外傷なんて一切ないな。まぁ、記憶は頭だからそこはあまり関係なさそうだけど。


さて、何も覚えていないって言ったとしても、信じてもらえるかどうか。この異世界じゃあ記憶喪失なんて認識すらあるのか怪しいしな。……でも、ここで嘘をつくほうがやばい気がするな。……正直に言うべきか。


「悪いね。俺は君の知っているトキ……トキヤ様じゃない。俺の名前は内山時也。ついさっき寝て目が覚めたらこの状況なんだが……君は俺の事を知っているみたいだね?」


自分で自分の事を様付けする事が恥ずかしくて少し詰まったが、言いたい事は言えたはずだ。お?この子の顔が驚いているところを見るが、何を考えているかはさっぱりだ。俺の情報をどこまで知っているかがカギだな。……俺の命運はこの子がいや、過去の……違う、未来の俺が握っている。未来だったり過去だったりでややこしい!


***


……この人は何言っているのだろう?時也?……つまり、トキヤ様?と同一人物という事になります。そして寝て目が覚めたら?……あっ!トキヤ様から聞いた事があります。『チワ、俺は寝て目が覚めたら平野に生えた一本の木の下に居たんだ』と言っていました。


つまり……トキヤ様は記憶を失った?……つまり、ここにいるトキヤ様は……私たちとの出会う前のトキヤ様という事に……なります。


『あぁ、俺もみんなが大好きだ。絶対に戻ってくる。だから帰ったらまた、みんなで俺の料理を食べよう。そうだな……豪勢なシチューでも作るか。楽しみにしててくれよな?』


トキヤ様が最後に言った言葉が思い出された。トキヤ様は言った。『絶対に戻ってくる』と。なら、私は信じて待つだけです。トキヤ様は嘘はつかない。記憶喪失だとしても、トキヤ様は絶対に帰ってくる。記憶を取り戻して、とても美味しいシチューを作ってくださる!


なら、今私がすべき事は……トキヤ様の記憶を取り戻すお手伝い。今のトキヤ様に状況を説明……する前に、後ろで寝ているルナさんたちに説明したほうが早いですね。そのあとで全員で考えましょう。


『ちょっと切り札を出す。チワ、ハズク。もしもの時はみんなを頼む』


トキヤ様はそうとも仰った。今回の状況はもしもの時に入るでしょう。今生きている状況もおそらく、トキヤ様が助けてくださったから。なら、私たちはトキヤ様の記憶が戻るまでの間、今までの恩返しも兼ねて、トキヤ様をお守りする番です。


チワはそう心に誓った。


「トキヤ様、しばらくお待ちください。少し仲間たちと相談しないといけないので。トキヤ様の身はご安心してください。私たちが命に代えても守りますので」


私はトキヤ様にそう言った。トキヤ様の顔が少し赤くなっている気がするが、どうせトキヤ様の事だ。記憶の無い自分を助けてくれるという事なので、少し舞い上がっているだけだろう。


チワはそう考えた。


まずはルナさん、アクシオスさんを優先して起こす。トキヤ様の事だ。おそらく無いと思うが、一応傷の確認をする。外傷は無いが、内傷の可能性も考えねば。


私はそう言って、一旦トキヤ様から立ち去った。


***


俺の目の前の美少女は、俺の答えを聞いて少し考えたあと、優しくまるで迷子の子の親を探すような雰囲気で安心させるかのように、俺の両手を両手で握りながら笑顔でそう言った。


よく分からないが、とりあえず俺の記憶喪失の話は信じてくれたって事で良いだろう。仲間と相談って事は、あの子以外にも仲間がいるんだろう。


良い人たちだといいな。俺はそう考えながら、俺を信じてくれた美少女の後ろ姿を目で追った。とても可愛かったな。俺のあの子に対する第一印象は最初から最高だった。


……あれ?あの子……尻尾が生えている。よく見たら犬耳もあるし。亜人なのか……俺ってケモミミ趣味は無かったはずだけど……こっちで目覚めたのか?……過去……未来の俺よ。出来るだけまともな性癖を持ってくれよ。


俺は俺の仲間が自分の性癖が歪んでいないかで、胃がキリキリとして不安になった。……ちょっと待て、何か重要な事を聞き忘れたような……。


名前聞くの忘れてたぁぁぁぁぁぁぁ!!!


俺は地面に座り込んで頭を抱えこんだ。

少しだけトキヤの性格が変わっています。理由としては、ダグラスに騙される前だった。出会いかたの違いなどですね。異世界で最初に助けられるか、騙されるか。この違いが現れています。


美少女というトキヤの認識ですが、これは今のトキヤも持っていますが、トキヤは娘という感覚で認識している(させている)ので、別に性癖に変化があった訳ではありません。ケモミミ趣味はこっちで目覚めました。


ちなみに今回の記憶喪失の理由ですが、2回目の『狂化』の代償+白殺虎とハクちゃん、フード仮面の男の正体を知ったことへの現実逃避が原因です。


さて、記憶を失ったトキヤは一体どうなるのでしょうか?具体的には作者にも分かりません!お前プロットはあるって言ったじゃないか!って思っている読者の皆様に言います。


私のプロットは有名作品で例えるならば、《七つの光る願い玉を集める》ぐらいです!さすがにもうちょっとありますが、大体これぐらいです。……やめてください!そっとブクマを外すのはやめてください!逆はもちろんウェルカムです!


さて、今回の記憶喪失で、物語は少しだけ振り出しに戻ったような感じがします。一応仮章名《記憶喪失編》の次が、区切るとしたら最終章になりそうです。

ぜひ、最後までお付き合いくださいますようお願いします!


面白かったら感想、誤字脱字報告、ブクマ、ptお願いします。

あと、私のもう1つの連載作品の

『普通を求めて転生したら、剣の勇者の息子で杖の勇者になっちゃった〜剣技と魔法で最強〜』

も、是非読んで見てください。

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