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目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜  作者: どこでもいる小市民
第四章〜バルトロールダンジョン編〜
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久しぶりの戦闘、バルトロールダンジョンにて

「着いたわー!」


ルナが大きな声で叫ぶ。俺たちはバルトロールの町に着いた。見た所、王都とカンラン村の中間ぐらいだ。


俺たちは馬車を置き、ハクニー達を休ませ、宿を取る。ちなみにアランとヘプトさんは宿代と食事代は出されているが、それ以外は全部実費だそうだ。一刻も早く終わらせねば!


「トキヤさん、バルトロールの町は昔、バルトロと言う人が開いた町なんです。体がとても大きい人で、開拓から何まで自分1人でやっていたら、自然と周りに人が集まったことが、この町の起源とされています。ちなみに、この町で共同作業をすると、永遠に結ばれると言う逸話がありましてーー」


興味が無かったので省略する。そんなことよりも、バルトロールダンジョンだ。準備は万全だし、早速行こうと考える。


「ヘプトさん、バルトロールダンジョンはどこなんですか?」


「ーーなんですよ。あ、バルトロールダンジョンは、あちらをさらに行ったところですね。出来るだけ早めのご帰還を」


俺が尋ねると、何故かチワとルナが熱心に話を聞いていた。ハズクは聞いていなかった。チワとルナはそういうのに憧れる年頃だからだろう。ハズクは……知らないな。


バルトロールダンジョンは、バルトロールの町から、歩きで30分ほどの距離だった。


「……初のダンジョン、なんだか緊張するな」


「え?トキヤ様って緊張することあるんですか?」


「普通にあるよ!俺をなんだと思ってるんだ⁉︎」


俺が心の声を漏らすと、チワがそんなことを言う。本当に一体なんだと思ってるんだ?


さて……バルトロールダンジョン。300年ほど前に、バルトロールの町を開拓したバルトロが最初の発見者、並びに攻略者だ。ダンジョンと呼ばれる中では、最も簡単と言われるほどの難易度で、最下層ですら、Cランク程度の魔物しか出ない。


わかりやすく言えば魔猪、魔狼あたりだ。パーティランクはEランクだが、ヘプトさんから言わせると、俺が4人と仮定する場合、最下層でもギリギリ死ぬかどうからしい。なら俺と、俺よりも強い3人なら行けるんじゃね?と思い、結局行けるところまで行こうという話になった。


ちなみに目的の灰色狼(グレイウルフ)は、中層あたりに生息し、大体D〜Eと比較的雑魚だ。魔物にしてはだが。このクエストをクリアしたなら、Dランクへ昇格できる可能性は限りなく高いと言われた。


ちなみに宝物?とかはあったらしいが、全て取り尽くされている。今は修練の場所として有名だ。


そうそう、一番説明の大事な部分を忘れていた。ダンジョンとは、主に地下にある洞窟みたいなものを指す。上層、中層、下層、下層の中の最も深い場所、最下層の4つに分かれている。


ちなみにバルトロールダンジョンは、比較的新しく出来たダンジョンらしい。とは言っても、ダンジョンは2、3、400年ほど前に、突如として現れた物らしい。


以降、一度も新しいダンジョンが出来たことは無く、原因はこのままでは、永久に不明だそうだ。出来た年代が曖昧なのは許してあげてほしい。


俺たちはバルトロールダンジョンに入る。


ぞくっ!


なんだ?一瞬誰かに見られたような?……気のせいか?そうそう、昼間だが洞窟は暗いな。たいていの冒険者はランタンを使うらしい。俺の場合は


『火よ。辺りを照らせ。《灯火》』


そう言うと左の掌から、ランタンみたいな火が出る。これは俺の魔力が続く限り消えない。そして、今日は魔法をあまり使わないと、みんなに話してある。理由は魔法ばかりに頼りすぎると、剣の腕や体が鈍るからだ。


俺の場合、剣も魔法もどちらとも強くない。そんな奴がどちらかだけを極めたところで、同じく極めようとしているチワ、ルナ、ハズクほどは行けない。ただの劣化版が出来上がるだけだ。なら、俺はどちらもこなせるオールラウンダーになろうと思った。


ちなみに4人の隊列だが、俺は明かり担当で一番前、その次にスキル『超聴覚』をもつ、チワの索敵担当。その次にハズク。一番後ろにに、後方魔法支援担当と、ランタンを持つルナを配置、基本的に、俺とチワは役割があるので、ハズクを主力として戦う。


特に俺は、《灯火》を使っているので、盾を持てない。ある程度の広さはあるが、タンク役が居ないのは厳しいだろう。


だが、それは上層だけだ。中層に行くと、辺りを発光するクリスタルが至る所に埋め込まれているからだ。そこに行くと、《灯火》とランタンも要らなくなる。


「トキヤ様、何かいます」


「分かったチワ。全員、周りを警戒して」


チワの耳索敵に何かが引っかかる。チワはどんな動物、魔物かの知識が無い。そのため、何が来るかまでは分からない。これらを是非覚えてほしい。


現れたのは兎だ。でも、一本のツノが生えている兎だが。確か名前は……角兎(ホーンラビット)。聞いた話じゃ最弱の魔物ランキング一位を、スライムと争っているレベルだ。冒険者の間で。


ちなみにスライムもダンジョンにも生息している。ちなみに女性冒険者の討伐数は最低レベルだ。察してくれ。つまり、今回出てきた場合も、俺が1人で……察してくれ。


「さて、戦闘開始!」


「はい!」

「分かったわ!」

「了解です!」


俺がそう言うと同時に3人はそう返事をする。そして、角兎へと向かって行った。


2分後、20匹目を倒し終えたところで、角兎の襲撃は止んだ。みんなで魔石を採る。一応魔物なので、肉は不味いらしい。


死体は放置しておけば、他の動物や魔物が食べてくれるので、良いらしい。匂いも何故か籠らない。ダンジョン共通の効果らしい。


もうすぐで、中層に行く階段がある場所に到着する手前で、ついにあの魔物と遭遇したのだ。そう、スライムと。


「トキヤ様(ご主人様)、頑張ってください!」

「トキヤ、絶対に負けないでよ!」


3人は、チワが発見すると一目散に俺を置いて逃げた。そして、遠くから応援してくれる。嬉しいけど、それ以上に心が傷ついた。


スライム、半透明でぶよぶよしている。生まれた時から固有スキル『物理的耐性』を持っている。逆に魔法に対する耐性は非常に低い。


ルナなら一発で倒せるだろうに……それでも、嫌なんだろう。


「我が火よ。球となりて、敵を焼き尽くせ《火球》』


《火球》はスライムに命中する。スライムには1つだけの、小さな核がある。それを壊せば良い。結果、スライムを倒した。


「トキヤ様、お見事です……いふぁいです、トキヤしゃま〜〜!」


とりあえず、近づいてきたチワの両頬をつねる。


「お前、俺を守るとか言っておきながら、なに1番に逃げてんだよ」


俺はつねるのをやめ、チワの言い訳を聞く。


「スライム相手に女の子を向かわせるなんて最低ですよ?女心が分かってないですね」


「女心とか久しぶりだな。後、お前はそれを言い訳に使い始めている気がするが?」


「気のせいですよ」


……はぁ、甘やかしすぎたか?そして、中層へ降りる階段が見えた。


「みんな、こっから先は中層。スライム出ても、さっきみたいなことはやめてくれよ?この中じゃ俺が一番弱いんだから」


「絶対に逃げませんよ!安心してくださいトキヤ様!」


イラっ!……落ち着け。おそらくチワはみんなを和ませようとしてくれているんだ。昨日からルナはなんか元気無いし、ハズクもダンジョンなのに、やはり昼間だからか、元気があまり無い。場の空気を読んで、チワはそうしているはずだ。俺が壊すわけにはいかない。


「そうかそうか、ありがとうな。中層からは、明かりを必要としない。だから、俺は盾を持つ。ルナもランタンを持たないから、片手が開く。敵は強くなるが、俺たちもその分強くなる。だから、緊張せずに行くぞ」


「はい」

「うん」

「了解です」


さて、ルナの元気のなさは後で聞くとして、やっぱチワとハズクのいる場所じゃまずいよな?


そんな事を考えていたら、中層に着いた。前には3つの道があった。この匂いは……。


「トキヤ様!血の匂いです!」


「それは俺も分かる。一番濃い匂いの場所はどこか分かるか?」


「向こうです」


チワは3つある道のうちの一番右を指差す。そこから出てきたのは、血まみれだが灰色狼だった。それが6匹。俺たちを見つけると、1匹がすぐさま飛びかかってくる。それを合図に灰色狼との戦いが始まった。


ガン!


「はぁっ!」


一番最初に動いたのは俺だ。灰色狼を盾で受け、そこをすかさずチワが短剣で首を一刺(ひとさ)しで殺す。動きは狼よりは素早いが、それでも魔狼には及ばない。今は俺一人では無く、4人パーティだ。これぐらいなら大丈夫だろう。


『水よ。球となりて、圧縮せよ!目の前の灰色狼を貫き倒せ!《水球打》!』


ルナが後方に控えている灰色狼5匹に向かって、10発の《水球打》を一匹につき、2発ずつ打つ。灰色狼は2匹が避けきれず、うち1匹は脳をやられて即死だ。もう1匹は前足を片方やられている。


残りの避けた3匹は左に二匹、右に一匹で、俺とチワを避けてルナを狙った。ルナは遠距離魔法使いだから、近距離は出来ない。故に近づかれたら終わり。その弱点はルナが一番知り尽くしている。


「チワ!右を!」


「はい!『風よ。矢に纏いて、的を射て!《風付与》』」


チワは弓を引き、矢に《風付与》をする。そして、一度で三発の矢を放つ。スキル『命中精度アップ』のおかげか、実力かは分からないが、すべての矢が命中した。


「チワ!左を援護!」


「はい!」


そう言うと、チワは右の二匹の方に集中する。その間に、チワの矢で弱った灰色狼と戦う。動きは遅くなっている。俺の周りをぐるぐると回る。


そして、飛びかかってくる。俺はしゃがみこんでそれを避け、腹に盾でパンチを食らわせ、少し浮かんで隙間が出来たところに剣を突き刺し、そのまま腹を斬る。


「うっし!」


そう言い喜びに浸る。そして、直ぐにチワたちの方に向かう。見ると、灰色狼2匹を相手に、ハズクは互角以上の戦いをしている。いや、もうすぐ勝つぞあれ。


チワも弓を引いたは良いが、『放っていいのか?』と考え、『大丈夫だと思うが一応念のため』と、弓を引いたまま硬直している。


そうそう、ルナの近接戦はハズクに任せた。ハズクはこのパーティでは、唯一魔法を使えない。魔法しか使えないルナと組ませ、お互いを補わせた。


ハズクの武器は体術だ。手にはグローブをはめている。ナックルダスターと言うものらしい。そしてハズクの体術の中でも、特に蹴りがやばい。靴は履いているが、その隙間から爪が出ている。尖っていて鋭く、蹴られたら血まみれだろう。一応、チワ同様に短剣も所持しているが、使う機会がなさそうだな。


本当なら、バランスを考えて槍とかを持たせたかったが、ハズクは体術しか出来ないので、こうなった。結果的には正解だったが。


そして、ハズクはあっという間に灰色狼2匹を倒してしまった。倒した灰色狼の魔石を回収する。その後、追加で2匹の灰色狼の魔石を採り、合計で灰色狼8個の魔石をゲットした。ちなみにスライムは核が魔石の代わりなので、スライムの魔石は存在しない。


当初の目標は後、1匹で完了する。クエストの依頼数の5個。それに、パーティの人数分も持って行けば、割引で魔法剣を武器屋は売ってくれるそうだ。


鍛冶屋に頼むので、時間は少しだけかかるそうだが、それでもありがたい。それに、魔石は短剣にも当然できるので、チワやハズク、ルナ達にも持たせたい。だから残り一匹を見つけて魔石を採り、バルトロールの町に急いで帰り、アランやヘプトさんと合流する。


その前に飯を食べた。俺は灰色狼の肉で料理を作っている間、他の3人は見張りをし、出来上がると一人ずつ食べて、他の3人が見張りをする。じゃんけんの結果、ルナ、俺、チワ最後がハズクとなった。ハズクは自分から最後を申し出た。


『俺が最後でも良いんだぞ?』と言ったが、『本当に大丈夫ですよ、ご主人様』と言われては何も言えなかった。



そして、ハズク以外の3人がお腹いっぱいまでとはいかないが、食べ終わったところで、ある人物が動いた。その人物は俺の後ろに回り込み、俺の首に短剣を近づけこう言った。


「今日までありがとうございました、ご主人様。そしてさようなら」


と。

面白かったら感想、誤字脱字報告、ブクマ、ptお願いします。

あと、私のもう1つの連載作品の

『普通を求めて転生したら勇者の息子だった件』

も、是非読んで見てください。

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