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目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜  作者: どこでもいる小市民
第三章〜白殺虎との遭遇編〜
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忘れ物

違いますよ?告白って言ってもあっちのですよ。

「……キヤ様。トキヤ様起きてください!」チワの声がする。


「んぁ?……」


そんな変な声を出して俺は起きた。目の前にはチワが俺の方のベッドの近くに来て俺を起こしてくれていた。窓の外から朝日が差し込んでくることから今は朝だということが分かる。


「チワ〜今何時?」


「ルナさんと出会う2時間前ぐらいですよ。ここからは30分ほどかかりますので急いでください」


そう言ってチワは俺の布団を剥ぎ取る。『あと五分だけ』などと言っていたら……いや、どっちみち起こされていただろう。


「そっか、今起きて飯作るわ。あれ?……ハズクはどこ行ったんだ?」


隣の2人が寝ていたベッドを見るがそこにハズクの姿はすでになかった。ん?尻尾が下がった。何故だ?


「あっ、ハズクさんなら水浴びに行っています」

「朝からか?」

「はい」

「そうか」


あいつ意外と綺麗好きなのか?それよりもいつものに着替えてご飯作って食べて早く魔道具屋に行かなければルナがうるさそうだ。


「じゃあその間に昨日買っておいたパンとバター塗ってパラパの実を剥いてうさぎにでもするか」


昨日買っておいた。パラパの実はリンゴみたいに丸いのでほとんど感覚的には違いが無い。外の色は緑、中は黄色だ。


「うさぎ?」チワが不思議な顔をして聞いて来る。


「そ。皮をうさぎみたいにするんだ」


「えっ!そんなことできるんですか?」チワが驚いた顔をしてこちらを見て来る。


「いや出来るよ。当たり前だろ?」


あれ?そういえばチワが料理をしている姿どころか自分からすると言ったことがない。チワ……料理できないのか。またいつか俺が教えてやるか。ついでにハズクとルナ……は出来るか知らんが多分無理だろうから、ついでに教えてやるか。


俺は店の調理場を借りて自分のマイ包丁を持ち、パラパの実を切る。初めはこの店の主人にいい顔はされなかったが、一度腕を見せ、チワと食べていただけでいつの間にか良くしてくれるようになった。


包丁も刃こぼれするからそろそろ変えるべきだな。クエスト報酬で買うか。剣は2日に一回のペースで鍛冶屋に行っている。


あれ?何か忘れてるような……固有魔法でもない。時間は守ってる。ハズクは遅いがそれでもない。チワは……あ!『後でちょっとしたお願い聞いてもらいますからね』って言われた!


これだ!!!きっと尻尾が下がってたのもそのせいだ。チワは多分俺から言い出すのを待っているのでは?今日帰ったら言うか。いや、それじゃあ遅い。雪の時も似たようなことがあってそれで二日間、顔も見たくないと言われたのだ。だからうさぎを作った時に言おう。これで大丈夫のはず……だよな?


……ちょっとまて!後1つ別のことも忘れている気が…………………………ハクちゃんだ!

ヤベーーーーー!!!蹴られる!殺される!そうだ!今日一緒にルナを迎えに行った後、会いに行って土下座して許してもらおう。きっとそうすればハクちゃんも許してくれるはずだ。とりあえず今はうさぎを丁寧に作り、チワの機嫌を保とう。


パラパの実を切り終わり、パンにバターを塗り、二階に上がり、借りた部屋の扉をあけようとする。


ちなみに、パンは今まで通り黒パンだ。そして、バターは使い切り用と言う冷蔵庫が無く、現在の暑い季節(夏の終わりかけだが)に優しいものを買った。バター自体は馬から取れたので安い。牛のは高いので今は無理だ。他にもたまに肉が料理で作る時や食事で出るが、それも少ない干し肉だ。


ガチャン「チワちょっと話があるんだけ……ど?」


そこにはハズクがいた。全裸で。


「きゃっ!ご主人様のエッチ!でもやっぱりご主人様も男の人ですし、ハズクの体に興味が?」


「ぅっせーよハズクの痴女が!なんで裸で扉前に立ってんだよ⁉︎てかどうやってその格好でここまで上がってこれたんだよ!そしてとりあえず服を着ろ!」


「は〜い」


そう言って奥に入り、1分後、ハズクは着替えて出てきた。『やっぱり拾わない方が良かったかもしれないな』と思ったのは内緒だ。と言うか、チワはどこに行った?


「ハズク。チワはどこに行ったんだ?」


「私と入れ替わりで水浴びに行きましたよご主人様」


「そっか」


この宿を選んだ理由は亜人も泊まれるのと、水浴びがいつでも出来るからだ。前の宿は1日一回だったので、夕方に入るぐらいだ。


「ちょっと待てよ?どうやって水浴び場まで行ったんだ?」


「窓からですよ。ご主人様」


「次からは止めなさい」


「えぇーー!いいじゃ無いですかご主人様〜」


……一体ハズクは一体何歳なんだ?昨日の行動力の割にメイドのようなお淑やかさと、小さい子供のような口調に時々なる変化。わざとか天然か……わざとだな。うん、そうに違いない。


「というかチワもなんでハズクの言うことを真に受けてんだよ?常識で考えたら分かるだろうに?」


とりあえずハズクはチワに悪影響だな。……チワって14歳だよな?俺と1つ違いだよな?そう考えているとハズクがこちらを、ため息を吐きながら窓を指差した。


「あっ……」


チワが泣きそうな顔でこちらを見ていた。水浴びをしたばかりだがちゃんとタオルを体に巻いていたのでそこに関してはちゃんと考えているな、と思っておこう。


「と、トキヤ様……ご、ごめんなさい。よ、よく考えたら分かる事を。いくらハズクさんに良いと言われたからといって」


床に手をついて頭を下げるチワ。


「い、いや俺も悪いチワ。そう言う事を俺が教えていない俺が悪いんだから、とりあえず頭を上げてくれ」


俺がそう言うとチワは頭は上げる。というか、悪いのハズクじゃね?だがもう遅いな。後で理由を問い詰めよう。


「チワ」


「……なんですか?トキヤ様」


「ちゃんと俺の目を見て欲しい。俺は他にも謝らなければならない事があるだろう?……ハズク。悪いけど少しの間、部屋から出てくれないか?いや、俺も一度出るから、チワは着替えてくれ。終わったら読んでくれ。部屋に入るから」


「分かりました、トキヤ様」

「分かりました、ご主人様」


そう言ってハズクと俺は部屋から出て行った。


2分後に扉の奥から『良いですよ』と、聞こえたので部屋に入る。そこには冒険用の服に着替えたチワが居る。


「……とりあえず座ろっか」


「はい」


そう言ってベッドに座る。断じて違うぞ!俺から座って誘ったわけじゃないぞ!先に座ったのはチワだからな!勘違いしないでよね!ちなみに距離は50センチほどは空いている。


「…………………」沈黙が続く。チワの目には薄っすらとだが、涙が出ているのが分かる。


「チワ。俺はお前を買った時から俺が育てると決めているんだ。だからチワのミスは全て俺のミスなんだ。

だからハズクに何を言われたのかは知らないけれど、窓から外に出るのはおかしいんだ。分かったかい?」


俺がそう聞くと、首を縦にふり頷くチワ。


「それとは別に俺は昨日の約束を破ったよな?それについても謝らせてほしいんだ」


無言で頷くチワ。


「昨日俺たちは約束したよな。『後でお願いを1つ聞いてもらいますよ』だったっけ?悪い、昨日は色々ありすぎて忘れてたんだ、許してくれ」


「……べ、別にな……良いですよ。トキヤ様は大変だったんですから。私もトキヤ様の迷惑とならないように私情を優先するなんて考えられませんでしたから」


チワは俺の事を思って言い出さなかったのか。あぁ、俺はクソだな。自分でチワの親代わりになるなんて言って置いて、チワ自身の考えを考えすらしていなかった。


「悪いなチワ。俺のせいで約束破っちまった。もう遅いかもしれないけど、なんでも言う事聞くぞ」


そう言ってチワの事を見る。怒っていないよな?


「そ、それじゃあ……私の話を聞いて下さい。ちょっとした愚痴ですけど」


「はい?」


予想外のお願いで変な声が出てしまった。

ブクマ、ptお願いします。

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