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目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜  作者: どこでもいる小市民
第三章〜白殺虎との遭遇編〜
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足取りの重い帰還、ニーナちゃんへの真実の打ち明け

現在、俺はハクちゃんに乗って、王都を目指している。両腕にはニーナちゃんが眠っている。足を置くところに(あぶみ)が付いているのでなんとかバランスは取れている。そして俺は先ほどの出来事についてずっと考えていた。


なんでガストさんやヤン、他の村人たちが死んだんだ?なんで俺はあの時生き残った?あの時なぜ俺は白殺虎に顔を舐められた?なんで村人たちの顔だけは食べられていない?なんで……死んだんだ?……俺は冒険者だ。動物や魔物を狩って生きる職業だ。なら……俺が命をかけてでも、殺すべきだったんじゃないのか?他の人たちが喰われる中、俺だけが喰われなかった事実から見るに……白殺虎には俺を攻撃できない何かしらの理由があるはずだ。なら、俺が攻撃をしても向こうは反撃ができなかった可能性だって……。


「分かってる。こんなのは自分の妄想から来る理想論だって。でももし俺があの時動けたなら……村の人たちは、ガストさん、ヤンは助かったかもしれないんだ!……なんで助けられなかったんだ?……俺が……弱いからか?……くそ、くそ!くそ!」


ポタ、ポタポタ


俺はそこで、涙が出ていることに気づいた。それを手で拭う。


なら、俺がもっと強かったなら……あの時ビビらずに白殺虎に挑めたかもしれない。なら俺は!強く!もっともっと強く!強くなりたい!……いや!強くなる!絶対にだ!それに……白殺虎はチワの故郷の仇でもある!


「……絶対だ……絶対に強くなって……あの時に情け?をかけて、俺を生かしたことを……後悔させてやる。……何年かかっても必ず……殺す。待っていろよ、白殺虎……」


俺はそう静かに呟いた。


それから二時間程度時間が経った。川が見えるようになったので、その場で一度休憩を挟む。時間は既に朝日が昇っている。そして、俺が恐れるその時間はやって来た。


「ぅん?……ふぁーあ、あれ?ここどこ?……あ、トキヤお兄ちゃん、ここどこ?」


「……ここは……バロン王国とカンラン村の途中にある川だよ、ニーナちゃん」


「私どうして川にいるの?あとね、お爺ちゃんは?……トキヤお兄ちゃん?」


俺は涙を浮かべてニーナちゃんを抱きしめた。


「えっ⁉︎と、トキヤお兄ちゃん?どうしたのいきなり?えっと、なんで泣いてるの?」


ニーナちゃんは困惑した様子でオロオロしている。いきなり抱きつかれたし当然なんだろうが。しばらくして、抱くのをやめて、ニーナちゃんの両肩を両腕で掴み、ニーナちゃんの目をしっかりと見る。


その姿に幼いながらに何か感じたのだろう。向こうも真剣な顔つきとなる。その姿に、俺は決心を固めて言った。


「ごめんね、ニーナちゃん……ガストさんは……もう居ないんだ?」


「…………え?…………どう、言う事なの?お爺ちゃんは居ない?それって今、この場所にはって事だよね?お家帰ったら、お爺ちゃん……いるよね?だって……言ってたもん、私が素敵なお嫁さんになって、結婚式するの見るまで絶対生きるって!言ってたもん!……言ってたもん……」


「……ニーナちゃん、落ち着いて聞いてほしい。カンラン村は『やだ!お爺ちゃんは私が結婚するまで死なないもん!どうしてトキヤお兄ちゃんはそんなこと言うの?そんなこと言うお兄ちゃんなんて大っ嫌い!』」


「……ニーナちゃん……カンラン村は……白殺虎の襲撃にあったんだ。だからもう……ガストさんは……生きてはいない」


「嘘だ!嘘だ!お爺ちゃんは死なないもん!絶対絶対死なないもん!トキヤお兄ちゃんなんて……大っ嫌い!」


そう言ってニーナちゃんはカンラン村の方へと走って行く。


「ニーナちゃん!」


俺は急いで追いかける。当然すぐに追いつく。肩を掴む。


「離して!お家に帰るの!お爺ちゃんに会うの!」


ニーナちゃんはそういって聞かない。この年齢で家族が全員居なくなったなんて辛すぎるだろう。再度、両肩を掴み、ニーナちゃんの目を見る。


「ニーナちゃん!……ガストさんは……死んだんだ!

俺は何も出来なかった!でも、その事を早く国に伝えることは出来る!もしかしたら、他の村もこうなるかもしれない!でも、その事を伝えることで、ニーナちゃんみたいな人を作らないことは出来るかもしれないんだ!……だから……お願いだから、一緒に来てほしい」


俺はそう言った。ニーナちゃんは目を涙を浮かべて、こちらを見る。その涙をゴシゴシと拭いて


「分かった……トキヤお兄ちゃん……」


「ありがとう、ニーナちゃん」


納得はしてないが、とりあえず俺の言うことは聞いてくれるようなので、お礼を言った。


それからニーナちゃんは大人しかった。まず、喉が渇いたらしいので、川の水は綺麗だが、念のために水属性の魔法で水を出して、コップに入れて飲ませた。荷物は無事だったので良かった。魔法には目をキラキラさせていたので、冒険者を目指しているのは本当だったのだろう。


それからしばらくしてハクちゃんに乗り、ニーナちゃんは俺の後ろに乗る。しっかり捕まらないと危ないと言ったが、服の両横部分をちょこっと掴むだけだった。恥ずかしいのかな?


それからニーナちゃんの体力も考えて、何度か休憩した。それでも、この事は出来るだけ早く伝えるべきだと思ったので急いだ。


そしてついに王都に到着した。日が沈みかけだったので良かった。そこで城門前にいる見張りの騎士に止められる。最近は商人がよく出入りしているが、もうすぐ夜のためか居ない。


「そこの青年止まりなさい。この王都には通行料として、一人につき銀貨一枚が『んな事どうでもいい!カンラン村って知ってるだろ⁉︎そこが恐らく白殺虎と思う奴に襲撃された!詳しいことは後で話すから、とりあえずここにいる中で一番偉い人呼んでくれ!』なっ!それは本当か⁉︎おい!隊長を呼んでこい!急げ!」


俺は通行料の催促を遮り、伝えるべき重要な事を話しが通りやすくなるように言った。そのおかげで周りは混乱しながらもすぐに話し合いの場所が用意された。

ニーナちゃんは別室で待機だ。


出て来たのは2人。1人目は先ほどの見張りの騎士だ。髪を女性みたいに長くしている。細身でメガネを掛けていて、オッドアイで、三十路手前ぐらいの年齢で、ぱっと見の第一印象は参謀クラスの副隊長……かな?


2人目は豪快な性格をしてそうな見た目の、身長が2メートルほどはあるだろうと思わせる巨体の四十代ぐらいのおっさんだ。


「隊長、こちらの方が白殺虎を目撃した、との事です」


「そうか……見たところ、腕はまだまだだが、目を見ると凄いな。『強くなる』って気合がガンガン伝わってくる。鍛えればある程度まではいけるぞ」


「ちょ!隊長!失礼ですよ!すいません、うちの隊長が」


「いえ、才能がないのは自覚しております。それにほとんどがそちらの隊長さんの言った通りです。それよりも、白殺虎の事です。その事は今から自分の知る限りすべて話します。まずーー」


そうして、俺は起こった事を話し始めた。

面白かったら誤字脱字報告、ブクマ、ptお願いします。

あと、私のもう1つの連載作品の

『普通を求めて転生したら勇者の息子だった件』

も、是非読んで見てください。

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