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目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜  作者: どこでもいる小市民
第二章〜No.8編〜
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魔法使い

宿を出発した俺たちは魔道具屋に向かっている。その最中だった。


「んだとっ!このアマ!言わせておけば!」


男女が言い争っている。男の口から如何にもな三下のセリフが出て来たが君子危うきに近寄らずという格言の元、すぐに逃げようと回れ右する。

チワも俺の真似をする。


「うるっさいわね!あんたが悪いんでしょ!……ねぇ!あんたもそう思うでしょ!」


俺ではないだろう。無視したわけではない。さっさと立ち去ろう。

振り向いては絶対にいけない。


「ちょっ!あんたよあんた!そこの黒髪」


……さてどうしよう。……仕方がない、振り向くしか選択肢は残っていない(無視して逃げる選択肢は頭にないようだ)。


「や、やっと振り向いたわね。ねぇ、あんたもそう思うでしょ」


話の流れが全くわからん。一から説明してもらわなければ。


「話の内容わかんないから一から説明してくれるならどっちが正しいかわかるんだけどな」


「あいつが私たち魔法使い達をバカにしたから」


「はぁ!テメーが俺たち傭兵をバカにしたからだろ」


話を聞くと、魔法使いの女の子が歩きながら傭兵全体のことを「金にしか目がないただの脳筋」と、言われたのを聞いたこの男が魔法使い全体のことを「本ばっか読んで、後ろからちまちましているだけのもやし」と、バカに仕返して始まったそうだ。


女の方が魔法使いで、男の方が傭兵だ。魔法使いの方は肩まで伸びた薄い水色の綺麗な髪の色をしたショート、いや、セミロングかそれぐらいの12歳程度の女の子だ。

身長は140センチとチワよりも10センチほど小さい。傭兵の方は30歳越えの黄土色の髪をしたおっちゃんだ。

見た目は武器屋のおっちゃんのいかついバージョン。身長は180センチを超えているだろう。


「はぁ、痛み分けでお互いが謝って終わるか、このまま口で白黒はっきりつけるかしたら?」


案を提案してみる。このままじゃいずれ手まで出ることになるだろう。

とりあえずは中立立場からの案を出してみたが…。ていうか周りの野次馬もなんとかしろよ。

せめて騎士は無理でも街の衛兵ぐらい呼べや(何もせず逃げようとした自分のことは棚に上げてます)。


「ふざけんなよ!こいつが悪いんだ!俺が謝る理由がねえな」


「はあ!こっちのセリフなんですけど!」


また言い争う。火に油注いだようだ。


あっ!傭兵が魔法使いの女の子の顔を殴ろうと腕を振り上げた。

魔法使いは咄嗟のことに驚き何も動けない。元々魔法使いは傭兵が言った通り遠くから詠唱を唱えて魔法で攻撃が基本だ。

無論その弱点を補う方法もあるにはあるだろうが、魔法使いの女の子にはそれがまだないのだろう。

近接戦が得意な傭兵とは今の距離では相性が悪すぎる。


急いで、女の子を押し倒して傭兵の拳をギリギリ避ける(ちゃんと頭を打たないように手を女の子の裏に回している)。

そのまま女の子の胸を揉む……なんて事はない。揉む胸があるかは知らないが。


急いで立ち上がる。魔法使いの女の子も立ち上がるが足が動いていない。

口では色々言っていたがまだ12歳ぐらいだ。少しぐらい大人ぶりたかったのだろう。

魔法が使える事で天狗になり、普通の人をバカにしていたのだろう。


傭兵は怒り、今度は手ではなく背中にあった大剣を手にし、こちらに向けて走ってくる。


キャー!


周りからは悲鳴が出る。俺は今なんの武器も持っていない。

だから俺ができるのは回避行動だけだ。傭兵の振りかぶった大剣が俺めがけてくる。


その時チワが短剣を手に持ち、こちらに走ってくる。傭兵はそのことには気づいていない。

そのままチワは傭兵の首に短剣を近づけてこう言った。


「次動いたら、殺しますよ」


と。え?俺こんなこと言う風に育てたっけ?出会って5日経ってないけど。


傭兵は大人しくなる。そこに遅れて衛兵がやって来くるのが見えた。

ナイスタイミングだ。見た感じはチワが傭兵を襲っているような感じになっているために誤解される可能性がある。

俺はその衛兵が来たどさくさに紛れてチワと一緒に逃げる。


「あ、待って!」


魔法使いの女の子がそう呼ぶが今度こそ無視する。俺たちまで色々聞かれて時間を無駄にする必要はないと感じたからだ。

周りの人々も傭兵が先に手を出したのは見ていたから大丈夫だろう。


そんなことがあったわけだがその後は何も起こる事はなく無事魔道具屋に着いたのだった。

忘れているかもしれませんがチワは短剣を使っていますが本職は弓兵です。暗殺者ではありません。

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