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目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜  作者: どこでもいる小市民
第三章〜白殺虎との遭遇編〜
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奴隷商再び

「久しぶりだな、奴隷商。また来たぞ」


口調は少し威圧的にだ。舐められたら足元を見られる。久しぶりに来たが相変わらず人があまり見当たらないな。奴隷を管理している人が数人だけ。客がいないのはおそらく昼間からここに入ると、周りから変な目で見られるからか……?俺の場合は、初めの時はあまり人の目なんて気にしてなかったな。今回はハクちゃんがいるから大丈夫だろ。


「おや?……これはこれはお久しぶりですね、お客様。本日はどの奴隷をお求めですかな?」


奴隷商人は俺がまた新しい奴隷を買いに来たと勘違いした。


「悪いな。今日は奴隷じゃ無くて、魔物紋を刻んでほしい奴がいてな。幾らだ?あいにく今は金があまり無くてな。相場だけ聞いて帰るかもしれん」


「そうですね……銀貨3枚です。主人紋に登録させるので、また貴方の血が必要になりますが」


「分かった。連れてくるから少し待っていろ」


「少しお待ちください。後ろにいる亜人はあなたの奴隷ですかな?どこでそのような上物を手に入れたのか教えていただきたいのですが?ちなみに私のところで買い取るなら、金貨10枚でどうでしょう?処女でしたなら金貨15枚で」


金貨15枚!豪遊できるぞ!……チワが若干こちらを睨んでいるような感じが、視線がある。絶対売れないな。売るつもりなど毛頭ないが。


「はぁ?お前のところから買った奴隷だよ。こいつは育てたら高く売れそうに見えたからな。安く買わせてもらったよ。あんがとさん。それに俺はこいつを売るつもりなんて毛頭ない」


「なんと!あの時の奴隷がまさか……失敗しましたね」


「少しだけ見る目には自信があるんだ。まぁそうだな。またいつか、どの奴隷かは分からないが売りに来るかもしれない、ということだけは言っておく」


そう言った。こうしておけば俺をお得意様と見てくれる可能性があると思ったからだがな。そうして俺たちはここの入り口へと戻った。


「トキヤ様、私の事じゃないですよね?売ったり……しませんよね?」


チワが出ると途端に、さっきの事について聞いてきた。


「当たり前だ。あぁ言っておけばお得意様になれると思ってな。これで騙される心配も無いだろう」


「そう……ですね。私はトキヤ様の事、信じてますから」


「そっか、ありがとうな」


そう言ってチワの頭に手をポンと置いて撫でる。


「えへへ〜、ありがとうございます」


尻尾を振りながら礼を言ってくる。お礼の理由は絶対に売らないと約束したからだろう。


「……トキヤ。もういいかしら?」


ルナが両頬を膨らませてこちらに来た。


「別に待たなくても良かったぞ?それでルナの方には何も無かった?」


「……はぁ〜、別に何も無かったわよ」


「そうか。それじゃあハクちゃんを連れて行ってくるから……ここでまた待つんだよな?」


「ええ、あんな所にあんまり入りたくないもの」


「そっか……悪いなルナ。後で……何か買ってやるよ」


「ふ、ふん!もので釣ろうったって」

「そうか、じゃあいらないか?」

「なっ!い、いるわよ!欲しいわよ!」

「冗談だ」


その時服の袖をくいっと引かれたので見ると、チワがこちらを見て


「トキヤ様?私には何か無いのですか?」


と、言ってきた。そう言えばチワにもお小遣いとか、渡したことなかったな。……チワにも買ってやるか。つまり、ハズクにも何か買う……お金足りるかな?き、気にするな俺。お金はまた集めればいい。大事なのは、みんなの幸せだ。安いもんさ。そう自分を納得させた。


「話がズレたな。向こうも待っているだろうから、ハクちゃん、こっちにおいで」


そう言うとハクちゃんは俺の方に来て、顔をすり寄せてくる。思えばよくこんなに懐いたな。元の主人を殺したのに。酷使されたのかな?なら、そのぶん一生懸命可愛がってやるか。


そう考えて、奴隷商人の元に戻る。


「悪い、ちょっと遅くなったな。こいつに刻んで欲しい」


そう言ってハクちゃんを見せる。


「ほう……ハクニーですか。一応言っておきましょう。金貨110枚でどうでしょう?」


「断る」即答だった。……ダイガスが金貨100枚って言ってなかったか?


「そうですか……お客様、そのハクニーは大変珍しいですね。ハクニーは魔物の中でも比較的安全ですが、そこまで人に懐くと言うのは、数えるほどしか例がないと思われます。もしもの時は是非うちに」


「そうか。そんなことよりも、さっさと魔物紋を刻んでくれ。時間は有限、金では買えないんだ」


なるほど、ハクニーの中でもここまで人に懐くのが、珍しいからか。


「ほう、いい言葉ですね。時間は決して金では買えない物の1つです」


「いいからさっさと準備をしろよ」


「はい。畏まりました」


短剣で指を切って血を出し、特殊な液体と混ぜてハクちゃんにかける。そして、ハクちゃんのステータス画面が出た。後で確認しよう。そうそう、なんか色々称号とか手に入れた時に、聞こえる声はオフにした。うるさいからな。スイッチみたいだ。当然、チワにもそうしてある。


「良し。銀貨3枚だったな?ほら」


そう言ってお代を渡す。


「お客様、ついでに奴隷を1つどうでしょうか?」


「今の所奴隷は1人も要らないな。また必要になったらここに来る」


お得意様アピールだ。こう言っておけば、具体的に使う予定は全然無いが、色んな人との繋がりを持つのは

後々便利だろう。


「さようですかお客様。……お客様は何者なんですか?」


唐突に奴隷商人が聞いてきた。普通の日本人なんだけどな……。


「それをお前に教える必要はない。ただ、初めは安い奴隷を買い、今度はハクニーを連れてくる。これが異常なのはこちらも承知済みだ。その上でまだ俺の素性を聞きたいのか?」


「……はっはっは、良いですねお客様。私とても気に入りましたよ。是非またのご来店を」


……どこに気にいる要素があったんだ?奴隷商人の頭の中はよく分からないな。そう考え、無言で手を振りながら俺たちはここを出た。

面白かったら誤字脱字報告、ブクマ、ptお願いします。

あと、私のもう1つの連載作品の

『普通を求めて転生したら勇者の息子だった件』

も、是非読んで見てください。

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