表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜  作者: どこでもいる小市民
第三章〜白殺虎との遭遇編〜
46/158

2人の裏切り者?

「……良いよ、聞かせて」


愚痴か。……一体俺のどんなダメなところを指摘されるのだろうか?もしや、カンラン村から帰ってくる時に、チワの胸が当たって内心喜んでいた自分の事だろうか?それとも偶にハズクの胸に視線がいくことだろうか?それとも両方かそれ以外か。


「私は…………役に立っているでしょうか?」


チワは自分の存在意義について聞いてきた。


「役に?立ってるよ、めちゃめちゃ役に立ってるじゃん」


マジで役に立ってるしな。だが、自分の奴隷とはいえ人を、チワを役に立つかどうかなどは思いたくは無いな。


「ありがとうございます……でも、昨日だってハズクさん相手にはトキヤ様を守るのが奴隷の役割なのに……それを守れないどころか逆に守ってもらいました。そして私が勝てなかったハズクさんにトキヤ様は勝ちました。私は本当に役に立っているのですか?」


あぁそう言うことか。昨日チワはほとんど役に立たずに倒された、みたいな認識なんだろう。それにチワはモデルが犬だから忠誠心が強い。だから余計にそう言うことに敏感なんだろうか?


「ああ。さっきも言ったけど、チワはちゃんと役に立ってるよ。それに俺は人を役立つか、立たないかで自分の側に置く事はしてないよ。いや、正確にはしてるけどな」


わざわざ、嫌いで嫌な奴を側に置こうとは誰もしないはずだし。


「つまり……私は役に立っているのですか?」


「そうだ。だからさっきから言ってるじゃん」


「あの……一体何にですか?」


そう言ってチワは俺の肩に触れるほどの距離まで近づいて来て、上目遣いでこちらを見てくる。目には涙の跡があった。そっと一応持っておいたハンカチで、チワの涙を優しく拭う。買っておいて良かったー、本当マジで。


「まず、チワといるだけで俺の心は幸せになれるぞ」


「え?……ほ、他には何がありますか?」


下を向き、頬を赤くしながら聞いて来るチワ。


「他は……魔猪と盾男、じゃなくてハイドだったか?その時にチワが居なければ俺は死んでたよ。ハズクの時だって、チワが知らせてくれなければ俺が殺されてたと思うし。何よりも……チワと出会ったあの夜、チワが居なかったら俺はどうなって居たか……想像もつかないな。今後も……もっとチワには頼る日も来るだろうし。今思いつくのだけで俺は確実に3回、3回も命を助けられているよ。これで役に立たないなんて思うわけないだろ?」


「…………ひっく」


「ん?チワ、どうした?」


「い、いえ……嬉しいだけです……ですから……泣いてなんていませんよ。偶然目にゴミが入っただけです。本当ですから」


そう言って目を手で擦るチワ。またベタな言い訳を言う。こっちにもそう言うのはあるんだな。


「そうか、でもあまり目は擦るなよ」


こちらに角膜が傷つくと言う認識があるのかは知らないが、一応言っておいた方が良いだろう。


「は、はい」


そう言ってチワは服に付いている胸ポケットからハンカチを出して……ハンカチ持ってんじゃねーか!何だそれ!……まぁいいか。チワも忘れてただけだろうし……忘れてただけよな?もしやこれにも女心が関係あるのか?いや、それは考えすぎだろう。幾ら何でも最近言われるのが多いから意識し過ぎなだけだな。




「それじゃあチワ。他には言いたいことは無い?」


「はい、今回は私なんかのために時間をいっぱい使って下さり、ありがとうございました」


立ち上がり、そう言ってチワは頭を下げる。俺も立ち上がり、頭を撫でて


「気にするな。またいつでもチワの愚痴ぐらい聞いてやる。だからもう我慢することなんてないぞ。そう言うことは全部俺に言え。必ず何とかしてやるからな。何てったって、俺の生きがいの1つはチワ……お前なんだからな」


と、チワに言った。


「なっ!、ななななっ!と、トキヤ様!」


「な、何?」え?怒らせるようなこと言ったか?


「……そう言うことは絶対に他の人に言わないでください。これも約束に加えますが良いですか?」


「い、良いけど……何で?」


「何でもです!えーと……女心です!」


「なに⁉︎これもなのか⁉︎」


驚いたぞ。まさか今のに女心が関係あるのか?俺はただチワに悲しんで欲しくなくて『俺も力になるよ』的なこと言っただけなのに……あれ?もしかしてチワは他の人は助けたらダメだって言ってるのか?それはダメだろ。


「チワ、その約束は出来ない。人助けを止めることなんてな」


「へ?……ひ、人助け?ですか?……わ、わかりました。それなら仕方がないですね。でも……トキヤ様、少しは女心を考えて行動してくださいね?」


「分かってるって。安心しろ」


「はぁ〜、ダメそうですね」


チワにため息を吐かれながらダメだと一刀両断された。幾ら何でも酷くね?


「ところでトキヤ様」


「どうしたチワ?早速言いたいことがあるのか?良いとも、何でも言いなさい。俺が必ず何とかしてやろうじゃないか」


「はいっ、ありがとうございます。良かったです。時間が残り20分しか無いので、ルナさんとの待ち合わせには遅刻確定ですね。ですので全部トキヤ様の所為にしますね」


「チワさん、さっきの誓いは無かったことにしよう。そして一緒に謝ろうか。な〜にルナだって全力で謝れば許してくれるだろう」


「トキヤ様トキヤ様」


「何だい?チワ君、さぁパンを咥えて走ろうじゃないか。一度やって見たかったんだあれ」


「多分ですけど女心が関係するので、ルナさんは一日中不機嫌になると思いますよ」


「何ーーーーーー!!!!!」


そして急いでパラパの実の皮で見た目をウサギ型にしたのに、それを楽しむ事なく急いで口に放り込む。チワは勿体なくて食べれないとか言っていたから俺が代わりに食べたら不機嫌になった。何故だ?


そして俺は剣と盾を持ち、チワは短剣に弓矢を持つ。

パンを咥えて走ろうとしたところでハズクがいない事を思い出し、探そうとして扉の前に一枚の張り紙が貼ってあることに気がついたので読んで見たらハズクからの手紙だった。なになに?


『遅れてルナさんに怒られるのが嫌なので先に行ってまってます。急いで来てくださいね。ご主人様の愛するハズクより❤︎』


グシャ!手紙を握りつぶす。ルナの家まではここから約40分掛かる。前は30分だったが宿を安くしたため、場所が離れたのだ。


「さて……急ぐぞチワ。ハズクの奴、俺たちを置いて自分だけ助かろうとしてやがる!」


「えぇーー!ハズクさん、それは幾ら何でも酷すぎです!トキヤ様、悪いですけどお先に行きますね」


そう言ってパンを咥えて先に出て行くチワ。お前も大概だぞおい!


「ちょっ、待てよ!俺を置いて行くなよ!」


そう言ってパンを咥えながらダッシュでルナの家に俺たちは向かって行く。


だが時はすでに遅し、着く頃にはルナの顔が歪んでいる事を容易に想像できた俺の足取りは重かった。

面白かったら、誤字脱字報告、ブクマ、ptお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ